第7章: 中世の孤高の科学者

 夏の陽射しが聖ローザ修道院の石壁を温める頃、思いもよらぬ訪問者が現れた。その足音は、まるで未来からの予言のように、静かに、しかし確実に修道院の日常を揺るがすものだった。


 エロイーズとヘレンが中庭で薬草の手入れをしていたとき、突如として修道院の門が激しく叩かれる音が響き渡った。二人は顔を見合わせ、不安と期待が入り混じった表情を浮かべる。


 門を開けると、そこには息を切らせた若い女性が立っていた。彼女の名はマリア。わずか20歳にして、すでに科学者としての才能を開花させていた彼女は、異端の疑いをかけられ、命からがら逃げてきたのだった。


 マリアの姿を見たエロイーズの心は、嵐の海に浮かぶ小舟のように揺れ動いた。「この子を匿えば、修道院の安全が脅かされるかもしれない」という恐れと、「彼女の才能を守り、育てなければ」という使命感が交錯する。


 しかし、マリアの目に宿る知的好奇心の輝きを見た瞬間、エロイーズの決意は固まった。


「ようこそ、聖ローザ修道院へ」


 エロイーズは優しく微笑んだ。


「ここでは、あなたの才能を自由に育むことができます」


 マリアは安堵の表情を浮かべ、感謝の言葉を口にした。


「ありがとうございます……」


 ヘレンは興奮を抑えきれない様子で、マリアに近づいた。


「科学者なんですってね! 私も天文学に興味があるんです。ぜひ、あなたの研究について教えてください」


 マリアの目が輝いた。


 エロイーズの言葉を聞いて、マリアの表情が一瞬にして変化した。彼女の瞳に宿っていた不安の影が薄れ、代わりに希望の光が灯った。しかし、その光はまだ揺らいでいた。長年の抑圧と恐怖は、簡単には消え去らないのだ。


 マリアは深呼吸をし、覚悟を決めたように口を開いた。


「実は……私の研究は、地動説に基づいています。太陽が地球の周りを回るのではなく、地球が太陽の周りを回っているという理論です」


 彼女の声は小さく震えていたが、言葉に込められた確信は揺るぎないものだった。

 マリアは続けた。


「この考えは、多くの観測結果と一致しています。でも、聖書の記述とは相容れない部分があります……」


 エロイーズはマリアの言葉を静かに聞いていた。

 その表情からは何も読み取れない。

 ヘレンは息を潜め、二人の様子を見守っていた。


 しばらくの沈黙の後、エロイーズはゆっくりと口を開いた。


「マリア、あなたの勇気を称えます。真理の探究には、常に勇気が必要です。ここ聖ローザ修道院では、そのような探究を支持します」


 マリアの目が大きく見開かれた。エロイーズは続けた。


「しかし、同時に慎重さも必要です。外の世界は、まだ新しい考えを受け入れる準備ができていません。ここでの研究は秘密裏に行う必要があります」


 ヘレンが興奮した様子で割り込んだ。


「つまり、マリアは研究を続けることができるということですね?」


 エロイーズは穏やかに微笑んだ。


「その通りです。ただし、細心の注意を払いながらね」


 マリアの目に涙が浮かんだ。


「本当に……ありがとうございます。私、これまで誰にも話せなかったんです。みんな私を異端だと言って……」


 エロイーズはマリアの肩に優しく手を置いた。


「あなたは異端者ではありません。真理を追求する探究者です」


 ヘレンは興奮を抑えきれない様子で言った。


「私も天文学に興味があるんです。マリアの研究を手伝わせてもらえませんか?」


 エロイーズは二人を見つめ、深く頷いた。


「もちろんです。ただし、くれぐれも慎重に。秘密の図書館には、あなたたちの研究に役立つ多くの書物があります。それらを活用してください」


マリアの顔に、初めて安堵の表情が浮かんだ。


「本当に……ここに来て良かった。私の人生が、これから大きく変わるような気がします」


 エロイーズは優しく微笑んだ。


「そうでしょう。ここ聖ローザ修道院は、真理を追求する者たちの避難所なのです。しかし、同時に外の世界との調和も大切です。あなたたちの発見が、いつか世界を変える日が来るかもしれません。その日まで、私たちは静かに、しかし着実に前進していきましょう」


