第166話 神国の召喚って人数多いね

「サカイはバダンシュヴァール神国が召喚した異世界人にゃ」


猫さんは話し出す。


「召喚されたのは十八人にゃ。スライムの魔王と戦ったにゃ」


スライムか……

なんかとてつもなく強そうに思うが……

主人公感がある。

普通のスライムなら、魔王でもそれほどではないか?

あのスライムでなければね。

龍人や、堕天使、吸血鬼とかに比べたらまだマシ?


「でにゃ、そこで二名死亡したにゃ」


むう……

さすがに死者が出るか……

魔王と呼ばれるだけはある。

……主人公系のスライムだったか?


「そのこともあって、アイツらは神国に不信を抱いたにゃ…… んで、サカイを中心にしたメンバーは国を出たにゃ」


魔王を倒した後の待遇が悪かったのかな?

もしかしたら、元の世界に戻れると偽って戦わせていたのかもしれない。

その嘘がバレてとかかもね……

まあ、良くある話ではある。


「国を出たのは十人にゃ。神国に残ったのが六人」


あれ、出て行った人数の方が多いんだ。

神国どんな待遇だったんだよ……

ダメな国かもしれない。


さて、猫さんの話だと……


国に残ったグループ六名。

・ハルト・オオタニ:光の魔法使いらしい。勇者と呼ばれている存在。残った側のリーダーだ。

・カズマ・コニシ:戦闘系の能力。詳細は不明。オオタニと一緒にいることが多い。

・セイジロウ・マスダ:能力不明。非戦闘系。眼鏡。

・サオリコ・ナガツカ:魔法系能力。

・スズ・カタギリ:能力不明。

・ミズキ・アサノ:能力不明。


国を出たグループ十名(現在は八名)

