第31話 親善試合

 ラバーナの4大国会議が終わり、晩餐会会場に向かう途中。魔王キールと剛魔将ゼノンがルーナの前に立ち塞がる。


 「何か?」ルーナは不敵な笑みを浮かべながら小首を傾げる。


 「どうだ?食事前に運動など如何かな?」


 「ここに争いを持ち込まない約束ではなかったのですか?」


 薄く透けた羽衣を纏っただけルーナは、胸を自ら抱き締める様なポーズを取り挑発する。


 バイオレットスライムに寄生され催淫刺激を受け続けていたルーナは更に色めかしい身体つきになっていた。


 「親善試合なら規則に反しないでしょう?」キールはルーナを通す気は無さそうだ。


 「それでは、まず私がお相手しましょう。」ベガが割って入る。


 「待ちなさいベガ!貴方の強化は未だ不十分。今日は私が・・・」ベガは引こうとしない。


 ベガがキールに襲いかかる。戦いが始まってしまった。


 ベガは液体と固体、自由に性質を変えられる金属骨格を持ち、身体の一部を鋭い刃物に変形させて武器として操るのだ。


 「ダークヴァイン」無数の黒い蔓が尖った形状になりベガに襲いかかる。キールの先制攻撃である。


 ベガも身体の形状を槍の様に変化させて、黒い蔓全てを貫き破壊する。


 ベガの槍の先端には空間衝撃波を放つ構造を付与しており、一度貫かれると瞬時に粉々に破壊されてしまうのだ。


 「タスラムソーン」ベガの身体から細長く鋭い針が無数に放たれる。


 こちらも刺さると空間衝撃波が発生するため命中すれば全てを破壊出来るのだ。


 必死に避けるが一発がキールの左腿を掠める。「パーン!」破裂音と共にキールの大腿部の血肉が飛び散る。


 「かかったな・・・」キールは隙を狙っていたのだ。ベガは空間に張り付けられ動けなくなった。


 「クルシフィクション」


 キールは指定した空間に極めて強い電磁波を発生させる事によって、対象を任意の空間に固定してしまう事ができるのだ。変形もできない。


 「やってくれたな。機械風情が、、、」キールは、ベガの魔導核を破壊すべく魔剣を持ち切りかかる。


 「ザシュッ!!」真紅の血飛沫が上がる。


 ベガを庇ってルーナが立ちはだかったのだ。一体一の闘いに水を挿す以上、道義上から身代わりになる事しかできなかったのだ。


 ルーナは左肩から切り伏せられ血塗れになってベガの前に座り込んでしまった。


 「私の負けです。もう十分でしょう?」大量の出血で朦朧としながらキールを睨みつける。


 「おや?躾が足りない様だな。」キールは睨みつけたルーナの行動が気に入らなかったらしい。


 ルーナの左頬を張り倒すと、ドレスを掴み引き裂き裸に剥いてしまう。


 「いやぁっ」両腕で形の良い大きな胸をかくすが、両腕を吊るされてしまい、血塗れながら美しいルーナの肢体が露わになる。


 「やあぁぁ・・・」泣きながら顔を観衆から逸らす。


 「ほら、そこで詫びろよ!他の奴らにもみてもらえ。」ルーナは悔しくて涙を流しながら羞恥に震えるが手は離してくれない。


 「うっ、、、ううっ、、、」声を出さない様に泣く。


 ゼノンはルーナの髪を鷲掴みにすると地面に叩きつける。押さえ込まれてルーナは土下座の様な格好で蹲り動けない。


 「おっと、まだ終わって無いぜ、今度はこのゼノンとお前が戦うんだ!」ルーナの右太腿に大きな剣が突き刺され抉られる。


 「いっったあぁ・・・」泣きながら必死に痛みに耐えているが動けない。


 「もう止めろ!なぜそこまでする。」アーシェラが止めに入る。


 「・・・そうね。私もここまでされて引き下がれないものね。」こぼれてしまいそうなEカップを必死で片腕で隠すと、切なそうに立ち上がりアーシェラの静止を振り切るとルーナはゼノンに向き直る。


 ルーナは意を決した様にゼノンを睨むと瞬間移動してゼノンの懐に入る。


 一閃!光速剣が弾ける。


 ゼノンは全く対応出来ずルーナのクリティカルショットを受け空中で真っ二つになる。


 「インフィニティ・ゼロ!」


 宙を舞うゼノンの身体は一瞬で凍結して粉々に砕け散った。


 ルーナは止まらない。


 再び瞬間移動でキールの目の前に出現、一刀両断仕掛けるが、流石に手のうちがバレており躱わされる。


 我を忘れたルーナも早い。


 避けた筈のキールに高速の凍気の矢が降り注ぐ。


 「フリーズインパクト」


 壁に貼り付けられ凍り付いて動けなくなってしまった。


 アーシェラは我を失って暴れるルーナを強く抱き締めて長いキスをする。最初は暴れていたが、やがて気を失ったルーナが崩れ落ちる。一瞬の出来事であった。

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