異世界『TS出産』レビュワーズ ~産んでたらなぜか『聖女扱い』されてくんだが~

馬路まんじ@「二周目モブ」連載中!

第1話レビュー№1:恐怖! 初産ぴったりゴブリン軍団!


「どうしてこうなった~……」



 どっかの森の湖畔にて。



「今日も元気に惰眠生活してたはずなのに……なんだこりゃ」



 水面を覗き込む。そこに映っていたのは、二十代ヒキニートの俺とはまるで違う姿だった。



「は? アニメみたいな銀髪美少女になってんじゃん。は?」



 美少女だ。髪飾りの可愛らしい、学生服を着た美少女だ。しかも小柄なのに巨乳だ。中身が俺なせいで前髪から覗く青い瞳は無気力だったり栗みたいな口してるが、現実だったら余裕でアイドルになれるだろう。肌白すぎるしこりゃ純粋な日本人じゃないな。ロシア語話せそう。


 それと、よく見たらなんか頭にウッスラと魔法陣だか天使の輪みたいなの浮かんでない? なにこれ? 全てがなにこれ?



「くそぉ、股間もスースーするしよぉ……!」



 スカートの股を押さえる。そこに感触を返してくれる相棒はいなかった。手は腿の内側まで沈み、未知の割れ目に辿り着いた瞬間にムズムズ感が奔った。うぅうう、俺のチンコどこいった?



「なんだこれ夢だよな……? にしても感覚とかはリアルだし」



 一体どうすればいいのか。あと俺のチンコどこ――と考えていた、その時。頭の謎輪っかがほのかに輝き、



〝解:アナタ様。アナタ様は、『主神ノーデンス』の創りし魔導世界に送られました〟


「わぁしゃべった!?」



 なんだこりゃ!? どっかから声が響いてくるんですけど!? 主神ノーデンス!? 魔導世界ってなに!? あと俺のチンコどこ!?



〝解:私は案内役となります。この世界に早く馴染んで頂くための〟



 馴染むって……え、ここマジで地球じゃないの? よく見りゃ飛んでる虫とかピンクだったりするし……。



「もしや、転生ってヤツなのか……?」


〝続:理解が早く助かります。ここは人と魔の争う、美しくも過酷な世界です。それに見合った肉体に転生させました。ギフト【超生命力】を付与しましたので、ご活用ください〟



 は、はぁ。えーーと、要するにファンタジー的な世界に送られたわけか。現実に起こりうるとは思えんが、絶対に起こらないという科学的証左もないので今は飲み込むしかない。悪魔の証明というやつだ。

 で、この身体には【超生命力】なる謎パワーが宿ってると。



「そういえば女の子なのに普段の身体より元気な気がするな」



 まぁヒキニートだったから元の体力なさすぎってのもあるが。



「あっ、おい頭の輪っか! そういえば元の身体はどうしたんだよ!? あと俺のチンコは」


〝解:消滅しました〟



 ふぁっ!?



〝続:どちらも稼働させる気配がなかったので、別によいかと〟



 いやよくねーーよ!? そっ、そりゃ大学受験失敗以来、やる気はすっかり抜けちまってたけど、少なくとも下半身は稼働させる気マンマンだったぞ!?



「いいか? いつかは俺に見合った職を見つけて、いっぱい稼いで美人な嫁さんをもらって、可愛い子供を作ってだな……!」


〝続:ここは最北部のアーカム地方に当たります。最寄りの街は三時の方向に歩いて〟


「おい聞けよ!?」



 生意気な輪っかだなこの!



〝解:アナタ様の夢想が叶えられる日はこなかったでしょう。社会は、落伍者に優しくあっても易くはありません。保障されるのは人権まで。高位の望みが叶うかは、当人の能力次第です〟



 ぬ……それは。



〝続:ゆえに、この魔導世界で尽力することを推奨します。今やアナタ様には優れた肉体性能があり、また性別も、奇跡の力を持つマジックアイテム『魔宝具』を手にすれば、変えられる日が来るでしょう〟


