町外れは夕暮れどきから沈みだす

坂上田村麻呂

側から見たら虚空に向かって喋るヤバい人

ふぁああ…ねむい……

プールの後に国語とか…学校側が殺しに来てるでしょ…


暇だし、少女漫画ごっこでもするか…ふっ…

俺の名前はあきしなはると、明るい明に科目の科、春が来るの春に翔ぶの翔で明科春翔、よく苗字の漢字を秋と間違えられ…


ガチャーンッッ 


な、なんだ!?


「手を挙げろ!!さもなくば撃つぞ!!」


ガクッ 思わずついていた肘が滑る


は!?テ、テロリスト…!?こんなの小学生の妄想じゃあるまいし……


トンッ


な…に………


____________

__________________【記憶が途絶えました】


「やはり…どーりで……たしかこの方…いえ、明科様の記憶では《転生》と呼ばれていましたね、と言うことはわたくしは《転生》したのでしょうか…」


落ち着くのよ、アローナ、わたくしの得意分野でしょう…父が殺された時さえわたくしは落ち着いていた、深く息を吸うのよ…


すぅう…はぁあ…


整理致しましょう、まずわたくしは貴族、〈ヴァレナ家〉のメイド長、『ブリアンナ・ローズベリー』が一人娘『アローナ・ローズベリー』そして『明科春翔』の転生体……一体全体どーゆーことですの……先ほどの【回視】…わたくしはここ一年の記憶がない…だからこそスキル【回視】で記憶を辿ろうとした…はずでしたの


でも記憶を辿れなかった…だろ?


!?あなたは…!?脳内に直接話しかけられているこの感覚…テレパシー!?


違う違う、直接脳内に〜!とかじゃなくて、脳内にいるんだよ


どーゆーことですの!?


……うーん、どーゆーこと…?えーっとね、

まず俺、明科春翔、転生というのはちょっと違って、うーーん…俺の魂が君の体に入ったって言えばわかる?


えっとつまり…、私の体に明科様の意思が入っている…と?


そーそー!!ソユコトッ!!君頭いいねー


ありがとうございます…?

と、とゆうか何で私の体に!!


簡単に言えば体の相性が良かったからかな?、あ、下ネタじゃないよ?


それはわかっております!!!


あはは、俺さ、殺される時、死にたくないって思ったんだ、なんでだろ、未練なんて何もないのに、ゆっくり、気ままに、生きたかったなぁ…家でも学校でも塾でも居場所がなかったからかな…でも…君は俺を受け止めてくれる気がして…理由はわかんない、ここにいる理由も死んだ理由も何もかも


……少しぐらいなら…わたくしの中にいてもよろしくてよ!!


あはは、ありがとう、あ、そうだ、ひとつ質問いい?


何でしょうか…?


俺の記憶を読んだ時、君、あ、えーと、アローナちゃんさ、やはりどーりで、って、あれどーゆー意味?


アローナでかまいませんわ、そうですわね、単純に、最近記憶の混濁が激しいかった…と言えばよろしいのでしょうか、記憶がないと言うよりは、記憶はあるのですが、わたくし意外の誰かに操られている感覚かここ一週間ありましたの、そのため、わたくしは記憶を遡り、えっと…明科様…?


春翔でいいよ


は、春翔様にたどり着いたわけです…はい…


様つけなくていいんだけどなぁ…、あ、えっとね、俺は君の記憶を読めるんだけど、君は俺の記憶をその、【回視】?で見なきゃわからない感じ?


えっと…はい…そうです…


そっか…ねぇ、アローナ、ゆっくり、気ままに生きてみない?


は、はい…?え、えっと…それはどーゆー…?


俺が君の中に入れた事、何かが原因なわけでしょ、そして原因で1番思いつくのが俺の死ぬ間際の願い、ゆっくり、気ままに、生きたかった、これだと思うんだよねぇ


な、なるほど


だからさ!!生きてみない?気ままに!!ゆっくり!!さ!!


…いいのですか?私なんかが…


俺と君がこうやって話しているのは、俺がゆっくり、気ままに生きたいって願ったからにしてはあまりに出来すぎていると思わない?

少なからず、いや、君はいつも思っていたんじゃないか?ゆっくり、気ままに、って


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