 ヘレンは興奮を抑えきれない様子で、マリアの手を取った。


「さあ、早速研究を始めましょう! 私たち、きっと素晴らしい発見ができるはずです」


 マリアは涙ぐみながら頷いた。


「はい……一緒に頑張りましょう」


 エロイーズは二人を見守りながら、静かに思った。


「彼女たちの中に、未来が芽生えている。私たちの修道院は、その芽を大切に育てていかなければならない」


 そして三人は、新たな冒険の第一歩を踏み出した。それは、真理の探究という名の、長く険しい、しかし輝かしい道のりの始まりだった。


 その夜、エロイーズはマリアを秘密の図書館へと案内した。階段を下りていくにつれ、マリアの心拍は高鳴っていく。扉が開くと、そこには彼女が想像もしなかった光景が広がっていた。


「まるで、知識の海のよう…」


 マリアは息を呑んだ。


 エロイーズは優しく微笑んだ。


「ここには、古代から現代までの科学書が集められています。あなたの研究に役立つものも、きっと見つかるでしょう」


 マリアは夢中で本棚を見て回り、次々と本を手に取っては目を輝かせた。「アリストテレスの『自然学』! プトレマイオスの『アルマゲスト』! こんな貴重な本が…」


 ヘレンは興奮して言った。


「私たちと一緒に、これらの本を研究しませんか?きっと素晴らしい発見があるはずです」


 マリアは感動で涙ぐみながら答えた。


「はい、ぜひ! これは、まるで天国のようです」


 日々が過ぎるにつれ、マリアは秘密の図書館で古代の科学書を貪るように読み漁り、自身の理論を発展させていった。彼女の情熱は、エロイーズとヘレンにも強い影響を与えた。


 古びた蝋燭の灯りが揺らめく秘密の図書館で、エロイーズ、ヘレン、そしてマリアの三人は、深夜まで続く熱い議論に没頭していた。周囲の書架には、科学書から神秘学の古典まで、さまざまな知識の結晶が並んでいる。その静謐な空間に、三人の熱のこもった声が響き渡っていた。


 マリアが口火を切った。彼女の目は、新しい発見に対する興奮で輝いていた。


「私は最近の観測で、月の表面に山や谷があることを確認しました。これは、天体が完全な球体であるという従来の考えを覆すものです」


 ヘレンは興味深そうに身を乗り出した。


「それは驚くべき発見ね! でも、そうなると天体の動きを支配する法則も、私たちが考えていたのとは違うものになるかもしれないわ」


 エロイーズは静かに二人の言葉に耳を傾けながら、古い羊皮紙の書物をめくっていた。

「確かに、科学的な観測は私たちの世界観を大きく変えうるものです。しかし、同時に神秘学的な解釈の余地も残されているのではないでしょうか」


 マリアは少し困惑した表情を浮かべた。


「神秘学ですか? それは科学とは相容れないものではないでしょうか」


 エロイーズは穏やかに微笑んだ。


「必ずしもそうとは限りません。例えば、錬金術を考えてみましょう。一見すると非科学的に見えるかもしれません。しかし、その探究の過程で、化学の基礎となる多くの発見がなされたのです」


 ヘレンは興奮気味に言った。


「そうね! 錬金術師たちは、物質の本質を理解しようとしていたわ。それは現代の化学者たちと同じ探究心だったのかもしれない」


 マリアは考え込むように眉をひそめた。


「確かに……科学と神秘学は、同じコインの裏表なのかもしれません。両者とも、この世界の真理を追求しているという点では同じですから」


 エロイーズは頷いた。


「その通りです。科学は観測可能な現象を説明しようとし、神秘学はその背後にある意味や目的を探ろうとします。両者が補完し合うことで、より深い理解が得られるのではないでしょうか」


