第4章: 戻るとき
第16話 謎の試練
夜空に輝く星々が、レイナとサリムの帰路を柔らかく照らしていた。星の王との契約を終えた二人は、長い旅路を経てようやく故郷へと向かっていた。契約によって得られた力と知識を胸に、二人はこれからの新たな日々に希望を抱いていた。
しかし、道は平坦ではなかった。山道を進むうちに、突然空が曇り始め、風が強くなった。星々の光が雲に遮られ、あたりは一瞬にして暗闇に包まれた。レイナとサリムは立ち止まり、周囲を見回す。
「何かおかしい…」レイナは声を潜め、警戒心を強めた。
サリムも同じように感じていた。彼の目が鋭くなり、周囲の異変に気づいた。「この感じ…また試練が待っているのかもしれない。」
すると、雲の中から淡い光が漏れ始めた。光は徐々に強まり、地面に古びた石の道が現れる。その道の先に、不思議なシンボルが浮かび上がる。それは星の形をした紋章で、まるでレイナとサリムを導くかのように輝いていた。
「これが試練の前触れだと思う。」サリムは、レイナに優しく微笑みかけた。「また一緒に乗り越えよう。」
レイナは頷き、サリムの手をしっかりと握った。「うん、一緒に。」
二人は慎重に光の道を進んでいくと、道の先に神秘的な門が現れた。門には複雑な模様が刻まれており、レイナとサリムが近づくと、門がゆっくりと開いた。その先に広がるのは、霧が立ち込める不思議な空間だった。
霧の中から声が聞こえてきた。古代の言葉で、「勇気ある者よ、試練を受ける準備は整ったか?」と響いた。その声には、試練が待っていることが示唆されていた。
「どうする?」レイナはサリムに視線を向けた。
「準備はできている。どんな試練でも、君と一緒なら乗り越えられる。」サリムは力強く言った。
二人は手を取り合い、霧の中へと進んでいった。霧が徐々に晴れると、目の前に現れたのは巨大な石の像と、それを取り囲む深い闇だった。試練が始まることを示す予兆のように、空気が一層重くなった。
レイナとサリムは互いに目を合わせ、深呼吸をして試練に挑む決意を固めた。試練はどんなものであれ、二人の絆をさらに強固にするための試練であると信じ、心を一つにして前進するのだった。
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