「魔法学校の裏切り者」

第5話 過去の影

アリスとベンジャミンは、古文書の内容をさらに詳しく調べるため、エルフィンアカデミーの地下にある秘密のアーカイブ室へと足を運んだ。このアーカイブ室には、アカデミーの歴史に関する極秘の記録や貴重な文書が保管されており、一般の生徒にはアクセスできない場所だった。しかし、エレノア教授の推薦により、特別に入室を許可されたのだ。

地下のアーカイブ室に入ると、古びた木製の棚や石造りの壁が静かに佇んでいた。蝋燭の薄明かりが、重厚な雰囲気を醸し出していた。二人は慎重に文書を探し始めた。

「ここにはきっと、過去の事件に関する詳細な記録が残されているはず」とベンジャミンがつぶやいた。

「そうね。あの古文書だけでは分からないことが多すぎるわ」とアリスも同意した。

二人は慎重に棚を巡り、関連する記録を探していた。そして、ついに古びた巻物を発見した。その巻物には、エルフィンアカデミーで過去に起こった闇の力に関する詳細な記録が書かれていた。

アリスは巻物を開き、読み始めた。「ここに書かれているのは…数百年前に起こった大きな事件のことね。闇の魔法使いが現れ、アカデミーを恐怖に陥れたって。」

「この魔法使いは、一体どんな方法で闇の力を手に入れたんだろう」とベンジャミンが興味深げに尋ねた。

「巻物には、彼が禁じられた魔法の書を盗み出し、それを利用して闇の力を得たと書かれているわ。でも、その魔法使いがどこから来たのか、なぜそんなことをしたのかは明記されていない…」アリスはさらに巻物を読み進めた。

その時、ベンジャミンが別の古い本を取り出し、中を覗き込んだ。「アリス、こっちにも重要な情報があるよ。過去の闇の魔法使いに関する詳細な記述が書かれている。」

アリスはベンジャミンの本を手に取り、読み始めた。そこには、闇の魔法使いが持っていた特別な魔法道具や、その力について詳しく説明されていた。また、彼がアカデミーに潜入し、禁じられた魔法を使って闇の力を呼び覚ました経緯も書かれていた。

「この魔法使いが使った魔法道具が、今回の事件と関係している可能性が高いわね」とアリスが結論づけた。

「でも、どうして今になって再び闇の力が現れるんだろう？」とベンジャミンが疑問を投げかけた。

「それを知るためには、さらに調査を進める必要があるわ。私たちが今できることは、過去の事件と現在の事件をつなげる手がかりを見つけること。そして、その手がかりをもとに対策を講じることね」とアリスは決意を新たにした。

二人はアーカイブ室を後にし、再び図書館へと戻った。彼らは過去の記録をもとに、現代の事件との関連性を探り続けた。そして、次第に浮かび上がる真実に驚愕しながらも、彼らは闇の力に立ち向かうための準備を整えていった。

エルフィンアカデミーは再び闇の脅威に直面していた。しかし、アリスとベンジャミンは決して諦めず、真実を追い求め続けた。彼らの奮闘は、やがてアカデミーの運命を大きく左右することになるのだった。