・ユウダイ・サカイ:経験値増加。現サンバートフォード王国、国王。

・レナ・トリイ:攻撃魔法系能力。王都で存在が確認されている。

・オオクボ:能力不明。非戦闘系。

・ミズノ:能力不明。非戦闘系。

・ガク・ナイトウ:防御力の超強化。サカイと共に戦闘系のメインを張っている。

・ソウヤ・ホンダ:アサシン系の能力。

・トウゴ・ワタナベ:精神系魔法の能力。

・シュウタ・モリ:錬金術系の能力。

・アオバ・オカベ:戦闘系の能力。ドラゴン戦にて戦死。

・モエ・サカキバラ:魔法系能力。ドラゴン戦にて戦死。


魔王戦において戦死した二人。

・イシダ:能力不明。

・カトウ:能力不明。



なるほど……ドラゴン戦ね……

魔王と戦うような強者たちがそこで2名戦死。

それなら相手は高位のドラゴン。

おそらく神龍。

フィリーマリーさんだろうね。

もの凄く、その可能性が高い……


「ねえ。その酒井たちが戦ったドラゴンてどんなのか分かる?」


猫さんはちょっと首を傾げてから。


「たしか、毛先が青白い毛で覆われた美しいドラゴンだったと聞いたにゃ」


青白い毛のドラゴン、ね。

ティーレが白い毛のドラゴンだから……

……

酒井はティーレ行きか。

お疲れ様でした。


あとはどうやってティーレを酒井のところまで連れていくかってことだよね。

他の召喚者をどう排除するか。

なるべくなら各個撃破が望ましい。


僕とティーレがサカイを排除するとして、だけど民衆には僕たちが主力と思われないようにしたい。

英雄に祭り上げられないように注意だ。

英雄なんて呼ばれると後で動きにくくなる。

それに変に期待を掛けられても迷惑だ。

僕らはティーレの娘さんの敵討ちをするだけ。

私闘だ。

結果的に国を救うことになるだけ。

英雄なんて立派なものじゃない。



「そうですか…… サカイは六名も召喚者の仲間がいるんですか……」


エドガールが暗い表情をする。


「ん? 七名では?」


「私とラウニャさんでナイトウを倒しています」


ほう……

酒井と並んで主力の内藤を倒したのか。


「へえ、ラウニャさんて強いんですね」


ラウニャさんを見つめてみる。

彼女は明らかに狼狽する。


「ち、違うにゃ! ラウニャは強くにゃいにゃ! 全然にゃ! だからラウニャと戦いたいとか思わないで欲しいにゃ!」


うん、知ってる。

たぶん彼女は暗殺系の能力者。

直接戦闘力は低いと見た。

だって師匠と父さんが反応していないしね。


しかし、ここは戦闘狂の村として有名なのか。

こんなに猫さんが怯えるとはね。


さて、魔王と戦うような者があと酒井を含めて六名。

それを一緒に相手にするのは確かに難しい……

が、さらに一人は減るはず……


「猫さん。その森っていう錬金術師はどのような風貌かわかる?」


「猫さん? 猫じゃないにゃ! 猫人にゃ!」


おお、そこはこだわりがあるんだ。


「ごめん、ごめん! ラウニャさん。で、森なんだけど……」


「みにゃ! ちゃんと反省してるかにゃ? まあ、許すにゃ。モリは体の小さな男の子にゃ。普通の顔をして、気の弱そうな感じにゃ。全然強そうじゃないにゃ。錬金術師でメンバーの重要人物にゃが、それほど優遇されていにゃいにゃ。サカイはバカにゃ。ワタナベも侮られているにゃ。モリとワタナベがいなかったとしたら、国王に成れなかったにゃ!」


ふむ。

ラウニャさんも、森、渡辺を警戒しているんだね。

で、森の特徴は、僕が倒した錬金術師と一致している。


「あ、森だけど、きっと僕が殺しているよ」


「にゃ! 嘘にゃ! モリはアジトからほとんど出てこないにゃ。会わないにゃ!」


「え、ルーカス君、どういうことだい? まだ報告を受けてないけど」


「はい。村長……」


王都、錬金術の素材屋での話をした。


「なるほど…… 転移の魔道具を持っていた錬金術師か。確かに凄腕の錬金術師。そして、サカイの名前に反応と、外見の一致。……確かにね」


「ラウニャさんの情報を信じるならですが……」


「ラウニャは嘘をつかないにゃ!……今度は……」


ラウニャさんは怯えた表情で僕を見る。

もう、辺境伯暗殺のときに嘘をついたのを、僕は許してますって。


「はい。信じますよ。それで、彼らの中で唯一の錬金術師を僕が倒しました。かなりの戦力を削ったことになりますね」


戦闘を実際に行う酒井よりも、搦手を行う、例えばホンダ、渡辺の方が怖い。

残りのメンバーで気になるのも、非戦闘の能力を持つ、オオクボ、ミズノ。

漢字は大久保、水野かな。

こちらの方が怖い。

おそらく、酒井ではティーレを倒すことはできない。

だが、搦手があれば、どうにかできる可能性は残る。

小さいけどね。

だから、今回、森を除いたのが大きい。


ラウニャさんたちが内藤を倒してくれたのは嬉しい。

しかし、それはそれほど難しいことではないかもしれない。

防御力がもの凄く上昇する能力。

ただ、それだけ。

あの映画のように溺死させることもできるし、精神魔法で心を壊すこともできるだろう。


……師匠や、父さんのように身体強化も強いと色々と難しいけどね……魔法抵抗が高いから……

それにあの人たちは勘がね……

戦闘の天才だから。

例外だ、例外!



さて、森がいなくなったことにより、対応はだいぶ楽になった。

おそらく簡単に転移ができなくなったはずだ。

拠点に戻る魔道具はあるので逃げることはできるが、転移先を調整できないので攻めることができない。

簡単に暗殺はできない。

そうだね。

あとは暗殺者のホンダが邪魔だなあ。

狙われるのがティーレとか師匠とか父さんならきっと撃退できる気がするが……

まあ、それは狙わないだろう。

狙うのは影響が大きい人。

アンディ王子、フレデリカ王女、勇者エルリックかな。

エルリックならいいのに。

たぶん何とかするだろう、きっと。



『ああ、エルリックだがな』


エルミリーがいた。

移動速度が速いから、いつの間にかいたりする。


「あ、久しぶり。エルミリー」


『いや。いつもいるが、話しかけないだけだが。まあ、その光の戦士だが。向かっておるぞ、村に』


「え、村に?」


なるほど、光の精霊だから、光の勇者の情報は詳しいのか。

何か用があるのだろうか?

この時期に、エルリックが村に移動。

そして僕を頼る?

何かある、しかない。

しかし、奴には転移の魔道具を渡していないので、来るのを待つしかない。


『イザベル姉さんも一緒におるな』


「え、なら、ミラベルさんも?」


『ああ、おるぞ』


それなら迎えに行ける!

……迎えに行く?

それほどエルリックに会いたくないなあ……

勇者だし、向こうの後輩だし……

いいように頼られそうだし……

この状況じゃあ、行かないといけないか……

せめて、良い話を持って来いよ、エルリック!

可能性は低いか。

きっと面倒事。

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