「そんなのがあるのか!?」



 お、おおおお。なんか希望が湧いてきたな! ファンタジー世界、楽しそうだし。



〝肯:元の世界よりは目のある賽かと。動く、動かないかは、アナタ様の自由ですが〟


「いや。身体も若くて元気なおかげが、めっちゃやる気が出てきたよ」



 現実か夢かは定かではない。


 だが決めたぜ。ここは行動するべきだ。これが現実なら動かなきゃ損だし、もしも夢なら失敗したってリスクはないんだ。成功の期待値のほうが高いならやるべきだろ。



「前世じゃ何年も塞ぎ込んだせいで、人間関係は壊滅状態になっちまってたしな……」



 ならばもう前に進むしかない。生まれ直した気になって、全力でやり直してやるさ。



「よっし。これでもゲームだけはやってきた身だからな。セオリー的には、魔物を倒せば金になったり?」


〝解:その通りです。魔物の心臓部たる『魔晶石』は貨幣と引き換えられます。金銭さえあれば、前述の魔宝具を購入することも可能でしょう〟



 そりゃいいな。


 活躍して、稼いで、男に戻ってモテまくる! この世界での目標が決まったな!



「やってやるぜ。あ、ところで輪っか」



 俺を呼び出した主神ナントカとやらは、なんで俺をこんな姿にしたのか。俺に何をさせたいのか――と。そう聞こうとした、その時、



『ゴガギャァアアアーーーッ!』



 草むらから緑色の小人が現れた。毛の抜けた猿みたいに醜悪な風貌だ。



『メスッ、メスゥゥウウ……!』



 不明瞭な発音ながら俺を〝雌〟と呼び、興奮する小人。



『犯スゥウウウ……ッ!』




 ……なぜ日本語を使ってるのかは後で輪っかに聞くとして、精力の旺盛さや外見的特徴からして、こいつは、



「ゴブリンか!?」


〝解:正解です。もっともポピュラーな魔物であり、多産薄弱な短命種となります〟



 へえ。要するにザコってことか。人間の五歳児くらいの体躯してるし。それにゴブリンが弱いのはゲームの定番だからな。



「うし、いっちょボコしてやるか!」



 不慣れながら構えた。


 喧嘩すらしたことないが問題ない。こちとらギフト【超生命力】なる力があるしな!



「さぁいくぜっ!」



 これが異世界のデビュー戦だ。俺はゴブリンに駆け寄り、その顔面に蹴りを放った!


 が、スカッと。



『ギギ』


「あれ?」



 ゴブリンは軽く蹴りを避けた。そして逆に、拳を構えて俺の腹めがけ、パンチを放った!



「ぬぎゅッ!?」



 チート身体能力で効かない――なんてこともなく、鋭い拳は普通に鳩尾に抉り込んだ。胃と大腸を一気に圧迫される痛み、不快感、呼吸も出来なくなるような嘔吐感が奔り、俺は口を押えて突っ伏した。全身から一気に力が抜ける。



「え、えぇぇ……ギフト【超生命力】のチカラは……?」


〝解:説明不足でした。ソレは、アナタ様の治癒力と活力を上昇させてやたら元気でしぶとくするだけで、身体強化能力はありません〟



 ふぁっ!?



「おっおまっ、それじゃあこれから俺、どうすれば……!?」


『ギーーーーーーギャーーー!』



 ゴブリンが奇声を上げた。すると周囲の茂みが蠢き、数匹のゴブリンが飛び出してきた。そいつらは上機嫌そうに取り囲んでくると、粗末な縄で俺を縛り、髪や服を掴んでどこぞへと引っ張っていく……!



「いだだだだッ、な、なんだこいつら!? 俺をどうする気だ!?」


〝解:巣に持ち帰って孕み袋とするのでしょう〟


「はりゃみぶくろ!?」


〝了:お疲れ様でした。これにてナビゲーションを終了します〟


「終了するなーーーー!?」



 ……異世界転生より、五分。


 こうして俺はゴブリンに捕まってしまったのだった……!



〝告:頑張ってください。主神ノーデンスは、めげない花嫁を募集しております〟



 知るかバカ!



 ◆ ◇ ◆



『ココ、巣』


「紹介されてもなぁ……」



 ゴブリンズに連れてこられたのは洞穴だった。


 薄暗いが、あちこちに謎の光る石が埋め込まれているので、全容がわかる。わかってしまう。



『ギギギ! 産メ、産メ!』



 まるでアリの巣のようにいくつもの小部屋がある空間。そのうちの一つではゴブリンが食事をし、一つでは食料を貯蔵し、また一つでは……別のゴブリングループに取り押さえられた雌イノシシが、ゴブリンを産み落としている最中だった……!



