第17話 ジョアンナの復讐
「うわっ、今のはなんだったんだ? まるで、魔王がアリアナの家来みたいに従っていたけど?」
「ふふん。魔王はね、アリアナに夢中なのよ。心底、愛しているってこと! ところでさ、あんた、アリアナに婚約破棄したんでしょう? そんな程度の顔で? そんな程度の足の長さで? たかが人間の王太子風情が? おまけに、アリアナにえん罪をなすりつけたなんて許さないんだからっ!」
「レオナルドの大事にしている物を全部、隠しちゃえ! クズの宝物よ、魔界の魔尊木のツリーハウスに移動せよ」
「なんてことだ。私が偉大な王になるための計画日記まで隠してしまうとは」
「へぇーー、これが一番大事なものなんだ。なになに……側妃を5人つくり、愛妾は50人はべらす? くっだんない! 世界を統一して大帝国を築き上げる? 無理、無理! 歴史に残る大帝国の皇帝となり魔界や天界をも支配する? なにを寝ぼけているのよ? どれも実行できない、ただの夢物語や思いつきに過ぎないわね。こんなの隠してもゴミになるだけだから返してあげる」
「おっと、一番大事な物を忘れていたわ。『アリアナ・スクプリタム』を回収しなきゃ。だって、あれはアリアナが発明したものでしょう? アリアナを虐めたあんたたちが使っていいわけないじゃない?」
『アリアナ・スクプリタム』と王家の財宝がレオナルドの前に現れ、一瞬で消えた。
「あんたはアリアナに、王室財宝横領の罪を着せたのよね? だったら、財宝はアリアナが持っているほうが自然だわ。もちろん、アリアナのことだから、貧しい者たちに配ることになるだろうけどね。それから、あんたはもう絶対アリアナの夢に出てきちゃダメよ。今度こそ、魔王に殺されちゃうから」
「夢に出たくて出たわけじゃないぞ。それはアリアナの問題だろう?」
「魔王にそんな言い訳が通じると思うの?」
「……思いません」
「まぁ、修道院にでも入って毎日神に祈っていたら、魔王も殺しはしないかもね」
その後、レオナルドはなにかに追い立てられるように修道院に入り、一生をそこで神に祈りを捧げて過ごした。彼は悪夢にうなされると、決まって同じ言葉を口にした。
「魔王様、申し訳ございません。許してください、お願いです。二度とアリアナ様の夢には出ませんからぁ~~!」
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