第190話 娘の相手よ、僕を倒して行け! テンプレです

アイリスさんと結婚するということで、彼女とユーニスを村に招待しようと思う。

というか、顔を合わせていない妻とかいたりする。

リネットとか、ネルとか。

父さんと母さんにも会わせてなかったりして……

うん、わかっている。

遅いよね。


アイリスさんたちは人魚のため、水辺での生活が基本となる。

月二くらいで崖向こうの村に行っているが、他の妻たちに比べると会う回数が少ない。

彼女たちにしてみれば、もっと村に来て欲しいのだろうが……

寂しい思いをさせているかもしれない。

気軽にこっちに来れるように、転移の魔道具を渡そうかな?


ということで、転移の魔法を使い、二人を村に連れて来る。

家の前だ。


「ここが僕の生まれた村だよ。そしてこれが僕の家」


「……綺麗な村ですね」


「ほえー、パパのお家でっかいねー」


アイリスさんはおしとやかに。

ユーニスが口を開けて、家を見上げている。

崖の村には二階建ての建物はないからね。

というか、僕の家は、この村で一番大きい。

村長宅より大きいのもどうかと思うが、人数が多いからしょうがない。


「ただいま。アイリスさんとユーニスを連れて来たよ」


「おかえり、ルー君。いらっしゃい、アイリスさ、ユーニスちゃん」


エレノアさんが出迎えてくれる。

居間では他の女性たちが揃っている。

リネット、フィオナさん、ティーレ、ミラベルさん、レティ、レア。

珍しくネルもいる。


「初めまして。アイリスと申します」


「……さすがに人魚ね。美人じゃない……」


「いえ、リネットさん。私はそれほど……。他の奥様がたの方がお綺麗です」


アニエスさんはさすがにそつがない。

大人の女性だね。


まあ、みんな美人だと思う。

僕がよくこれだけの女性に好きになってもらえたと思う。

できすぎだ。


転生後に目指していた未来は、愛する人と一緒にゆっくりとした人生を送ることだった。

ゆっくりと、丁寧に生きていく。

そして、あたたかい縁側で世間話をするような老後を送る。

そんなイメージ。

子供がいてもいいし、いないでもいいかなあ。


今は、いろいろ想定外がある。

妻の数が多いこと。

色々生活が忙しいこと。

……重い問題がたまに発生すること。

なぜか僕が頼られること……

だけど、幸せではある。


なら、それでいいのだろう。

将来の予定なんて、だいたい外れるものさ。

目指してみて、方向修正をちょこちょこ繰り返す感じ。

全然別なところに行きついたとしても、一番大事に思うことが達成できるなら良い。

きっと僕はシンプルに幸せになりたいだけなのだろうね。


そして、僕の幸せは妻たちの、村人たちの幸せの上に実現されるのだろうね。


と、膝にユーニスを乗せて、座りながら考えたりする。

ユーニスの柔らかい髪の毛が気持ちいい。

ちょっと頬で感じてみたり……


「パパ、くすぐったい」


「もうちょっとだけ……。久しぶりだから」


「ルー君、私にもユーニスちゃんを下さい」


エレノアさんに促されて、しぶしぶユーニスを譲る。

ユーニスは可愛いからね。

すぐにみんなの人気者だ。


「やー、やっぱり人魚さんは可愛いね。いいなあ、私もこんな可愛く生まれたかったよ」


「フィオナさんは才能が有るからいいじゃないですか。私なんて、ちょっと顔がよくて胸があるだけですよ」


「ほほう……。ミラベルちゃんは喧嘩売ってるのかな? 買うよ、ちょっとくらい高くても全然買うよ」


「やー、違います! ごめんなさい。調子に乗りました。許してください!」


ミラベルさん、土下座の勢い。

うーん、いいね。

ミラベルは安定の面白さだ。


いつの間にかユーニスはティーレが抱いていた。


「子供……。いいですわね」


こちらを見ている気がするが、無視。


「お姉さんも、パパの奥さんなの?」


「そうよ、ユーニスちゃん。もうちょっと待っていてくださいね。すぐに妹ができますから」


「ほんと! ユーニス、妹欲しい!」


ティーレが……

しかし、無視だ。



夕食は肉料理をメインとする。

アイリスさんとユーニスはいつも魚料理を食べている。

しかし肉が嫌いということではない。

たまに食べたくなるとのこと。

ならば、こちらの魔獣の肉でもてなすのが良いだろう。

味付けはなるべくシンプルが良いだろう。

香辛料は少なめに。

ユーニスが子供だからね。

兎肉のから揚げ、猪のステーキ、鹿肉の鍋。