 ヘレンは熱心に付け加えた。


「例えば、天体の動きを数学的に説明することはできても、なぜそのような法則が存在するのかという問いには、別のアプローチが必要かもしれないわ」


 マリアは少し戸惑いながらも、興味深そうに聞いていた。


「確かに……私の研究だけでは説明できない部分があります。例えば、なぜ宇宙はこのような秩序を持っているのか、という根本的な問いには答えられません」


 エロイーズは静かに言った。


「そこに神秘学の役割があるのです。科学が『どのように』を探求するなら、神秘学は『なぜ』を問うのです」


 三人は一瞬沈黙し、その言葉の重みを噛みしめた。図書館の静寂が、彼女たちの思考を包み込む。


 ヘレンが再び話し始めた。


「でも、科学と神秘学の境界線はどこにあるのでしょうか。どこまでが科学で、どこからが神秘学なのでしょう」


 エロイーズは深く考え込むように目を閉じた。


「その境界線は、時代とともに移り変わるものかもしれません。かつては神秘とされていたものが、科学によって解明されることもあります。しかし、新たな発見は常に新たな謎を生み出すのです」


 マリアは興奮気味に言った。


「つまり、私たちの探究には終わりがないということですね。常に新たな地平線が広がっている……」


 エロイーズは優しく微笑んだ。


「その通りです。そして、その探究の過程で、科学と神秘学は互いに刺激し合い、補完し合うのです」


 ヘレンは目を輝かせた。


「私たちの修道院は、まさにその交点にあるのかもしれません。科学的な探究と精神的な探求が交わる場所……」


 三人は互いを見つめ、深い理解と共感が生まれているのを感じた。

 エロイーズは静かに言った。


「そうですね。ここ聖ローザ修道院は、科学と神秘学の境界線を探る場所なのです。しかし、その探究には常に慎重さと勇気が必要です」


 マリアは決意を込めて言った。


「私は、これからも科学的な観測を続けます。でも同時に、その背後にある大きな意味も考えていきたいと思います」


 ヘレンも頷いた。


「私も、天文学の研究と並行して、古代の神秘思想も学んでいきたいわ」


 エロイーズは満足げに二人を見つめた。


「素晴らしい決意です。科学と神秘学の境界線を探ることは、まさに人類の知の冒険。私たちはその最前線にいるのです」


 蝋燭の灯りが揺らめき、三人の影が壁に映る。それは、科学と神秘学が交わる瞬間の、静かな証人のようだった。この夜の議論は、彼女たちの探究心に新たな火を灯し、未知の領域への冒険へと導いていくことだろう。


 そして、図書館の静寂の中で、三人は互いの存在に深い感謝と愛情を感じていた。科学と神秘学の境界線を探る旅は、同時に彼女たちの魂の旅でもあったのだ。


 ヘレンはしばらくしてから興奮気味に付け加えた。


「そう考えると、私たちの愛も、科学と神秘学の境界線上にあるのかもしれませんね」


 マリアは驚いた表情を浮かべた。


「あなたたち二人は……恋人同士なんですか?」


 エロイーズとヘレンは顔を見合わせ、優しく微笑んだ。

 エロイーズが静かに答えた。


「そうです。私たちの関係は、単なる肉体的な繋がりを超えた、魂の結びつきなのです」


 マリアは少し戸惑いながらも、興味深そうに尋ねた。


「それは……どういう感覚なんですか?」


 ヘレンは優しく答えた。


「それは、まるで二つの星が引力によって引き寄せられるように、自然な流れなんです。そして、その結びつきは新たな光を生み出すのです」


 マリアの目に、好奇心と憧れの色が浮かんだ。


「それは、科学では説明できない現象のようですね」


 エロイーズは静かに提案した。


「マリア、あなたも私たちの探求に加わりませんか? 愛と科学の境界線を、共に探っていきましょう」


 マリアは一瞬躊躇したが、すぐに決意を固めた。


「はい、喜んで」



 その夜、三人は図書館の奥にある小さな休憩室で、互いの魂と体を探り合った。それは、まるで未知の領域を探検するような、畏敬の念と興奮に満ちた体験だった。


 マリアの若く柔らかな肌は、月光に照らされて神秘的な輝きを放っていた。エロイーズの熟練した指が、その曲線を丁寧にたどっていく。それは、まるで未知の大陸の地図を描くかのようだった。


 エロイーズの熟練の手が、若い二人の肌を優しくなぞっていく。その指先は、長年の経験から来る確かな技巧で、触れる場所すべてに快感の種を蒔いていく。彼女の動きには、まるで時を超えた叡智が宿っているかのようだった。


 ヘレンの情熱的な唇が、エロイーズとマリアの肌を熱く這っていく。彼女の口づけは、若さゆえの激しさと、抑えきれない欲望に満ちており、触れる場所すべてに官能の炎を灯していく。