「えぇぇえぇえぇ、他種族も孕ませられるのかよ……!?」


『ギギッ、コノメス、産ミガ、ワルイ。ナマイキ、ダシ、モウ、要ラナイ』



 と言って容赦なくイノシシを棍棒で殴り、解体を始まるゴブリンズ。お前ら容赦ないなオイ!?



『ギャギャギャ。極上ノ、メス。オマエココ、入ッテロ』


「ぬあー!?」



 入れられたのは木製の牢の中だった。


 ワンルーム程度には広いな。犯罪者を入れる目的でなく、奴隷部屋として設計したのか。てかこの牢もコイツらが作ったのか?



「縄を編めることといい、お前ら知能高いなオイ」


『ギギャッ、ホメラレタ! ウレシイ!』



 褒めてねーよ最悪だよ! 要するにこの世界、原始人並みの知能のレイプ魔サル軍団がうろついてるってことじゃねーかよ。



『オマエ、イイメス! 藁イッパイヤル』



 ふかふかな藁が敷き詰められた。そんな気遣いはいりません。



『ジャ、大人シク、シテロ!』



 俺を連れてきたゴブリンズは外に出ると、楽しそうに『ギーーーギャーーー!』と鳴き始めた。おそらく他の仲間を呼んでみんなでパーティーするつもりだろう。仲いいなオイ。



「くそっ、絶対に抜け出してやるからな……!」



 座りこんで考える。このままじゃまずい。



「急げ……急いで考えろ……!」



 ボーッとしてたら孕み袋一直線だ。連中が集合する前に策を練らなければ。


 そう焦っていた、その時。



「――お~? 新入りかえ~?」



 牢の奥の薄闇から、女の声が響いた。



「どれどれ……って、うおぉ~! めっちゃ可愛いではないかぁ~! このトゥルーデの好みじゃぇ~♡」


「な、なんだお前は?」



 現れたのは、ピンク髪から羊角を生やした『魔女』だった。


 そう、魔女だ。泣きぼくろのエッチな魔女お姉さんだ。明らかに魔女だってわかるよ。だって魔女っぽいローブ着てるし。


 でも乳の部分だけは、なんだありゃ!? 暖簾みたいに布かけてるだけじゃねーか!? その乳のデカさ自体なんだよ!?



「ロケットみたいに突き出てるぞ!? 何食って育った!?」


「おぬしも十分デカいと思うがの。にしても、ふむ。いきなり乳に注目とは、中身は男の子のようじゃな~?」



 ニヤニヤと指摘してくる謎の魔女。


 ぬあっ!? そ、そんなのわかるのかよ……!?



「何者だよ、お前」


「くーくっくっ、よくぞ聞いてくれた」



 魔女はローブを翻して名乗る。



「わらわはトゥルーデ! この魔導世界にて最強の魔女なりッ!」


「最強だと……!?」



 名前と魔女って部分はいいや。さっき自分のことトゥルーデって言ってたし、明らかに魔女だし。これで格闘家のゴンザレスだったら驚いたが。


 にしても最強ってのはどういうことだよ。



「その自称最強様が、なんでゴブリンに捕まってるんだ? 最強なら負けないだろ」


「いい質問じゃのぉ。おぬしの名は、えーと」



 あ、自己紹介がまだだったな。俺の名前は……、



「あれ、名前が思い出せないんだが……!?」


「じゃあレーテでいいじゃろ」


「よくないんだが!?」



 何勝手に決めてんだ乳ピンク!?



「この世界の主神の妻『女神ゼヒレーテ』から取ったんじゃ。可愛いじゃろ?」


「可愛さなんて求めてねーよ!」



 俺は男だっつの!



「さぁて。この最強トゥルーデ様が囚われている理由だったか。――それはずばりッ、ゴブリンに処女を散らされたいからじゃ!」


「は、はぁ!?」



 何言ってんだこいつ!?



