第21話 セルフ・リセット
꧁————前話あらすじ————꧂
この世界の苦しむ問題の元凶は全てギガダンジョンという地底世界からの仕業と知ったルナ。
拐われてゆく少女達もそこへ連れていかれていると知った。
いずれはそこへ行かねばならない。先輩転生者、レイとメイたちと仲良くなり次なる目標と意欲が沸いてくるルナだった。
꧁——————————————꧂
<第21話・本文>
ボクの万倍も万能じゃなかった。
そして少しでも人を救って徳を上げて能力を伸ばし、そして実戦を積んでより強くならないと!
……暫くは戦闘しまくろう!
だったら、先ずは最寄りのアジト潰しからだ!
ルナは最初の戦いで得た密売所情報を元に被害者救済、そして侵略者撲滅という使命に立ち上がる。そうとなれば即、行動に移すのみ!
「初めまして、このアジトを潰しに来た新人転生者で、宜しければご一緒……」
「ん?……ギルドの依頼証もないのか? 子供は引っ込んでな! ショボイ魔法が通じる相手じゃない。足手まといだから見学にしても遠くからな!
いいか、許可するまで絶対近付くなよ!」
[ ▼挿絵 ]
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093082422212677
既にそこには実力の高さが定評のパーティー五人衆が突入前の準備をしていた。
前世では若い頃スポーツに打ち込み努力した結果、全国レベルで活躍。
その後、後続への熱心な指導等で大きな功績も積み、その徳と実力でこの世界へ転生。実績が自信に繋がっていた元コーチのパーティー。
当然フィジカルと精神力が強く、チームプレイにも精通する。
ステータスは
「……了解です。ひとつだけ、レイメイさんって兄弟からパーティーに会うごとに伝えるようにって……最近は地底の魑魅魍魎を呼び出す機会が増えてるから気をつけてって」
「ん、レイメイって……あの政府御用達の?……」
そこへリーダーが割り込んで、
「さあ準備は整った! オマエら、いくぞっ!」
先ず全員のサイキック力を集結して遠隔視、敵の概要を掴んで情報を共有。拐われた者はない。
敵側についた人間達30人、地底人30人、魔導師1人。その主導の魔導師は少し離れた所らしく、先に下っ端を奇襲で叩いてしまう戦法を取ると言う。
突入と同時に前世で磨き抜かれたスポーツの美技を魔力で超加速して次々放つ。
〈ウォータージェットボール!〉
〈ウィザードリ•アーチェリー!〉
〈ファイヤーフットボール!〉
〈ビームスパイク!〉
無詠唱でも強烈な魔威弾が炸裂。
[ ▼挿絵 ]
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093082422218818
狙いも正確で連携と個人技を矢継ぎ早に繰り出し、人間と
瞬時に制圧し余裕を見せた。評判通りの活躍ぶりで動きにも無駄が無い。
事態に気付いた魔導師が宙を滑る様に飛来する。
15M大の恐竜的猛獣2体を召喚し猛襲。
ギア――――――ッ
「なんて速さ……今までにないバケモンだ、攻撃が間に合わない! クソッ」
得意ワザ乱射で牽制するが当たらず、三人が巨尾の打撃を喰らい悲鳴を上げる。
瀕死の一人を仲間達が魔法で治癒してる内に狙われて正に食われる直前、
シュパァッ……
ルナはケガ人もろとも百倍速で抱き抱えて横取り。
空を切る大顎。物陰に移し激早治癒して復活させる。
「もう単独じゃムリだ、あれでいくぞ! 同時攻撃 !」
〈《パラオフェンス》!〉
5人による技の融合攻撃。放たれた大集中弾が一体を貫通、撃破する。
だがバラけずに戦ったことで残ったもう一体の猛烈な巨尾の横殴り、
『バシィッ』
と異様に弾ける打撃音と共に全員の足がへし折られる。
一口で全員が食われる程の大口が唾液を垂らして迫る。
「助けてくれ―っ!」
その絶叫に、ここぞと6尺捧化ロッドを両手に千倍速で魔獣の背に跳ぶルナ。
『ザクゥッ』
[ ▼挿絵 ]
