第28話 夏芽の家へ2~エレベーター~

 エレベーターを迅くんと待っていた。チーンと間抜けな音がした。


「じゃ、お大事にな、バイト中以外なら極力返事返すから」

「待って!!」

「ん?」


 わたしは持っている力を持って迅くんをエレベーターに乗り込ませた。いや、正しくは突き飛ばした。迅くんは、『あいたたた』と言っていた。起き上がる前に、わたしは馬乗りになった。横に降りる階を選ぶ機械があったので、律儀に選んでから話し出した。


「迅くん」

「ちょ、夏芽!?」

「この後、家にお姉ちゃんがいようが、いなかろうが、わたしを求めてください」

「オレはいつも、夏芽を求めてるよ」

「違う、違う、違う!! そういう意味じゃない!!」


 そこにチーンと目的の階に着いたことを知らされた。わたしは、『来て』と迅くんを催促した。でも、迅くんはそれを振り払った。


「ど、どうして……?」

「わるい夏芽……オレ……」


 きっと彩莉センパイに心が揺れているんだ。そうだよね、同い年だし、なんて言ったてだもんね。でも、わたしだって、わたしだってだもん、負けてられない。


「どうして……!!」


 そこにエレベーターに乗ろうとする人が来て、『すいません……、せめてエレベーター降りるか、部屋でやってくれません?』と言った。そのままわたしと迅くんはエレベーターから降りた。


「ごめん、夏芽、とりあえず忠さんに電話だけさせて……」

「……うん」


 迅くんはお父さんに電話をかけている。話している内容も聞こえる。『今日は急遽休みにしてください。夏芽が大変なんで……』と言っていた。家に着くと、お姉ちゃんもいた。


「おかえりー、おー、なんとかくんも一緒か」


 冬にも関わらずアイススティックを食べているお姉ちゃんだ。この時期もお姉ちゃんだけで1日1箱はアイススティックを食べている。去年の3月に公立高校の受験を腹痛が原因で落ちた。そう言ったのを忘れているのか?


「迅くん、わたしの部屋に来て」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る