今回も素晴らしい作品でした。草森様の書かれる小説からは、毎回言葉にならない叫びのようなものを感じます。
世の中の理不尽に対する憤り、正しく生きられる人間だけが正しいとされる不条理、本当に大切な人が自分から離れていく寂しさ。それらが草森様の中に広がっている巨大な精神世界の中で、祝詞のように訥々と繰り返し響いていて、草森様はなんだかわからないけれどその響きにつき動かされて、書かずにはいられないんだろうな、と思っています。

私も似たような理由で創作をやっています。だから、草森様の見てきた世界、草森様が描きたい世界がなんとなく毎回目の前に広がるんですよね。
その暗くて広い海底のような世界が、心地よくてそれでいて何かが悲しくてたまらなくて。

ダラダラ書いてしまいましたが、今回もとても心を動かされました。追々、草森様の他の作品も読ませていただけるといいなと思います。