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093082422224131
と肩口に突き刺してスーパーロデオで魔獣を操縦。
[ ▼挿絵 ]
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093075290732526
慌てて魔槍を放つ魔導師が暴れる獣ごと串刺しの雨。
「グワアァッ」
と狂ったように呻く。
だがルナは千倍速カラテで余裕で弾き、
「こんな魔法なんかに負けない! 」
そう言われて空中の魔人がムキになり、更に大量の魔槍を嵐の如く降らせてくる。
「その程度じゃボクを倒せないよ! 」
……体の耐性だって今は千倍なんだ。じゃあこっちからも行くぞ、爆弾並の衝撃。
「喰らえっ! 」
爆速ジャンプに気付いた時には既にクリンチからミゾオチに膝蹴りが食い込み、仰け反った所を
―――グルリッ、ドゴォッ……
不可視の勢いで伸身宙ひねりからの得意のブラジリアンキック。地面へと猛烈に叩きつけて自分も猫のように身を翻して着地。
魔槍で息絶えた獣の横、最期の力で火炎を放って来る魔人。ヒュンと余裕で避けながら
「おそっ……どこに打ってるの? じゃ、サヨナラ」
〈ヌンチャクハンドミキサー!〉
あの原型を留めない無情な攻撃に飛び散る肉片。その惨劇に五人衆も目を背ける。
とどめを刺して翻し、急いでパーティー5人に治療魔法を施すルナ。
ホッとしつつ、バツ悪そうな顔の元コーチ達五人衆。
「ありがとう……さっきの態度は済まなかった……キミは一体?」
「ボクは只の修行中の新人転生者ルナ。魔法とフィジカルを融合してあんなにパワーアップ。しかも無詠唱魔法なのに強力だし!
だからとっても勉強になってむしろ感謝デス!」
男達は恥ずかしそうに後頭部を掻きながら、自分らがやってたスポーツを活かし、詠唱を省いても魔力が衰えない様工夫した事を述懐した。
「でもあんな俊敏なの今迄居なかった……面目ない。次からもっと敵も味方も舐めずにやってくよ」
「いえ、ボクにはスッゴク勉強になりマシタよ! いつかまた一緒に戦いましょーネ!」
「ああ。でもそれで修行中ってか。キミは強くなるなぁ。がんばれよ」
「はい」
少しだけ、自信を取り戻すルナ。
その帰途で魔法の玉蹴り、光の矢の放出等、『魔法の飛び道具』を試す。
「そっか、あれ以来ヌンチャクの魔力ワイヤーの飛距離が伸びないのは無詠唱での魔法とボクの超フィジカル速度のバランスが悪くて上手く連携が出来てないのかも……」
直ぐ練習に取り入れる。1秒でも早くセイカを迎えに行きたい。その思いで焦ってがむしゃらにやるが今一つ上手くいかない。
すると頭中に響くテレパスのような幻聴。
《 落ち着いて。 一つ、一つ。……》
ふと我に返り、昔、兄にカラテを教わっていた頃、よくそうやって
〔 さらわれた子も命は取られないから落ち着いて行動を……〕
多分あの人は何か事情を把握している。時間に猶予が有るなら今はそれを信じて冷静に実力を積み上げてくのみ!
そうやって遂に感覚を掴んだ。前世でさえ時速100kmを超える脇から放たれるヌンチャクの一閃。
今はその万倍、時速100万kmで数百メートルの距離を瞬時に往来するそれは摩擦で燃え光り、まるでレーザーのようだった。
ドゴォォォ―――――――ンッ……
着弾すると巨岩が瞬時に大破。爆薬が無くてもその運動エネルギーで凄まじい破壊力。
[ ▼挿絵 ]
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093075681811087
「……なんかレールガンみたい……」
それもそのはず。実際そのスピードはレールガンの優に100倍の速さ。
……小さな一歩。でも今は一つ一つやってくしかない。
こうした事により物理攻撃の向上と魔法ステータスもまた少し上げたルナであった。
< continue to next time >
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