 一方、マリアは少し躊躇いがちだった。

 彼女は自分の幼い体つきを意識し、一瞬たじろぐ。他の二人に比べて小さな胸、華奢な腰、あまり曲線を描かない体のラインを恥じるように、わずかに体を縮こませる。しかし、エロイーズとヘレンの優しくも情熱的な愛撫が、マリアの不安を少しずつ溶かしていく。


 エロイーズの成熟した曲線美、ヘレンの若々しい躍動感、そしてマリアの繊細な肢体。三者三様の魅力が、この小さな空間の中で交錯し、新たな次元の美を創造していく。マリアの知性を感じさせる繊細な指先が、おずおずと他の二人の体を探索し始める。その動きは、まるで未知の領域を発見した探検家のように、慎重でありながらも好奇心に満ちていた。


 三人の呼吸が徐々に荒くなり、部屋の空気は熱を帯びていく。汗で濡れた肌が月光に照らされ、まるで真珠のような輝きを放っている。マリアの白い肌は、他の二人よりも一層輝いて見え、彼女の若さと純粋さを際立たせていた。


 彼女たちの動きは、まるで壮大な交響曲のように、徐々にクレッシェンドしていく。最初はアダージョのようにゆったりとしていた律動が、アレグロへ、そしてプレストへと変化していく。その変化は、自然の摂理のように滑らかで、しかし抗いがたい力強さを持っていた。


 エロイーズの深いため息、ヘレンの甘美な嬌声、そしてマリアの控えめながらも熱のこもった吐息。三者三様の音が重なり合い、官能的な和音を奏でている。マリアの声は、最初は遠慮がちだったが、次第に大胆になっていく。それは、彼女が自分の体を受け入れ始めた証でもあった。


 彼女たちの体から立ち上る熱が、まるで目に見えるかのように空気を揺らめかせている。その熱は、周囲の本や古い羊皮紙にまで伝わり、何世紀もの知識が、この瞬間の情熱に共鳴しているかのようだ。


 三人の体が絡み合う様は、複雑な方程式が解かれていくかのよう。それぞれの動きが、互いの反応を呼び起こし、そしてその反応がさらに新たな動きを生み出していく。マリアの小さな体は、エロイーズとヘレンの間で、まるで大切な宝石のように扱われ、彼女の不安は次第に消えていった。


 エロイーズの熟練の技がマリアの未知の感覚を呼び覚まし、マリアの新鮮な反応がヘレンの情熱をさらに掻き立てる。そしてヘレンの若々しい情熱が、エロイーズの中に眠る古の記憶を呼び起こす。それは、時空を超えた魂の共鳴とでも呼ぶべきものだった。


 彼女たちの動きは、次第に一つのリズムへと収束していく。それは、宇宙の鼓動そのものであるかのように、力強く、そして揺るぎないものだった。三つの魂が、完全に同調し、一つの存在へと昇華していくような感覚。マリアの小さな体も、この宇宙の律動に完全に溶け込んでいった。


 その律動は、嵐の中心に向かって進んでいくかのように、激しさを増していく。しかし、それは破壊的な嵐ではない。それは、新たな世界を創造するための、神聖な儀式のような嵐だった。マリアの体は、その嵐の中で、まるで蝶のように舞い、彼女の美しさが最大限に引き出されていく。


 彼女たちの体から放たれるエネルギーは、まるで目に見えるかのように部屋中に満ちていく。それは、破壊的なものではなく、むしろ生命力に満ち溢れた、創造的なエネルギーだった。まるで、宇宙創成の瞬間を再現しているかのような、畏怖すら感じさせる光景。


 そのエネルギーは、三人の体内で渦を巻き、次第に一点に収束していく。それは、新たな星が誕生する瞬間のようでもあった。熱が高まり、光が強まり、そして??。


 最高潮に達した瞬間、時間が止まったかのようだった。三人の体が弓なりに反り、月光を浴びて輝く。マリアの小さな体は、まるで新たに生まれた星のように、強い光を放っていた。その瞬間、彼女の中にあった自身の体への不安は完全に消え去り、代わりに自信と歓喜が満ちていった。


