第22話

「今日は、ここだ掃除しろっ」

僕は、這いつくばって床を磨き始めた。力仕事だ。そうしないと床から光沢がうまれてこないから。

何より、不十分な働きをしたら御飯があたらない。それだけは避けたい。空腹の辛さは耐え難いものがある。ただでさえ、少ない食事しか出ないのだから。むこうから、子供の泣き声が聞こえてきた。

「出してよ、怖いよ~」

「黙って反省してろっ!」

「ごめんごめんよ~」

この家の子供が、父親にお仕置き部屋に入れられているのだろう…

また、兄弟でゲームの取り合いでもしたんだろうな…

ゲームかぁ、羨ましい話だ。

同じ子供なのに、僕は違う。這いつくばって掃除をする人間の方。

でも、館にいるより、人間らしくいられる今を幸せと思うんだ!

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