7.まさかのスカウトとその理由

 まず、スカウトの話しを聞く前に、俺がどうしてそんな莫大な魔力を持っているのか聞かれたため。俺は別に隠すことじゃないと、争いに巻き込まれ、攻撃を受けた衝撃で、もしかしたら魔力が増えたかもしれないことを話した。


 勿論、前世を思い出したことや、地球のこと、日本のことは話さなかった。そんな話しをしても信じてもらえるか分からないし。もし信じてくれたとして、どう考えても面倒なことになりそうだったからだ。


 話しを聞いている時の魔王と勇者と大賢者の表情といったら、まぁ、興味深々という感じです。少しでも気になることがあれば、ずいずいと細く聞いてきたからな。

 もしもここで前世や日本のことを話していたら、全く話が進まなくなっただろうし、俺は離してもらえなくなっていただろう。


 そうして俺の話しをした後は、どうして俺をスカウト、なんてことになったのかを聞いた。


 ここは魔王と勇者、そして2人の仲間達が作った、どんな種族も差別なく、みんなが楽しく幸せに暮らせる街。最初は何もなかった森が、今では中心の大きな街以外にも街ができるほど発展を遂げて。今でもどんどん街は発展の最中だ。


 だけどそれをよく思わない奴らがいるだろう? まぁ、そんな奴らにも色々な思惑があって。


 どうにか悪魔と勇者を説得し、この街自体を手に入れようと、魔王と勇者の戦力を手に入れようとしている奴ら。


 魔王や魔物達を悪とみなし、他が正義だと言わんばかりに、勇者に考えを改めさせ。完全にこの世界から悪とされている魔王達を消し、自分達の世界を作ろうとしている奴ら。それと逆に勇者達を害とみなし、魔王の世界を作ろうと考えている奴ら。


 今だけとりあず、魔王と勇者に取り入り、後から全てを支配しようと考えている奴ら。

 

 と、こんな風に、森の外には沢山の敵がいて。説得とか取り入れられようとか、こういう奴らに聞い撃されることは稀だが。他の敵対してい奴らはいつでもこの森を攻撃してくる。


 もちろん魔王と勇者。そしてなぜか大賢者がここでマッサージ店を開いているんだ。他からの攻撃されたところで、なんてことはないんだけど。


 それでもここに住んでいる、ここに滞在している人達の中で、力のある者達には。魔王や勇者達が不在の時に攻撃を受けた時、力の弱い者達や子供達を守ってもらいたいと。お願いをしていると。


 そしてここに居る人達は、ここが大好きな人ばかりだからな。みんな魔王や勇者の話しに納得し、この素晴らしい街を守るってくれてるって。人によっては、それぞれ守る場所の担当が決められているらしい。


 それで、もしも俺がこの街を気に入って、これからここに住むならば。それか住まなくても長期滞在するのであれば。その間俺の力も貸してほしいって。それのスカウトだったんだ。


 でも俺は魔力に目覚めたばかりで、基本的な初級魔法しか使えないのは、真実の目で、それは確認済みだったから。

 もしもこの街を守ってくれるのなら、しっかりと魔法を教えようと考えていると。しかもその魔法の先生は、大賢者だって言うじゃないか。


 大賢者だぞ? 世界の国々がどんな事をしてでも、自分達の戦力として欲する、魔王と勇者に続く力の持ち主で、人々から絶大な信頼もあつく。

 弟子を志願する者が後をたたない。でもどんなことがあっても、弟子を取らないと聞いていた大賢者が、俺の魔法の先生に?


「勿論すぐに決めろなどと、そんなことは言わない。この街のためにとお願いしているのだから、よくこの街を知ってもらわなければ」


「お前、確か30日ここで過ごすって申請してただろ? その30日を過ぎて、もし次回もこの街に来てくれて。それで更にこの街を知った上で、俺達の話しを考えてくれれば良い」


「なにせ、この街は素晴らしい物ばかりじゃからの。そして素晴らしい人々ばかりじゃ。そんな素晴らしい物をよく知ってから考えてもらえれば……」


『住みます!! ここに住んで街を守ります!!』


 うん、即決だった。だってまさかみんなの憧れの大賢者に、魔法を習うことができるなんて。こんな素晴らしい事はないし、俺も魔法が上達するならばありがたかった。


 勿論それだけじゃない。まだその時は数週間しかこの街に滞在していなかったけど、俺はこの街が大好きになっていたし。ここで暮らしている人々のこともとても好きになっていた。


 この素晴らしい街で暮らせて、魔法も使えるようになって、この街のために俺の力を使えるなら。こんな良い話し、断る方が馬鹿だ。と思った俺はすぐに了解したんだ。

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