深月の異世界農婦生活~のんびりしたいと言っております、出来るでしょうか?~

篠原2

プロローグ

第1話 プロローグ 謎の存在との遭遇

夏真っ盛りのある日、日本某所にある農業法人で働いている上江深月かみえみつきは、ビニールハウス内での作業中に熱中症になってしまい、意識混濁の状態になっていた。


(……やっぱり……注意……されていた……通り……最低……でも……一時間……に……一回……は……休憩……するべき……だったな……)


薄れゆく意識の中で深月はそのように考え、すぐに次の事を考えていく。


(……頭……痛い……水……飲みたい……熱い……辛い……苦しい……もし……次……の……人生……を……選べる……の……なら……熱中症……に……ならない……ような……世界……に……行けたら……良いな……)


ここまで考えた深月は、呼んでいた救急車が到着する前に息を引き取っていった。

そうして意識体だけの存在になった深月は、辺り一面に何も無い真っ白な世界に放り出される事になる。


「……うん? なにここ? というか私……死んだの? でもそうだとしたら、私まだ三途の川を渡ってない気がするんだけど……」


自身の実体が無い事に気が付かないままそのように独り言を話していく深月。

不意に、そんな深月へ声を掛けてくる存在があった。


「ふむ、そなたが上江深月、かえ?」


「えっ? 誰⁉ というかどこにいるの?」


「そなたの目の前じゃ」


「……え? 目の前……?」


突然の声掛けに困惑する深月を半ば無視する形で、謎の存在は話を先に進めていく。


「うむ。まあ待っておれ、すぐに実体を見せてやろう」


「うえ? 実体を見せる? ってうわっ⁉ 眩しい⁉ というか目を閉じれない!! なんで⁉ どうして⁉」


「どうじゃ!! ……ってなんじゃ、せっかくわらわが実体を見せてやっておるのに、罰当たりな真似を……」


まだ自身の実体が無い事に気付いていない深月は、謎の存在が実体を見せた時から放っている眩い光を遮れない事に大混乱している状態になった。

これに不満を示した謎の存在は、深月に今彼女がどのような状態になっているのかを説明し始める。


「いや、そんな事を言われても⁉ そもそもなんで腕が動かせないどころか、目を閉じる事も出来ない状態になってるの⁉」


「……おのれ人の子め……いくら実体を失っているからとはいえ、眩し過ぎて見えぬ等とほざくとは……」


「……え? 待って? 今、実体が無いって言ったけど、それってひょっとして……私の事……?」


「ぬ? なんじゃそなた、まだ自分がどのような状態になっておるか、理解出来ておらんのか?」


「……ええ、まあ……」


「ふぬぅ、そうじゃったか……ならばしょうがない、大サービスじゃ。わらわが今のそなたの状態を教えてやろう!」


「はあ……」


「ではいくぞ? そなたは死んだ! それで今は実体が無い、体が無い状態なのじゃ!」


「……え? あ、そうですか……」


その言葉を発した直後、深月の時間が止まった。

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