第23話 腹上死なら本望だ

 そう言えば葵さんも幸さんも下賜されたのだが、アプリコットさんだけは貸与であって譲渡でも下賜でもない。


 尤も人を相手に物を扱うように言うのはおかしな話なのだが、彼女は貸与であって借りている訳で、貸主から返せと言われれば返さないといけない性質のようなものだ。


 もう俺の中の常識がおかしなことにいなってきているが、どうもそんな感じらしい。


 要は何事も経験は尊いということなのかな。

 自分で言っていて意味わからん。


 翌日、予定通りに俺たちはクルーザーで日本に向けシンガポールを出港した。

 クルージング中に、メイドたちから聞いた話では、メイドの二人、マリーさんとキャシーさんというのだが、二人とも王国情報部の出身で、仕事と言えばハニートラップで要人を落とすことをしていたそうだ。

 現在は情報部を辞めて王兄殿下個人に雇われているそうだが、仕事はメイド仕事の他に情報部でしていたようなことまでしていたそうだ。


 尤も王兄殿下のところに移ってからはあまりその機会はなかったようだと残念そうに話してくれた。


 事の性質上、決まった相手を作る訳にもいかず、結婚どころか恋人すら作れなかったそうで、人権の無い国でもあることから、時々王兄殿下のお相手をされていたとか。


 ちなみに、二人して一人の男性を相手したのは俺が初めての経験だと、これも少し恥ずかしそうに俺に話してくれた。

 とても光栄とでも思えば良いのか、まあ、俺にとっては天国だったので、別にかまわないけど。


 俺のところで働くようになっては、ハニートラップなどすることが無くなるから、今後は俺に頼むので、責任をもってちゃんとお相手してくださいとまで言われたが、彼女たち二人も貸与と考えてもいいのだろうか。


 その後も航海中は問題など起こさずに、補給で台湾に寄った以外には、そのまま東京まで向かった。


 東京に着いて、驚いたのには晴海に近いところの再開発地区に作られたハーバーにこの船専用の桟橋が用意されていた。

 しかも、その桟橋には日本の役人の他に駐日ブルガン大使館からドードンさんもが出迎えてくれた。


 日本のお役人から入国の審査を受けた後に俺たちは上陸が許された。

 日本のお役人とはここでお別れになったが、ドードンさんに連れられて、ハーバーに併設されている真新しいホテルの最上階に連れていかれた。


 このホテルの最高級な部屋だそうだ。

 しばらくは、ここで滞在してくれとドードンさんから言われた。

 明日以降は前にお連れした日本人職員を回すから、その指示に従ってほしいと言われた。

 少なくとも、ここで一週間は連泊になるらしい。


 その間に、俺たちの住む場所の準備も整うと説明してくれたけど、どこになるのかな。

 ドードンさん説明ではすぐそばに建設中の高層住宅だそうだが、この辺り再開発中で、結構建設中の高層ビルがある。

 そのうちのどれかだろうけど、すぐに入居できそうなのはいくつも無いからあれのうちどれかだ。


 クルーザーの乗員たちも、大使館の用意したホテルで同じように滞在するそうだ。

 同じ高層住宅に彼女たちの住居も用意されるとか。

 今後は、そのクルーたちとここで働くことになるが、初めて日本に来た人ばかりなので、そのあたり俺が気を利かせないとまずそうだ。


 まあ、この後の予定はないとのことなので、そのまま俺たちは今度アプリコットさんを含め女性三人の4pでその日を過ごした。


 つい最近まで処女の二人と、経験者と言っても幸さんを身ごもった後は十数年経験のなかった葵さんとの4pなので、初々しかったというか、とにかくごちそうばかりの天国のような時間を過ごした。

 体力的にはアラフォーな俺には少々きつい面もあったけど、男ならね~。


 絶対にそのうち『うっ!』って感じで心臓が止まるかもしれない。

 腹上死なら本望だ。


 翌日も朝から楽しんだ後、俺たちを大使館の職員が訪ねてきた。


 訪ねてきたのは、前にもお会いした北海京子さんだった。

 彼女はブルガン大使館のローカル職員として大使館に勤めているとても魅力的な女性だ。

 ひょっとしてブルガンって国は採用基準に『美人であること』なんてあるのかもしれない。

 何せ少なくとも女性に人権があるとは思えないからね。


 まあ、どの国にも人権を額面通りに守るようなところはないだろう。

 人権をうるさく言っている国ですらハニートラップのための要員を確保しているくらいだし、それに引っかかる男もいつの時代もどの国にも必ずいるのは情けない気もしなくもない。


 まあ、そのハニートラップにどっぷりと引っかかった俺が言えた話ではないけどね。


 それで、俺たちを訪ねてきた北海京子さんは幸さんの学校の手続きのために来たようで、すぐに葵さんと幸さんを連れてどこかに行ってしまった。

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