第13話 衝撃の真実と3回NTR謎の解明

「あなたこそ、人を馬鹿にするのもいい加減にしなさいっっ!!

そんな小手先の技、私には通用しないわよっ!!

あなたをボロクズのようにしてでも、広樹くんは私が絶対守りますっっ!!」


「ひ、ひぃっ…!!||||||||」


敵を威嚇する美しき女豹の如く、涼子さんに睨めつけられた鉄男は腫れた顎を押さえて震え上がり、俺は見惚れて呆然としていると…。


「あ、広樹くん…!!」

「あ、広樹…!!」


涼子さんも鉄男もこの場に俺がいることにに気付き、しまったというような表情になった。


俺は、迷いなく涼子さんの下へ駆けつけた。


「りょ、涼子さん…!!大丈夫っすか?こんな危険な目に遭わせてしまって…!」


「ひ、広樹くん…。だ、大丈夫よ。私、護身術習ってるし、これぐらいは想定内だったし…。(あ〜、広樹くんにはしたないところ見せてしまったかしら…。)」


気まずく目を伏せた涼子さんの手が微かに震えていて、俺はたまらない気持ちになった。


「俺の為に、本当に…すみませんっ…!」

「ひ、広樹くんっ…///」


涼子さんの震える手をぎゅっと握ると、彼女を傷付けようとした鉄男に非難の目を向けた。


「鉄男…。どうして…!」


「ひ、広樹…!違うんだ。普通に世間話していただけなのに、お前の彼女、いきなり蹴って来たんだぜ?ひどいだろ?ホラ、見てくれよ!この顎!」


「はぁ?」

「……。」


この期に及んで言い訳をする鉄男に、涼子さんは眉を顰め、俺はやるせない気持ちで、首を振った。


「鉄男…。お前が涼子さんに何をしようとしたのか、今この目で見てた…!

それに、いままでの涼子さんとのやり取り、全部聞いてたんだ。」


「ええ。広樹くんに状況を知らせる為に、密かに通話状態にしていたわ。」


俺と涼子さんが通話中表示になっているスマホの画面を向けると、鉄男は愕然とした表情になった。


「なっ…!?ま、まさか、お前、俺の事謀ったのか…?」


「……。ああ。今までの事、鉄男に悪意はなかったと信じていたかったけど、結果はこんな風になってしまった…。」


今までの鉄男との付き合いで、悪くなかった思い出も沢山あっただけに、俺は胸がズキズキと痛んだ。


「親友を裏切り続けていた人が責められる事ではないわ!

過去の事を全部明らかにするから、覚悟なさい!」


「「…!」」


涼子さんに、厳然とした表情で告げられ、俺と鉄男に今までなぁなぁにして来てしまった、元カノを巡る過去に向き合う時が来たのを悟った。

  

         ✻


その後、店の人が明らかに揉め事になっている俺達にビビりながら声をかけて来たので、迷惑をかけた事を平謝りし、そのまま会計をして、話し合いの場を近くの公園に移す事にした。


「………☠||||」

「………。」

「………。」


ベンチに腰掛け、青ざめている鉄男を囲むように俺と涼子さんは並んで立ち、過去の清算を行うことになった。


「この人はね、私に仕掛けて来たような卑怯な真似を今まで広樹くんの元カノさん達にし続けて来たのよ。」


「陰で俺の悪口を言って口説いていた事ですか?」


「そう。しかも、広樹くんの長所と短所を逆のように吹き込むとても陰湿な方法でね。」


「逆に…?」


俺が聞き返すと、涼子さんは頷き、言い辛そうに顔を顰めた。


「ええ。こんな事を言うのは気が引けるけれど…、広樹くんの容姿は、自分で思っている程、一般的に凄く優れているという訳ではないと思うの。」


「えっ。そうなんすか…!?💥💥」


俺は衝撃に目を瞬かせた。


「も、もちろん、悪いお顔ではないわ!小さな猫目もよく見れば可愛らしいし、笑顔も愛嬌があるしねっ。ただ、顔だけで女性を惹きつけてしまうことはそんなに多くないと思うわ。」


「はぁ〜…。そ、そう…だったんすね〜。通りで今まで俺が自分の容姿の事を良く言うと、皆微妙な反応をした訳だ…。」


涼子さんがフォローしつつも、遠回しに俺の容姿がいわゆるイケメンではなく、よくて並程度だと教えてくれたおかげで、ショックではあったが、今までの事が色々腑に落ちた感じがあった。


