第10話 リクルート

 俺はメイドたちが出ていくのを待って風呂に入ろうかと考えていると、一人のメイドが俺の服を脱がしにかかる。


 さすが貴族に仕えるメイドさんだ。

 以前物語かなんかで読んだことがあるが、貴族って自分で服を脱ぎ着きしないとか、多分俺もその貴族に準じての扱いなのだろう。

 別におっさんのヌードを今更見られてもって……さすがに美人さんに見られると少し恥ずかしいが、彼女たちも仕事なのだろうと任せて服を脱いでいった。


 !!!!は~~~~? 

 何々??どうした。


 俺の服を脱がしてくれているのはここまで二人で案内してくれていたメイドさんの一人で、一緒にここまで入ってきたもう一人のメイドさんはなんと自分の着ていた服を脱ぎだしている。

 しかも、割と素早く脱いだ服も丁寧にたたみながら脱衣かごに入れている。


 あ、今ブラを取った。

 フロントホックってやつではないが、とても扇情的なものだし、すぐに下まで脱いで、完全ヌードの俺の手を取り風呂の中に案内していく。


 俺はあまりに驚いてその段階で俺の思考は停止していた。

 何気に後ろを見ると、先ほどまで居た脱衣所が見える。

 何せ風呂場と脱衣所との境にはガラスしかない。

 そこで、さらなる驚愕の事実をただ見ているだけだった。


 なんと先ほどまで俺の服を脱がしてくれたメイドさんも素早く自分の服を脱ぎだしている。


 すぐに全裸になったかと思うと、風呂に入ってきた。


 もうこうなると俺の息子は俺の理性の制止も聞かずに大暴れ。

 二人の美人にされるがままに大喜びだ。


 まさにマカオを髣髴とするような天国がここにもあった。

 いや、ドバイからの一週間自己発電もできなかっただけに溜まりに溜まった俺のリピドーは抑えも効かずに爆発している。

 風呂につかりながらも俺の息子をメイドさんたちはかわるがわる彼女たちの中に入れてもらい、やさしく相手をしてくれる。

 また、浴槽から出ても、二人が自身の体を使い俺のことをきれいに洗ってくれるので、息子は大喜びで、彼女たちの中に入ろうと色々と探る。


 当然、ここまでくると風呂だけでおさまるはずもなく、俺はメイドさんたちにリードされるまま大きなベッドで天国を迎えた。


 結局その日は息子がまだ彼女たちの中から戻らないうちに俺は意識を飛ばして寝てしまった。


 豪華な寝室なので、ここでは寝付けないだろうと心配していたが、美人のメイドさんたちの心のこもったサービスで、ぐっすりと気持ちよく寝ることができた。


 翌日も両脇に全裸でいる美人に息子をやさしく起こしてもらい、そのまま風呂に直行して一勝負してやっと完全に目を覚まし、着替えをこれまた手伝ってもらいながらしていく。


 顔は一緒に風呂で洗ったので、彼女たちの準備が整い次第、彼女たちに食堂に連れていかれて、昨日同様にローレン王子とその大叔父、それに通訳で葵さんというメンバーで楽しい朝食を頂いた。


 朝食後にテラスでコーヒーをゆっくりと飲みながら、ローレン王子の大叔父様からリクルートの提案を受けた。


 すでに昨日十分な接待を受けている俺としては、お断りの選択肢はないのだが、転職したばかりの俺にとって、しかも苦しい立場の俺を拾ってもらったばかりなのにいきなりの転職はさすがにきつい。


 多分相当困った顔をしていたのだろう。

 俺を誘ってくれているのはローレン王子の大叔父の方だが、ローレン王子が困った顔をしてフリーズしている俺の顔を見ながら、俺の懸念事項を理解していたのか葵さんに通訳してもらい、すでにローレン王子の方で会社へのネゴを済ませていることを教えてくれた。


 プロジェクトリーダーには日本にあるブルガン王国の大使館を通じて話を通してあるとか。

 ブルガン王国の大使館員が優秀だったのか、プロジェクトリーダーを通して会社の社長まで話を通して、快く俺の転職件を認めてもらったと葵さんの通訳で俺は知った。


「こういうのを日本語では仁義を通すというのですかね。

 きちんとそれ相応の人たちには話はしてあるそうです」


「そうなんですか……」


「さすがにいきなりで驚かれてますでしょう。

 すぐに返事は無理でしょうから、ですが明日までには返事を頂けると助かります。

 ですので、一度日本へ電話でもされたらいかがでしょうか。

 直接会社の方の声を聴かれた方が本郷様も安心できますでしょう」


 そういわれて、俺は日本に電話をするために一度部屋に戻らせてもらった。

 当然広い館の中を一人では戻れそうにないので、二人の美人メイドはついてくる。


 暗に昨夜から接待したのだからと圧力かけてくるのではと勘ぐってしまったが、そんなことはなかった。


 もっとも、俺の方も会社の方に問題が無ければ断るつもりなど一切ないのだから、問題ない。

 すでに昨日良い思いをさせていただいているし、何より葵さんと一緒に働けることの方がうれしい気持ちもある。

 昨日から今朝にかけてあんなことをしたのにもかかわらず、そんなことを無節操に考えている俺は自分でもつくづく鬼畜だと思うが、妄想の中なので許してもらおう。


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