「わらわは『魔人族』でな。長い寿命を活かして二百年くらい修行しまくってきたら、最強になった代わりに、いい歳で処女になってもうたのじゃ~!」


「二百年ってなんだよ。いい歳ってレベルじゃねえだろ……」



 てか魔人族ってなんじゃい。この世界、亜人みたいなのもいるのかよ。



「このトゥルーデは考えた! せっかく取ってきた最強処女、そのへんの男に渡してしまうのは惜しいと。そして夜しか眠れぬほど考えた結果――逆にッ、最弱魔物のゴブリンに渡したら、面白いんじゃないかと思いついたのじゃ~!」


「はぁぁ!?」



 改めて、何言ってんだこいつ……!?



「妊娠もしてみたかったしのぉ。そんで五分前に捕まって連れられてきた感じじゃよ」


「俺とほぼ同時かよ!?」


「これも何かの運命じゃな♡」


「うるせえ!」



 こんな運命あってたまるか!



「まぁ落ち着けレーテよ」


「って、その女みたいな名前やめろや」


「今はおなごなのじゃからええじゃろ。転生前と、違ってな」



 ぬっ……こいつ、転生のこと知ってるのかよ。



「長く生きれば知識が付く。その頭の『廻魂の天輪サンサーラ・ハイロゥ』、それぞ転生者の証だと、古代遺跡の石碑にあったわ」


「マジか。てことは、俺以外にも転生者がいるのか……!?」



 そいつは今ごろどうしているのか。もしも元の姿や世界に戻れる手段を見つけたなら、どうにか教えて欲しいんだが。俺このままじゃアホピンクと孕み袋だし。



「さてな。主神ノーデンスと共に魔導世界を拓きし妻、女神ゼヒレーテも転生者だったといわれおるが。ちなみに我らが使用する言語も、その妻が広めたものらしい」



 日本語が!? あぁ……だからみんな日本語使ってるのか。


 ってことはそのゼヒレーテさんは日本人なのか? 名前からしてそうは思えんが……。



「ま、所詮は神話時代の出来事よ。現存の転生者はしらんな~」


「そうかよ……。じゃあ、最強の魔女トゥルーデ」


「なんじゃいじゃい」



 じゃいじゃいじゃねえよ。



「最強パワーで、どうか俺を逃がしてくれないか? 頼む!」



 俺は手を合わせてお願いした。自分がしぶといだけの雑魚だと分かった以上、頼れるのはこの魔女だけだからだ。


 が、しかし。



「ふははは! 嫌じゃ~!」


「ぬあ!?」



 こ、この魔女断りやがった!? しかも無駄に笑顔で!



「いやなんでだよ!? お前と違ってゴブリンと、エ、エロいことしたくないんだがっ!?」


「ふふん、簡単なことよ。どーーせ孕まされるなら、仲間がいたほうが面白いじゃろ!?」


「面白い!?」



 こいつ倫理観イカレすぎだろ。ゴブリンにわざと捕まると決めたのも面白さが理由だったか。お前道徳の授業を暗記科目思ってるタイプか?



「おま……面白いって……」


「何ごとも楽しむのが肝要じゃよ。どうせメシを食うのなら、誰かと笑顔で美味しいモノを食うのがええじゃろ?」


「まぁ、たしかに」


「それと同じじゃ」


「違うぞ!?」



 食事と孕ませエンドはまったく違うぞ!?



「よぉぉぉし決めたぞ、レーテよ。このトゥルーデとチームを組もうっ」



 チ、チームってなんだよ……?



「名付けて、『出産レビュワーズ』じゃ! エッチから出産までの過程にそれぞれ点数をつけるのじゃ~!」


「ふざけるなっっっ!」



 何が『出産レビュワーズ』だよ! 倫理観パーすぎるだろ!?



「そしてチラシ作って公開するのじゃ」


「嫌だぞ!?」



 なんで孕ませ出産までの過程を点数付けて公開しないといけないんだよ! 頭パーだと思われるじゃねえかよ!



「も、もしかしてこの異世界は価値観おかしいのか?」



 だったらコイツの異常者ぶりにも説明がつく。



「おいトゥルーデ。もしやお前、世間からマトモ扱いされてるのか?」


「いやイカレピンクって呼ばれとる」


「適切な扱いッッッ!」



 ちゃんとした世界でよかったよチクショウ! コイツがおかしいだけなのかよ!