「でもね、広樹くんは、素直で優しくて温かくて、周りの人を自然と惹きつけてしまう内面的な魅力をもっているのよ。」

「涼子さん…。」


涼子さんは、優しい笑顔で、動物園デートの時のように俺の性格的な部分を褒めてくれた。


「多少マイペースで天然なところも癒やしになるっていうか…。


元カノさん達もあなたのそういうところに惹かれたんじゃないかしら…?」


「…!」


涼子さんは優しいからそんな風に言ってくれるのかと思っていたが、元カノ達も俺の内面的な魅力を認めてくれていたのかもしれないと分かって、俺は大きく目を見開いた。


「そして、この人も、それをよく分かっていたのよ。」


「…!||||」

「鉄男が…?」


涼子さんが鉄男を指差すと、鉄男はまずいというような表情になった。


「さっきのように、元カノさん達に接触した時に、広樹くんが自分の容姿を鼻にかけていて、性格が悪いようなエピソードを吹き込む。

元カノさん達は広樹くんの性格に惹かれて付き合っているのに、実はその性格がひどいって言われてしまったら、当然動揺するわよね?

その心の隙間に乗じて、自分は性格のよいイケメンを演じて恋愛相談を受けている風を装って、口説くというのが、この人の常套手段だったのよ。」


「そ、そうだったんすか…!💥💥💥」


今、初めて過去NTRの謎、

①どうして毎回親友に彼女を取られてしまうのか?

が明かされ、俺は更に衝撃を受けた。


「全く卑怯な事をするわよね?もちろん、化けの皮はすぐに剥がれるわ。


広樹くんが自称イケメンのとんでもない悪党だと言うことを前提に、自分の姿をよく見せていたけれど、元カノさん達が広樹くんと別れた後は、比べるものがなくなって、本当のこの人の姿=卑小な性格のそこそこイケメンがバレてしまって、彼女達は幻滅して、騙された事に憤ったと思うけどね。」

 

「そ、それで、鉄男と元カノ達はすぐ別れてしまったんすね…。」


②どうして親友と彼女はすぐに破局してしまうのか?


という謎も解け、感心して俺は深く頷いた。

「う、うぐふぅっ…。」


鉄男は過去の傷を思い出したのか、ダメージを受けて泣いていた。


「この人のせいで、広樹くんの価値を不当に下げられていた事を知った元カノさん達は、再び広樹くんへの想いが燃え上がり、復縁を迫ったのだろうけど…。


広樹くんに「親友の元カノと付き合ったら、奴に辛い思いさせるから、復縁は出来ない」と言われてしまい、広樹くんが、本当に友達想いの性格のいい子である事、だからこそ復縁はあり得ない事、そしてそんな人を裏切って、親友から彼女を奪うようなひどいレベルの男と付き合ってしまった自分の愚かさ、醜さそんなものを思い知らされて、元カノさん達は絶望して立ち去って行ったのだと思うわ。

まぁ、言うなれば、広樹くんは彼女達に『無自覚ざまぁ』をしてしまった形になるのかしら?」

「お、俺、元カノ達に『無自覚ざまぁ』なんて大それた事をしてしまっていたんすね…!||||」


俺は震え慄きながらも、


③どうして彼女達はあなたに復縁を迫って来たのか?


という謎も解明され…。


ん?


「あれ?3人目の彼女、如月さんは何故、『無自覚ざまぁ』後も全く気にする様子もなく、言い寄ってくるんでしょうか?」


「ああ…。如月さんは…えーと、物事をあまり深くは考えられない人なんじゃないかしらね…?」


俺の問いに、涼子さんは困ったような笑みを浮かべてそう答えた。


「まぁ、これでNTRの謎は解けたかと思うけれど、後は広樹くんがこの人との関係をどうするのか、それが問題ね。」


「…!」

「ひっ!」


涼子さんの言葉に、もはや青褪め過ぎて、顔色が緑色に差し掛かった鉄男に俺は向き合ったのだった…。





*あとがき*


読んで下さり、ありがとうございます。


先週から今週にかけて特に多くの方にフォローや、応援、評価頂けて嬉しいです✨(;_;)✨


本当にありがとうございます!!


NTRの謎は解明されましたが、広樹は鉄男に対してどう対応するのか。槇村先輩との関係はどうなるのか、最後まで見守って下さると嬉しいです。


今後ともどうかよろしくお願いしますm(_ _)m


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