第30話 感謝 ~噛み締める遣り甲斐と喜び
꧁————前話あらすじ————꧂
ルカとの修行の果てに異世界の魔法や超能力を使って戦う事を身に付けたルナ。
活躍の場を求めて遂にルカとの初陣。そこではただ猪突猛進のルナと違い、事前に対策する術をもつルカの超能力と対応力に、自分の至らなさとバディーのいる心強さをヒシヒシ感じるルナだった。
そして拠点に突撃した。
꧁——————————————꧂
<本文>
ルカのお陰で思う存分闘いに集中出来る。直ちに突撃するルナ。
ヒュンッ――――ドゴォォォン
魔導師の腹に拳を軽~く一発。
[ ▼挿絵 ]
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093083113853960
死にそうに歪む顔。腹を抱えてムセ込み
「ゲホッ……きっ、貴様どこから……」
と尻込みして警戒する。
「ほ~、この百倍速攻撃を魔法バリアーでダメージ減らしたかぁ、お前、やるな」
「魔法結界を張ってたはず……どうやって突破を?!」
「物理が10万以上で、このところサイキック9万を相手にスパーリングしてたからそんな結界全っ然ものともしなかった! 実力差あり過ぎると何やってもダメみたいね」
「
〈
ブフォア――――ッ
一瞬にして部屋の端まで全て黒焦げ。そこかしこに火種が燻る。だが余裕で回避のルナ。
[ ▼挿絵 ]
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093083113866963
「おっそ……火力は凄いけど、ボクにはそれ、止まって見えるんだよ。じゃ、バイバイ」
ズンッ……
気付くと既に腹へひざ蹴りがめり込む。背骨ごと砕かれ呆気なく崩れ落ちる魔導師。
《ルカ……このテレパス、聞こえる? ……終わったよ》
《うん。もうこっちは救出に来てる。場所はココでみんな無事。帰るよ》
***
「皆さ~ん! 無事全員連れて帰りましたぁ!」
胸を張って家族達へと高らかに報告。
パパ、ママ!……欠ける者なくズラリと揃った拐われた子達。
あまりの解決の早さに開いた口も塞がらず、歓喜と驚嘆を混じえた面々は上気し切って涙が浮かぶ。
「是非何かお礼を……」
と手を握りしめられる。聞きつけた町民で次第に人集りとなる集会場。
「もうたくさん使っちゃったじゃないですか……ボクら、全然労力使ってないので必要有りません……ねえルカ、そうでしょ」
うんっ! と燦めく愛くるしい笑みで胸を張るルカ。不思議と無償の方が気分が良いものだ。
でもお二人にはせめて何か……と後ろの全ての父兄達も笑顔で深々と頷く。
「なら美味しいものを皆さんと楽しく、それが最大のご褒美です!……ね、ルナ」
「ハイ! ソレ、お願いしま~す! ボクら、暖かい団欒を知らずに育ったので」
「え、団欒を知らないと?! それなら私らの得意分野さね! なあ、では皆で宴を!」
『オォ――ッ』
鬨の声が響くと一斉に饗宴準備を開始。腕によりをかけ、ありったけの愛情となけなしの金と魔法とサイを込めて作り始める。
親子で歌や踊りを披露する中、見事な連携で次々と供される温かい手作りの数々は、贅沢して来なかった二人にとってひと際格別のもてなしに思えた。
あちこちから沸き起こる笑い声。
[ ▼挿絵 ]
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093075827710217
助けた子の一人の妹がちょこんと隣に来て人懐こく一緒に食べている。
「みんな良いお父さんお母さんを持って良かったね!」
と声をかけるルナ。
「うん! ホントにありがと、お姉ちゃんたち! あのね、子供を連れてかれてアジ卜に乗り込んで殺されちゃう親はたくさんいるの」
「そっか。だからここの人達は皆でお金だして戦える人を探してたんだ。ボクらの親だったらどうだっただろうね……
それにしても自前で募集してたから騙されてヤバかったね……本物の戦士だけ雇えるようなギルドみたいなのって無いのかな?」
『隣国には有りますがこの小国では……』と、ある親が残念そうに漏らす。
「安心して頼める様にしたいですよね」
と返すルカの横で余りにトロけるシチュー肉に目を丸くするルナ。
[ ▼挿絵 ]
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093083113872285
宴は盛り上がり笑い声が一段と大きくなる。それが嬉しくて仕方ない二人。
「フフッ、みんな楽しそ。ボクこんなの初めて。こんな平和がずっと続いたらいいね」
この中にサイの才能のある子でもいれば緊急時にテレパスで呼んでくれれば……と呟いたルカの一言ににピンときたルナ。
頬張る口を手で隠し、指を立て目を大きく見開いて、
「あ、なら
それグッドアイデア! と声を弾ませ、ルカも人差し指を立ててルナに顔を合わせた。
[ ▼挿絵 ]
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093083113890288
「でも口コミだけじゃな……なんか特典が有ればね……そう、例えば『友達紹介登録』しとくと、拐われて怖い思いしたその子に私達が救助した暁に政府から貰える補助金の半分をお見舞金として渡すとか。そしたら友達の為にみんな登録してあげるんじゃない?」
「それイイ! なら登録された子にも『あなたも大切な友達の為に登録してあげませんか』って送ると更に増えて……ボクならそうしてあげると思う! いい事の連鎖!
ねえ、これからは忙しくなりそうだね! 沢山救って徳を上げてガンガン強くならないと!」
こうして本日の無償の行為により徳の倍率が顕著に上がるルナ達であった。
< continue to next time >
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善行の報酬さえ他人に分かち合おうとする二人。 こんな二人の今後の異世界での活躍にもし応援頂けるなら ☆・♡・フォローのタップにて宜しくお願いします。
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口絵コーナー ♥・*:.。。.:*・゜♡・*:.。。.:*・゜♥
ルナのラフスタイル
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093084572339116
イメージBGM (youtube)
▼ Friendship is Magic
https://youtu.be/Nk9b1QLT7W0
(村人との宴。それはルナとルカにとって人生初の楽しい食事会。嬉しくて仕方ないルナと楽しげな村人達。その雰囲気にぴったりの曲。)
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