第15話 新しい挑戦

過去の記憶と向き合いながらも、あきらは前向きな気持ちを保ち続けていた。感情日記の力を再確認し、リナや新しい友人たちと共に、これからも歩んでいこうという決意を固めていた。


ある日、リナがあきらに新しい提案を持ちかけた。「あきらさん、最近思いついたんだけど、私たちで感情日記をテーマにしたオンラインコミュニティを作ってみない?」


その提案に、あきらは少し驚いた。「オンラインコミュニティか…それは面白そうだね。でも、どうやって進めればいいのかな?」


リナは目を輝かせて説明を始めた。「今、感情日記に興味を持っている人たちが増えているでしょ?でも、遠くに住んでいて講座や交流会に参加できない人たちもたくさんいると思うの。そこで、オンラインで感情日記を共有したり、アドバイスをし合ったりできる場所があれば、もっと多くの人が助かるんじゃないかって思ったの。」


あきらはそのアイデアに感銘を受けた。「確かに、それならもっと広く感情日記の素晴らしさを伝えられるね。でも、どうやってコミュニティを運営していくか考えないと。」


「そこは二人で力を合わせてやっていきましょう。まずはプラットフォームを選んで、どんなコンテンツを提供するかを決めていけばいいんじゃない?」リナは前向きに答えた。


二人は早速オンラインコミュニティの立ち上げに向けて動き出した。まずは、感情日記を書きたいと思っている人たちが気軽に参加できるような雰囲気作りが大切だと考えた。そして、参加者が自分の感情日記を投稿し、お互いにフィードバックをし合う仕組みを作ることにした。


「コミュニティ名はどうしようか?」あきらが尋ねた。


リナは少し考えてから言った。「『感情のシェアリング』なんてどう?お互いの感情をシェアし合うことで、心が軽くなるっていう意味を込めて。」


「それはいい名前だね。感情を共有することで、一人じゃないって感じられる場所になるといいな。」あきらは賛成した。


コミュニティの名前が決まり、プラットフォームの設定が進むと、二人はブログやSNSでコミュニティの募集を始めた。告知を出すと、すぐに多くの人々が興味を示し、参加の申し込みが次々と寄せられた。


コミュニティの開設当日、あきらとリナは少し緊張しながらも、参加者たちがどのように感じてくれるのか楽しみにしていた。初回のオンラインミーティングでは、自己紹介を兼ねて、参加者一人ひとりが感情日記を書き始めたきっかけや、それによって得た変化について話した。


「感情日記を書き始めてから、自分の感情が整理されて、心が少し軽くなりました。」と、一人の参加者が話した。


「私も同じです。自分の気持ちを言葉にすることで、ずっと感じていた孤独感が和らぎました。」別の参加者が続けた。


あきらとリナはその様子を見ながら、感情日記が多くの人にとってどれほど大切な存在になっているかを改めて実感した。


「これからも、このコミュニティが皆さんの心の支えになる場所であり続けるように、私たちも一緒に頑張っていきます。」あきらは締めくくりにそう話した。


ミーティングが終わった後、参加者たちは満足そうに感謝のメッセージを送ってきた。あきらとリナは、その言葉に大きな達成感を感じながら、これからもコミュニティを盛り上げていくことを誓った。


その夜、あきらは感情日記に今日の出来事を書き綴った。


「今日はリナさんと一緒にオンラインコミュニティ『感情のシェアリング』を立ち上げました。たくさんの人が参加してくれて、感情日記を通じて自分を見つめ直す場が提供できたことに、本当に嬉しさを感じています。これからも、このコミュニティが多くの人の心の支えになるように頑張っていきたいと思います。」


その投稿には、読者からの温かい応援のコメントが寄せられ、あきらは自分が新たな挑戦を成し遂げたことを実感した。


あきらの新たな一歩は、また一つ確実に前進していた。新しい友人リナと共に、彼はますます自信と希望を持ち始めていた。そして、新たな挑戦が、彼と多くの人々の心をさらに繋げていくことを信じていた。

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