「くそっ……頭の輪っかはダンマリだし、最初に出会った異世界人はイカレピンクだし……これからどうすれば……」


「不安なようじゃな。安心しろ」



 そっと優しく頭を撫でられた。



「トゥルーデ……」


「この世界の大気には『マナ』というエネルギー粒子が溢れており、魔物は肉体の七割をそれによって構成するのじゃ。よって母体にあまり栄養的負荷をかけず、ゴブリンなら半月程度で出産できるぞ!」


「って出産に対して悩んでるんじゃねえよ!」



 そもそもどうしたら出産を回避できるか考えてるんだよ!



「あーもうっ、お前なんか頼らねえよ。こうなったら自力で逃げる手段を考え」


『ギギャギャ~! タダイマー!』


「おぉ、帰ってきたのぉゴブリン共。五十匹以上の大軍じゃ~!」



 ふ、ふああぁああぁあ~~!? アホのピンクと話してたら手遅れになった~!?



『ギギギィ……! 極上ノ、メス共ォ……!』



 夥しい数のゴブリン共。その全員が、細くも長い肉槍を怒張させていた。



「う、ぁぁ……!」



 恐怖に固まり、唾が溜まる。生理的に喉が動き、俺は「ゴクリッ」と音を立てて飲み込んだ。じっとりと濡れた赤黒い先端の群れから、目が離せなくなる……!



『来イ! 孕マセル!』



 って、いいいい嫌だぁああああ~~~!?



「お、俺には美人な嫁さんを貰って子供を作るという夢が……!」


「よかったのぉレーテ! 美人な嫁さんになって子供ができるぞっ♡」


「俺がそっち側になってどーすんだ!?」



 ……異世界転生より、十分。


 こうして俺は孕まされることが確定したのだった……!



「さぁ、『出産レビュワーズ』の活動スタートじゃ~!」



 黙れバカ!



◆ ◇ ◆



【――第一項目:えっち感♡】



 転生した俺の下着は、なぜか黒い紐パンだった。ゆえにゴブリンに容易に剥されてしまう。マジでふざけんな。

 まぁ横でときめいているトゥルーデはノーパンなあたり、もっとふざけているんだが……。



『ゴギュゥゥウッ……!』


「やっ、やめろっ! マジでそれだけはっ、あぁっ!?」




 股を押し広げてきたゴブリン。そいつは充血した情欲を、白い割れ目に押し付けると――!

 



『ゴッ、ギャァアアーッ!』


「いぎぃぃいいいいいッ!? なッ、なんかっ、破られっ、あぎぃいいいいい!?」


「んぁあッ!? こ、これが破瓜の痛みかぁ♡」


『ゴギャッ、ゴギャッ、ゴギャァッ、ゴギャァーーーッ!』


「ひぎゃぁあッ!? おまッ、ただでさえ痛いのにっ、乱暴にすんなァ!?」


「んんんっ!?♡ なっ、ンっ、なるほど、のぉ……!♡ 短命種ゆえ、ネズミのように腰が速いか。容赦がないのぉ♡ かなり痛いがマゾにはオススメじゃな。モノのように扱われる感じがなかなか♡」


「お前はお前で冷静にレビューすんな!?」


『ゴギャッ、ゴギュゥウ~~~ッ!』



 ――ビュッボボボバァアアアアアアーーーーーーーーーーーーーッ!♡



「んぎぃいいいっ!? まっ、まさかコイツ出しやがったのかぁああ!? あっ、ぉっ、奥で、び、びって、粘っこいのが勢いよくッ……変なの、注がれてぇ……ッ!?」


「んぁぁあぁあっ!?♡ ふひぃ、こちらも子種を付けられたわぁ♡ 子宮に先をねじ込んできおったのぁ♡ 魔物はアホみたいに射精量が多くて濃いから、これは確実に孕んだぞ♡」