野菜も好きなので、アスパラのチーズ焼き、トウモロコシのポタージュ、トマトと貝柱のサラダ。


「お料理をこんなに……。私たちのために。ありがとうございます」


「アイリスさんからはお魚をたくさんもらっているからね。村に来た時はお肉を食べてもらいたくて」


「ユーニス、唐揚げが好き! あと、パパのトマトも好き!」


ユーニスは嬉しことを言ってくれる。

さすが……アイリスさんの娘か……

大人になったら母似になるのだろうか……

性格も……



夜。

今日はアイリスさん、ユーニスと川の字でベッドで寝る。

ユーニスはすでに夢の中。


「嬉しかったんだと思います」


アイリスさんがユーニスを愛おしそうに撫でている。


「村に来るのが?」


「はい。ルーカスさんの生活しているところを見れて」


そっか……

もう少し早く連れてくればよかったな……


「どう、妻たちとは仲良くできそう?」


「はい。みんないい人ですから。……みなさん素敵な方で少し負けそうですけれど、負けません」


「あー、そこはお手柔らかに、ね」


「ティーレさんが、お子さんを欲しがっているようですね。ですが、私も子供が欲しいですわ」


それは、知っている……


アイリスさんが妖艶に微笑む。

しかし、僕らの間にはユーニスが寝ている。


「ユーニスは一度寝たら起きませんわ」


それも……事実なんだよなぁ。


子供の時間は終わる。

大人の夜はまだ始まったばかり。

そういうことらしい。



翌日、ユーニスと一緒に村を散歩する。

アイリスさんはエレノアさんに料理を教わっている。

転移の魔道具も渡したし、食生活もより改善するはずだ。


村どうしの商売も増えている。

コーディ君が欲しいものをリストアップし、僕が買い付けに行っている感じ。

こちらからは野菜を売っている。

あちらでは、やっぱり野菜が少ないみたいだ。

人魚さんたちは農業が不得意みたい。

水属性の種族なので、大地関連とは相性が悪いとかあるのかな?



夏の日差しが少し強い。

エイリアナが遊んでいるためか、村には爽やかな風が吹いていることが多い。

それでも夏は暑い。

夏の気温が上がらないと育たない作物もあるから重要ではある。


「暑い、大丈夫?」


「うん。大丈夫! ユーニス、水魔法使えるから!」


ユーニスは手を胸の位置に、魔法を発動。

水の球が浮かぶ。

それを頭上に運び。

パリッ。

それが弾け、水が雨のように降り注ぐ。

ユーニスのドヤ顔。

かわいいね。


さすが、人魚。

この年齢から水魔法ができるとは。

ユーニスに会って、一年弱。

成長しているな。

嬉しくなって頭をグリグリする。


「うにーー」


目を細めて気持ちよさそう?

僕が気持ちいいからいいかな。



道を歩いていると子供たちを見つける。


「あれ? ルーカスさん、その子は?」


バーニー君と友達たちだ。

バーニー君はスージーの弟。

確か年齢はユーニスの一つ上だったはず。

スージーはクリフ君に嫁入りしたので、バーニー君が実家の農家を継ぐことになりそうだ。


「僕の娘だよ」


「え、ルーカスさん子供いたんですか?」


「うん。妻の連れ子。仲良くしてね」


「ユーニスって言うの……」


僕の後ろからおずおずと子供たちに挨拶する。

向こうの村は子供が少なので、ちょっと人見知りだろうか。


「バーニー君、ユーニスと一緒に遊んでくれる?」


「うん! いいよ! 一緒に行こう」


バーニー君がユーニスの手を取る。

ユーニスは僕を見る。


「いいよ。暗くなる前に帰ってきてね」


「うん!」


ユーニスが嬉しそうに笑う。

子供たちは一緒に走っていった。


やっぱり、子供は子供と遊ぶのが楽しいだろう。

この村に慣れてくれると良い。


うーん……

ちょっとジェラシーを感じたり。

娘をとられる父親の気分を先取りしているようだ。

ユーニスは将来アイリスさんのように美人になるだろう。

きっと、モテると思う。

彼女の相手……

どんな男性なら僕は納得するのだろう……

ま、ユーニスが好きならいいのかなあ?

きっとそのときは悩むんだろうけど。



さて、アイリスさんと妻たちの顔合わせは無事に終わりそうだ。

残る問題はもう一つ。

もう一人の妻の実家。

そっちのほうが大変かもしれない。

もう少し頑張りましょう。

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