破滅

「もう来ないでね。貴方には、病気にかかる前の私だけを記憶してほしいの」

もう、お見舞いには行けないか。でも、余命僅かな彼女の願いは聞いてあげたい……と思っていたのに、忘れ物するなんて。病院に戻るか。

その道中、入院しているはずの彼女が、別の男と幸せそうに腕を組んで歩いていた。

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