第41話 開戦のローゼス

 ルーナはローゼスに戻った。


 「ご無事に戻られなによりです、陛下。」ローゼスを統括するNo1ラプラスである。


 「作戦会議よ!ストラトスも呼んで!」3人で作戦統括室にこもった。


 既にルーナは、吸血から神族の血液も解析しており、主神ゼウスを含めてそれぞれの神々の性格、行動や攻撃パターン、弱点など多くの情報を得ていた。


 まず、天界の地上浄化作戦の肯定派は、ゼウス、アポロン、アーレス、ハーデス、プロメテウスらである。


 否定派には、ポセイドン、アテナ、ヘルメスの3神のみである。他は中立を装っている。


 恐らくは先陣を切って攻めてくるのは、気の短いアーレスであろう、過去の聖戦では単独で攻め込んで来る事が多かった事もあり対応し易かったのだが、今回は同じ様にはいかないだろう。


 アーレスは大天使数柱を従え、武器には神器を携え襲ってくるはずである。


 神器で受けた傷は、著しく回復が困難であり、母メルティアもこの神器の傷に終始苦しめられた過去があるのだ。


 この神器にどう対応するかが神族と闘う大きなポイントとなってくるのは間違いなかった。


 そもそも第一に狙われるのは過去に因縁のあるアンブロシアである事は間違いなかった事から、ローゼスはルーナを中心とした最強編成でアンブロシアへ駆けつければ良いのであろう。


 どちらにしても神族の部隊の相手をするのなら、最強の数人で編成を構成する必要があるのだ。


 ルーナの考え方はこうだ!まず先頭には、防御力に抜き出た才能のあるNo2イースを配置。そこへルーナがアテナの血から授かった最強の盾イージスの魔法を重ねて使える様に連携。


 イースの横にはNo10ユニスを配置。絶対切断や絶対破壊などの無敵系の攻撃に対して空間操作魔法で対応する。


 後方には最大火力を有するNo3リューネを配置。


 外殻には高速で外敵を排除出来るNo9フィンを配置して露払いは任せる。


 中央には各AI戦士達に十分な魔力を供給する為に特殊な魔力展開システムを自らの身体に刻み込んで対応する作戦を立てたのだった。


 そんな中、すでに天界は地上を攻撃する準備を整えつつあったのだ。


 これは、天界の一神であるウラノスの占神術によって既に次の聖戦の中心は、ローゼスに有りと宣言された様なのである。


 しかも、ルーナの予想に反して既にアーレスとハーデスは、蘇っており準備はすでに進んでいたのだ。


 そして、まもなくAI機械国家ローゼスが戦場になる事をだれもが知る由もなかった。






 「ルーナ様、何故か私の時読みの業に不吉な陰がさしております。しかも、早急に対応が必要と出ております。」No6ラザレアが報告してきた。


 「どうしたのラーザ、詳しく聞かせて?」


 「人ではありません。もっと強大な力をもった何かです。もう既に私のレーダーに補足できる距離に来ています。数は主敵は一体、周囲には20体の軍勢です。」


 「もう神族軍勢が攻めて来たのか?それも、アンブロシアでは無くこのローゼスに・・・」


 「考えている暇はありません。戦闘体制のご命令をお願いします。」ラザレアの勘は鋭かった。


 予想を上回るスピードで敵は首都メナキアに迫っていたのだ。


 「皆んな!作戦通り出撃よ!」ルーナはメナキアに結界を張ると慌ただしく出撃した。


 「不吉な空ね・・・」黒々とした巨大な雲が薄紫の稲光を讃えて低く低く降りてくるのだ。


 やがて雲の中心が裂けて中央から真っ赤に燃え盛る戦車に乗って腕組みする一柱の神と思われる影が現れた。


 「お前達はローゼスの者か?私はアーレス。天界にて先陣を切るものなり。」


 ルーナは諦めた様に前に出て名乗りを上げる。「私はルーナ。この地を治る女王である。あなた様は戦神アーレスとお見受けするが、なぜ我が治めしこの地に参られた?」


 「天に仇なす、地上の異端の者を一掃する為ここに参った。」


 「・・・アンブロシアでは無く、何故こちらに・・・」


 「もはや、天界の大敵、魔女メルティアはいない。娘である魔女セイラはまだ恐るにたりず。寧ろローゼスの女王・・・否、魔女ルーなこそ次の聖戦の怨敵と占いに出たのだ。」


 『落ち着け、落ち着けルーナ!』予想外の事に恐れ慄く自身の心を鎮める。


 今までもこんな事は時にはあった。思い出したのだ。こんな時に本当に自分を奮い立たせ前に進ませたのは、闘いの中で、自らの力を示した時だけである事を・・・。


 「・・・誰も手を出すな・・・私がこの戦を収める。」


 「いけません!一人で行くのは危険です。」フィンは諫めるがルーナは引かない。


 「貴方たちはみていなさい。私の戦いを!」


 ルーナは震える両手に自らの血液と魔力と神聖力を結晶化させて創った聖剣フランセシアを握りしめ魔力を双剣に巡らせる。


 紅く光り輝き誰もが剣の行方を見失った瞬間、戦闘の火蓋が切って落とされたのだった。





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