第6話 俺がスカイフィッシュに間違えられて撃ち落された話 (提供者:ユッキー☆(雷獣・男性))
これは今から三十年近く前の話かな。まぁ俺も、ちょいちょいヤンチャな雷獣ボーイに育っていた頃の話なんだけど。
既に叔父夫婦に引き取られてから五、六年も経って、何だかんだ言いながらも新しい生活にも慣れてきていたんだ。そんな訳だったから、俺も叔父貴たちの許可とかをいちいち取らずに、外で出歩いて遊ぶ事を覚えたんだよ。
と言っても、ああ、心配しないでくれ。兄ちゃんは別に、悪い遊びをしていた訳じゃあない。というか三十年前だから、まだまだほんの妖獣だったんだから、さ。
俺が一時ハマっていた遊びは、夜空を飛び回る事だった。ガキンチョだったから、そう言うのが楽しいって無邪気に思っていたんだよ。雷獣が、ある程度大きくなったら空を飛べるって事はキメラたちも知ってるだろう? 確か俺は、七、八歳の頃には飛べるようになってたっけな。
それはそうと、その日も俺は夜空を飛んでいたんだ。まぁ昔は夜更かししてもそんなに怒られなかったし、夜って言っても午後七時とか八時ぐらいだったんじゃあないかな。それに夜だったらうざったい鴉も鳶も鷹なんぞもいないし、悠々と空を飛べるってやつなんだ。
だけど俺は、俺を狙ってるやつがいたって事に気付かなかったんだ。
気が付いたのは、足許に鋭い痛みを感じた直後の事だった。イラガみたいな毛虫に刺された事はあるか? あれの二五六倍の痛みが、俺の足を貫いたんだよ。
もちろん、痛みで飛ぶどころじゃあなかったから、俺はそのまま墜落した。落っこちながらも、何故か人型に変化するのは忘れなかったけどな。
「やった……スカイフィッシュを撃ち落とした……ぞ?」
足から血を流しながら転げまわる俺の頭の上から、そんな声が降ってきたんだ。
声の主は、エアガンを持った人間の男だったんだよ。
ああそうさ、げに恐ろしきは人間ってやつだよな。
※
〈話題提供者のひとこと〉
俺の話はどうかな。これまではフィクションとか嘘松が続いたみたいだけど、今回の話は俺の体験談、つまるところ百パーセント実話だぜ。まぁ、子供の頃の話だから、ちょっとうろ覚えの所はあるけれど。そこは勘弁してほしいかな(苦笑)
え? 俺を撃ち落とした人間はどうしたって? いやぁ、別に俺は報復なんてしてないよ。ああだけど、俺が撃ち落された近辺で、変な事が起きたんだってなぁ。一軒だけ停電に見舞われた挙句、合成獣みたいなバケモノに追い詰められる悪夢を見たんだってさ。スカイフィッシュが……とそいつは呟いていたみたいなんだけど。
いやまぁ……叔父貴と月姉の仕業だろうね。だけど、二人は俺の事を思ってやった事だろうし、そいつの生命まで奪ってないからさ、悪妖怪だなんて言ってくれるなよ。
※
〈総括〉
人間に襲われたのに人間を憎まないユッキー☆兄さんはマジで妖怪の鑑。まぁ叔父さんたちは、そう言う事をやりそうだなと思いました。兄さんマヂ尊い。
キメラ兄さんからに代わって私サニーの方から補足をしますね。
皆様もご存じかと思いますが、スカイフィッシュはUMAの一種です。平成六年か七年ごろに、アメリカで撮影された動画に映っていたのが最初の発見だったと言われています。
しかし研究が進み、ハエなどの羽虫が飛ぶのが残像として映り込んだという説が有力になっているのが現状です。とはいえ、ユッキー☆兄さんは白い毛並みの持ち主なので、白くて細長いスカイフィッシュにそっくりだと思う人がいてもおかしくないですよね。
それに三十年近く前と言えば、ちょうどスカイフィッシュが日本でも認知された時代でもありますし。ユッキー☆兄さんがスカイフィッシュだと思われたのも、自然な事かもしれません。
それに私たち雷獣や鵺って、UMAに近しい存在かもしれないんですよ。某弾幕ゲームでも、鵺とUFOを結び付けていましたし。
そう言う意味でも、雷獣であるユッキー☆兄さんと、スカイフィッシュが結びついたのは興味深い事かもしれませんね。
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