「ふっざけんなぁ!」


「ほれぇ次じゃぞレーテよ。ゴブリンは一発は早いようじゃが、一匹が終われば、あぁ、次の旦那様が来たぞ~!♡」


『ゴギャァアアアアーーーッ!』


「ああああああ絶え間なくセカンドチンポォオオッ!♡ そちらの世界でいう回転ずしみたいじゃなぁあああ♡」


「ぬあー!? 回転ずしに謝れッッッ!」


「男根が細長いことから処女にもオススメ。またマワされ希望者にも最適といったところか。うむ。えっち感については、五点評価中、四点をやろう! レーテはどうじゃ?」


「0点に決まってんだろうが! 最悪だよ!」




【――第二項目:生活感♡】



 ……巣穴での生活は、意外と快適ではあった。なんとゴブリンたち、わりと甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるのだ。


 トゥルーデ曰く『魔物は雄しかおらんゆえ、他種族の雌を孕ませて繁殖するのじゃ。ゆえに産める限りは愛してくれるぞ♡』とのこと。最悪のレディファーストだよ。


 ともかく大切にはされているのだが……、



「うぅぅぅぅぅぅう……! でもあれから連日アイツらに、うぐぅうう……!」


『ゴギャギャ! クエ、クエ! 元気ダセ!』


「旦那様が励ましとるぞ~♡ ほれ、果実をめっちゃ持ってきてくれたぞ」


「ゴブリンに励まされても嬉しくねーよッ!」



 そいつらのせいでずっと股グチャグチャで気持ち悪いっつーの!



「……メシはちゃんと用意してくれるのはいいけどよ。身体も拭いてくれるし牢の中も定期的に掃除してるし」


「メスを肥えさせ、また感染リスクを下げて出産を安全に行わせるためじゃな。動物界においては短命種のほうがそのへんに気を使ってるんじゃよ。先に述べたネズミも毛づくろいグルーミングは毎分くらいするじゃろ?」


「なるほど。砂浴びもよくするって話だしな、ネズミ」


「その点、ゴブリンは器用で手足も長いからの。体臭を消して獲物を狙うためにも、付近の泉で全身をくまなく洗うことが多い」


「あ~、俺も泉で捕まったな。ゴブリン共すぐ集まってきたし、あいつら水浴び中だったのか……」


「カタコトながら喋れるくらいに賢いだけあるじゃろ。同居人として清潔なのは大事じゃし、生活評価は五点じゃな! レーテも満足じゃろ!?」


「んなわけあるかっ! 俺は0点だよバカッ、そもそも監禁凌辱生活なんだぞ!?」


「レーテママはなかなかメス堕ちしまちぇんね~」


「腹に話しかけるなッ!? デっ、デキてねーわ絶対!」


「いやデキとるて」


「うるせぇ!」




【――第三項目:出産感♡】




『ゴギャギャギャァッ! 産メッ、産メッ、産メェッ!』


「や、やめろッ、こんな相手に腰振るとかアホか!? ぬぎぃっ!?」


「んぁっ♡ お迎え棒というヤツじゃのぉ。アレから半月、すっかり腹は出たし母乳も滲むし、わらわたち立派なママになったのぉ♡ 誇れ♡」


「誇らねーよなりたくなかったよチクショウ! てか何がお迎え棒だッふざけんなゴブリン共!」


「いやぁふざけとらんぞ。人間の子を産むならともかく、小柄なゴブリンを産むなら臨月での性行為は合理性がある」


「あるの!?」


「うむ。精液には子宮筋を刺激するプロスタグランジンが含まれるからの。陣痛をスムーズに促し、母体が苦しむ時間を短縮させておるのじゃ。いわば旦那様たちの気遣いじゃ♡」


「気遣いなのこれ!?」


『ゴギャァッ、乳、飲マセロッ!』


「ぬぁあ~~吸うなバカ!」


「やぁんっ♡ ゴブリン共は小さいから、なんだかショタとシてるみたいじゃよな♡ この時点でえっち評価三点は堅いよな♡」


「お前はお前でレビューすんな!?」


「ちなみに乳頭刺激も出産を促す効果があるぞ。愛情ホルモンとも呼ばれるオキシトシンが出るからの。ストレスを軽減する上、コチラも子宮刺激効果があるのじゃ」


「んぎゃっお腹痛くなってきた!? うわ~~頭パーな魔女のせいで無駄知識増えながらママになる~!」


「あぁんっこのトゥルーデもそろそろ産むぞっ♡ あ、最後に臨月セックスは人間相手にはせんほうがいいからな。人は頭部が発達したぶん骨盤を抜けるのが容易ではないため、早急に子宮からほっぽり出すと胎児が呼吸困難になってしまうぞ。孕ませたときは注意じゃぞレーテ!?」


