第9話

### **老婆からのマジムンの話**


**1. 首里の静かな一角にて**


藤堂は首里の閑静な住宅街に住む老婆を訪ねた。彼女は地域の伝承や古い話に詳しく、今回の事件に何か手がかりを与えてくれるかもしれないと期待していた。


**2. 老婆との対話**


藤堂が訪れると、老婆は笑顔で迎えてくれた。彼女の家は古くからの沖縄の風情を感じさせるもので、壁には古い写真やお守りが飾られていた。


**老婆**: 「いらっしゃい。藤堂さん、何かお困りごとかい?」


**藤堂**: 「はい。最近首里で起きている事件についてお話を伺いたくて。特に、マジムンに関することを教えていただけますか?」


**老婆**: 「マジムンかい…。そうさ、昔から伝わる悪霊や妖怪のことだね。沖縄や奄美群島ではいろんなマジムンが伝えられているんだよ。」


**藤堂**: 「具体的にはどんなものがあるんでしょうか?」


**老婆**: 「そうだね、例えば動物の姿をしたマジムンがいるんだけど、そいつに股をくぐられると死んでしまうって言われているんだ。だから、決して股をくぐられてはいけないんだよ。」


**藤堂**: 「股をくぐられると死んでしまうんですか…恐ろしいですね。」


**老婆**: 「そうさ。また、奄美群島の一部ではハブのことをマジムンと呼んでいるんだ。ハブは神の使いともされているんだよ。マジムンの中では唯一実在する生物だね。」


**藤堂**: 「ハブが神の使い…。それは興味深いです。過去の伝承や呪いが現代の事件に関係しているかもしれないと考えているんですが。」


**老婆**: 「それも十分にあり得る話さ。昔の話には今でも影響を与える力があるからね。佐藤さんが研究していた古文書にも、そんな話が含まれていたかもしれない。」


**藤堂**: 「ありがとうございます。佐藤さんの研究をもっと詳しく調べる必要がありますね。そして、マジムンの伝承が事件解決の鍵になるかもしれません。」


### **新たな手がかり**


老婆からの話を聞いた藤堂は、マジムンの伝承が現在の事件に何らかの形で関与している可能性があると確信した。彼はタスクフォースのメンバーにこの情報を共有し、佐藤和夫が研究していた古文書や伝承をさらに詳しく調べることにした。


### **タスクフォースの新たな方向性**


**リーダー・タム**: 「藤堂が得てきた情報は重要だ。マジムンの伝承が事件に関わっている可能性が高い。全員で協力して佐藤の研究内容を詳しく調査しよう。」


**シャドウ・フドウ**: 「俺は現地の古文書をさらに調べてみる。マジムンに関する具体的な記述がないか探してみる。」


**データ・ナカムラ**: 「デジタルアーカイブを駆使して、関連する資料を見つけ出す。過去の事件と今回の事件の繋がりを見つけるんだ。」


**リンク・サトウ**: 「地域の住民からも引き続き情報を集める。何か新しい手がかりが見つかるかもしれない。」


**ラボ・タカハシ**: 「科学的なアプローチも忘れずに。現場から得られた証拠をさらに分析する。」


**プロファイラー・イワサキ**: 「犯人の心理を解明するために、マジムンの伝承が犯人の動機にどう関わっているかを考察する。」


 タスクフォースは新たな情報を基に、事件解決に向けて再び動き出した。過去と現在を繋ぐ謎がますます深まり、犯人の正体に近づいていく。


 藤堂は山童という人物から、「将棋に負けたら周囲の人間を殺す」と脅された。しかし、逆に勝てば願い事が叶うという提案も受けた。藤堂はこの危険な挑戦を受け入れることにしたが、将棋の対局中、山童の恐るべき策略と巧みな手に直面する。果たして藤堂はこの命がけの勝負に勝利し、願い事を叶えることができるのか、それとも恐ろしい運命が待ち受けているのか…。


 藤堂は山童との対局に向けて、必死に将棋の技を磨いていた。その中で彼は「味消し」という特殊な将棋の技を覚えた。この技は、相手の攻撃を無効化し、自分の駒を最大限に活用するための戦術だ。藤堂はこの技を駆使し、山童の巧妙な手を次々と切り崩していく。対局が進む中で、藤堂の「味消し」が鍵となり、彼の勝利の可能性が見えてきた。しかし、山童もまた新たな策略を繰り出してくる。藤堂は全神経を集中させ、最終局面に挑む。


 藤堂は全神経を集中させ、山童の巧妙な策略に対抗し続けた。盤上の緊張は高まり、周囲の空気が重く感じられる。山童の一手一手が鋭く、藤堂の心臓は鼓動を早める。しかし、藤堂は決して恐れず、自分の技を信じ続けた。


その時、藤堂はあることに気づいた。山童の手には一貫したパターンがあり、それを崩すには「嬉野流」という戦法が有効だと感じた。嬉野流は、独自の陣形と攻撃手法で相手を混乱させることに長けている。藤堂はその戦法を取り入れ、山童の攻撃を封じ込めるべく動き始めた。


山童は藤堂の変化に一瞬驚いたが、すぐに冷静さを取り戻し、新たな手を考えた。しかし、藤堂の嬉野流は次々と山童の防御を突破していった。山童は追い詰められ、藤堂の手が徐々に優勢を増していく。


最終局面に近づくにつれ、藤堂の勝利が現実味を帯びてきた。しかし、山童も最後の一手を用意していた。山童は微笑みを浮かべながら、盤上に手を伸ばした。「これで終わりだ」と言う山童の声に藤堂は一瞬怯んだが、すぐに気を取り直し、自分の最後の一手を考えた。


藤堂は冷静に山童の動きを分析し、自分の駒を最大限に活用するべく最後の「味消し」を駆使した。山童の最終攻撃を見事に防ぎ、逆にその隙を突いて藤堂は決定的な一手を放った。山童の顔に初めて驚きの色が浮かび、その瞬間、勝負は決した。


藤堂の勝利が確定したその瞬間、山童は静かに盤を片付け、「お見事だ」と呟いた。藤堂は勝利の実感とともに、自分の願いが叶う瞬間を待った。山童は約束を守り、藤堂の願い事を聞いた。藤堂の願いは、周囲の人々の安全と幸せだった。


山童は微笑みを浮かべ、「お前の願いは叶うだろう」と言い残し、静かに去っていった。藤堂は勝利の喜びとともに、これからの新しい日々に向けて一歩を踏み出したのだった。

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