 そして、その瞬間が過ぎ去ると、三人の体はゆっくりとほどけていく。しかし、彼女たちの間に生まれた絆は、決してほどけることはない。それは、この夜に生まれた新たな宇宙の、永遠の法則となったのだ。


 エロイーズ、ヘレン、そしてマリア。三人の魂は、この瞬間から永遠に結ばれ、そしてその結びつきは、彼女たちの人生に、そして彼女たちが触れるすべてのものに、新たな光をもたらしていくことだろう。マリアは、自分の体の美しさと可能性を、この夜に初めて真に理解したのだった。


 ヘレンは、またマリアの首筋に優しいキスをした。その唇の動きは、まるで蝶が花から花へと舞うように軽やかで繊細だった。マリアは、今まで味わったことのない快感に、小さなため息を漏らした。


 三人の体が絡み合う様は、まるで複雑な数式が解かれていくかのようだった。それぞれの動きが、互いの反応を呼び起こし、新たな感覚を生み出していく。マリアは、自分の体が未知の領域へと導かれていくのを感じた。


 図書館の奥にある小さな休憩室は、月の光が窓から差し込み、神秘的な雰囲気に包まれていた。エロイーズ、ヘレン、そしてマリアの三人は、互いの目を見つめ合い、言葉なしの対話を交わしていた。


 エロイーズの手は、長年の経験から来る確かな技巧で、マリアの肌を優しく撫でていく。その動きは、まるで貴重な羊皮紙に文字を記すように丁寧で、繊細だった。


「マリア、あなたの肌は、まるで宇宙の神秘そのものね」


 エロイーズはささやくように言った。


「一つ一つの細胞が、星のように輝いているわ」


 マリアは小さくため息をつき、声を震わせながら答えた。


「エロイーズ様、あなたの指先から、知恵と愛が流れ込んでくるようです。まるで、未知の領域を探検しているような感覚です」


 ヘレンは、マリアの首筋に唇を寄せた。彼女の口づけは、若さゆえの情熱に満ち溢れていた。それは、まるで燃え盛る炎のように熱く、しかし優しさも秘めていた。


「マリア、あなたの香りは、春の花々のよう」


 ヘレンは熱っぽく囁いた。


「私の心が、あなたに向かって開いていくのを感じるわ」


 マリアは、ヘレンの情熱に応えるように、彼女の背中に手を回した。


「ヘレン、あなたの情熱は、まるで超新星のようね。私の全身を包み込んで、新たな世界へと連れて行ってくれる」


 エロイーズは、二人の若い女性の交わりを見守りながら、静かに微笑んだ。


「あなたたち二人は、まるで互いを引き寄せ合う惑星のよう。その姿は、宇宙の調和そのものだわ」


 マリアは、科学者らしい好奇心から、エロイーズとヘレンの体を探索し始めた。彼女の指先は、まるで精密機器のように繊細に、二人の肌の起伏をたどっていく。


「エロイーズ様、ヘレン、あなたたちの体は、まるで生きた方程式のようです」


 マリアは興奮気味に言った。


「私は今、その方程式を解き明かしているような気分です」


 エロイーズは、マリアの探索に身を委ねながら答えた。


「そうね、マリア。愛もまた、一つの科学と言えるかもしれません。でも、それは数式では表せない、魂の科学なのよ」


 ヘレンは、マリアの胸元に顔を埋めながら言った。


「私たち三人の関係も、一つの実験かもしれないわね。愛と科学の境界線を探る実験」


 マリアは、二人の言葉に深く頷いた。


「そうですね。私たちは今、未知の領域を開拓しているのかもしれません。愛と科学が交わる場所を」


 三人の体が絡み合うにつれ、その動きは次第に一つのリズムを刻み始めた。それは、まるで宇宙の鼓動のように、ゆっくりと、しかし確実に高まっていった。


 エロイーズの経験豊かな指使いは、マリアとヘレンの体に新たな感覚の地図を描いていく。ヘレンの情熱的な口づけは、二人の魂に火をつけ、その炎は次第に大きくなっていった。そして、マリアの好奇心に満ちた探索は、三人の関係に新たな次元をもたらしていた。