「もう孕まされる側の性別だよバカッ!」


『ゴギャギャ~~! 産メ~~~!』


「んああああああああッ、もう出る! 出てくるッ!?」


「さぁ~~出産レビュータイムじゃ!♡ ほれ、手を繋いでやるから怖くないぞっ♡ 一緒に産むぞっ♡」


『産メッ、産メッ、孕ミナガラッ、産メェェエ~~~!』



 ――ビュッバァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッーーーーーーーーーーーーーーーッ!♡ ビュルルルルルルゥウウウウウウウウウウーーッ!♡ ブボッビュボッブビャブボビュボボバッ、ビュボボボバァアアアアアアーーーーーーーーーーーーーッ!♡



「「あああああああああぁぁぁあああぁあぁああ~~ッ!?♡」」





 

 

 

 

 

『――オギャァ! オギャッ、オギャァア!』


「あ……あぁぁ、産んじまったよ、ゴブリンの子……!」


「ふぅーっ、ふぅーっ♡ いやぁ新鮮な体験だったのぉ、新たな命を産むというのは……♡ 初産でも産みやすかったから、評価は五点じゃ!♡」


「0点だよバカぁ……!」



 全てが終わった後。俺はアホピンクと手を繋ぎながら倒れていた。


 足元で泣いているのが俺たちの子か。繋がったへその緒がその事実を示していた。



「くっそ、何が新鮮な体験だよ。こんなこと二度とするか!」


「まぁまぁたまには♡」


「たまにあって堪るかッ!?」



 産後も元気な魔女ピンクだ。こいつのせいで悲惨な気になるヒマもなかったよチクショウ。



「トゥルーデ」


「なんじゃ、戦わんわらわに対する恨み言かぁ? 助けてほしかったかぁ?」


「いや、ありがとな」


「――!?」



 そりゃ色々言いたいことはあるが、まずは礼を伝えることにした。



「うるさかったけど、側にいてくれて助かったよ」



 ゴブリンに捕まったこと自体は俺の力不足が原因だ。お前を恨む道理はねえよ。



「ふっ……ふふふっ、そうか、そうか……!」


「?」



 と、何やら今までとは違う感じで笑うトゥルーデ。そんな彼女を訝しんでいた時だ。『ウマレタ~!』と歓声を上げていたゴブリンらの様子が、変わる。



『ヨク、ヤッタ! 次、シコム!』


「は、次!?」



 祝福ムードも一瞬。ゴブリンらの目が、再び獣のようになった。



『孕マセルゥゥゥウ……死ヌマデ、ハラマセルゥゥウウ……!』


「や、やめろくんな!」



 取り囲んでくるゴブリン共。知性があろうと所詮は獣ということか。飛び散った生物的な羊水の匂いに、鼻をひく付かせて興奮している様子だった。



『次ィ、次ノ仔ヲ――!』



 怒張した股間が再び周囲を取り囲む。その光景に、思わずトゥルーデと繋いだ手に力が入った――その時。



「――次などありゃせんよ。もうおぬしらには飽きたからのぉ~」


『ゴギャ?』



 一瞬の、出来事だった。手を伸ばしてきたゴブリンの一匹が、その場で氷柱に囚われた!



『ゴガァアアアアッ!? ナ、ナニガッ!?』


「ちと調子に乗り過ぎじゃて。このトゥルーデを、おぬしらの所有物と思い込んだか? 逆じゃよ」



 立ち上がるトゥルーデ。刹那、彼女の豊かな肢体より一切の汚れが消え去り、さらにその手には黄金の杖が現れた。



「おぬしらが、わらわの所有物だったのじゃ。面白く初体験するためだけの、のぉ」



 鋭く地を突く黄金の杖。すると、氷結の波動が迸り、洞穴内を嵐のように吹き荒んでいく……!



「受けるがよい――第伍級天技、【氷華・涅槃雪グレイシャル・ニルヴァーナ】!」



 氷の薔薇が咲き誇る。無数の蔦が超高速でゴブリンらに伸び、それに囚われた瞬間、絶叫しながら氷像へと変わり果てる。



「あはははははっ! 慌てずとも死にはせんよ~! このトゥルーデを孕ませた旦那様がたとして、千年先まで愉快なオブジェにするだけじゃ~~ッ!♡」



 魔女は笑った。いつものように笑っていた。笑いながら、次々とゴブリン共を凍らせていった……!