「ああ、これは驚異的です」


 マリアは息を切らせながら言った。


「私の体が、今まで経験したことのない反応を示しています。まるで、新たな法則を発見したかのようです」


 エロイーズは優しく微笑んだ。


「そうよ、マリア。この経験は、きっとあなたの研究にも新たな視点をもたらすでしょう。体と心、そして魂が一つになる瞬間を、あなたは今、科学者として、そして一人の女性として体験しているのよ」


 ヘレンは、二人の言葉に共感するように、さらに情熱的に二人を抱きしめた。


「私たち三人の関係は、まるで三位一体のようね。それぞれが異なる存在でありながら、完全に一つになれる」


 マリアは、今まで味わったことのない快感に震えながら言った。「これは……まるで、宇宙の誕生の瞬間を体験しているようです。すべてが混沌としながらも、完璧な調和を保っている」


 エロイーズは、マリアの言葉に深く頷いた。「そうよ、マリア。愛とは、まさにそういうものなのです。混沌と調和、理性と感情、すべてが一つになる瞬間」


 ヘレンは、二人の腕の中で身を震わせながら付け加えた。「そして、この瞬間は永遠に続くのよ。たとえ物理的には終わっても、私たちの魂の中では永遠に生き続ける」


 三人の動きは、次第に頂点に達していった。それは、まるで壮大な交響曲のクライマックスのようだった。エロイーズの経験、ヘレンの情熱、マリアの好奇心が完璧に調和し、美しい和音を奏でていた。


 そして、ついにその瞬間が訪れた。三人は同時に絶頂に達し、その快感は、まるで新たな宇宙が誕生したかのような、圧倒的な体験だった。


 しばらくの間、三人は言葉もなく、ただ互いを抱きしめ合っていた。その沈黙は、言葉では表現できない深い繋がりを物語っていた。


 やがて、マリアが静かに口を開いた。


「これが……愛なのですね。科学では説明できない、でも確かに存在する力」


 エロイーズは優しく微笑んだ。


「そうよ、マリア。そして、この経験は、きっとあなたの科学的探求にも新たな視点をもたらすでしょう」


 ヘレンは、二人を強く抱きしめながら言った。


「私たち三人の関係は、これからも進化し続けるのね。愛と科学の境界線を、共に探っていきましょう」


 三人は再び沈黙に包まれたが、その沈黙は言葉以上に雄弁だった。月の光が彼女たちの姿を優しく包み込む中、新たな冒険の始まりを感じさせる静けさが、図書館全体を満たしていった。


 翌朝、マリアは新たな視点で世界を見ていた。


「昨夜の経験は、私の科学的思考にも大きな影響を与えそうです」と彼女は告白した。


 エロイーズは優しく微笑んだ。


「愛と科学は、どちらも真理を追究する道なのです。時に交わり、時に離れながら」


 ヘレンは付け加えた。


「そして、その探求には終わりがありません。それこそが、人生の醍醐味なのかもしれません」


 マリアは深く頷いた。


「私は、この修道院で学んだことを世界に広めたいと思います。科学の真理だけでなく、愛の真理も」


 エロイーズとヘレンは、マリアの決意を聞いて誇らしげな表情を浮かべた。彼女たちは、マリアが修道院を巣立つ日が来ることを知っていた。しかし、それまでの間、三人は共に学び、愛し、成長していくのだった。


 マリアが修道院を去る日、エロイーズとヘレンは彼女を門まで見送った。


「あなたの旅路が、光に満ちたものでありますように」


エロイーズは祝福の言葉を贈った。


 ヘレンは涙ぐみながら言った。


「私たちのことを、そしてここで学んだことを、決して忘れないでください」


 マリアは二人を抱きしめ、こう答えた。


「忘れるはずがありません。あなたたちは、私の人生を変えてくれました。これからは、科学の真理と愛の真理を、世界中に広めていきます」


 マリアの姿が地平線の彼方に消えるまで、エロイーズとヘレンは見送り続けた。彼女たちの心には、悲しみと希望が入り混じっていた。マリアとの出会いは、彼女たちの人生に深い影響を与え、愛と知識の探求にさらなる深みをもたらしたのだった。


 そして彼女たちは、マリアが必ずや素晴らしい未来を切り開いていくことを信じていた。マリアの姿は消えても、彼女が残した科学への情熱と愛の温もりは、永遠に聖ローザ修道院の中に生き続けることだろう。

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