 獣欲に溢れた魔の巣窟が、冷たい花に閉ざされていく。ゴブリン共の恐怖の叫びが響き続ける。



「ぬわわわわわわ……!?」


『『オギャギャァ~……!?』』



 ビビッていたのは俺も同じだ。思わず足元の子ゴブリンらと抱き締め合ってしまう。


 最強の魔女トゥルーデ。その二つ名は嘘じゃなかったらしい。



『ゴッ、ゴガァーーーーーーーッ!』



 残ったゴブリンたちが突撃を開始する。その目は敵意一色だ。もうトゥルーデのことを孕み袋などとは見ず、集団で殺す気で殴りかかってきた!


 だが、



「さようなら、旦那様がた。天技の極みをるがよい」



 魔女の瞳に揺らめく妖光。彼女は杖を振り翳し、そして。



「――天蓋解放【絶し命摘む氷柩庭園グレイシャル・エヴァー・ガーデン】――」



 魔女を起点に、『世界』が変わった。天は凍てつく空と化し、氷の城と花園が具現。一瞬にして俺たち以外の総ての時が氷結した……!


 大量にいたゴブリンの軍勢は、俺と赤子たちを除き、物言わぬ氷像と化したのだった。



「ほい、終わりと」



 トゥルーデは凍ったへその緒を砕いた。まるで怪物が鎖を断ち切るように。



「さて……産んだ我が仔も凍らせねばな」


「っ!?」


「ふひひっ、子育てなんぞできんしのぉ~。かといって放置もできんじゃろぉ?」



 笑いながら、魔女は赤子に手を伸ばした。冷気の宿る氷結の手を。



「おっ、おい!?」


「所詮は魔物だしのぉ。百害あって一利なしよ」



 その指先が赤子に触れようとした――その時。



『ォァ、ゴキャァ……?』



 赤子と魔女の、目が合った。



『マ、ァ……?』


「……………………………」



 瞬間、トゥルーデの動きが止まった。まるでこちらが氷像になってしまったように。


「…………むむむむ…………!」



 そして数秒後。冷気を止めて、彼女は普通に赤子を抱き上げた。そのまま後ろを向いてしまって顔が見えなくなる。



「トゥ、トゥルーデ?」


「……魔物学者の知り合いがおる」


「え?」


「そやつ、『人の血を宿す魔物を一から育てて、どうなるか記録したい』と言ってたのぉ。わらわ的にはどうでもいいんじゃが……」


「!」



 ……なるほど。それなら、



「預けてやればいいんじゃないか? あくまで俺の提案だがな」


「ん」



 魔女の表情はわからない。だがまぁ悪いもんじゃないだろう。



「あっ、それなら俺の子ゴブリンのほうも」


『マ~! マンマァァ~~!』


「うっ……!?」



 満面の笑みで抱き締めてくる子ゴブリン。うぐぐぐっ、、手放すことが出来ん……!



「ふははははっ! 懐かれてよかったのぉレーテママ~!」


「ママじゃねーよっ!」



 振り返ったトゥルーデはいつものようにニヤニヤしていた。くそっ、俺は男だっつの。



「てかトゥルーデ、マジで最強だったんだな。まさかあっさりとゴブリンを全滅させるとは」


「信じてなかったのかえ~?」



 アホだから嘘だと思ってたよ。



「なぁに。おぬしも【天職】を極めればこれくらい出来るようになるわ」


「な、なんだそりゃ!? よくわからんが俺ヒキニートだぞ!?」


「ぶははははは!」


「笑うな!」



 気付けば世界は洞穴内に戻っていた。いくつもの氷像が並ぶ中、魔女トゥルーデは平然と微笑み、俺に手を差し伸べる。



「では帰るぞレーテよ。街にある我が屋敷に案内しよう」


「お、おう」


「そして街中に、イラスト付きで出産レビューのチラシを張りまくるぞ!」



 って頼むからやめろボケェ!?



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レビュー№1:ゴブリンの総評

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トゥルーデ(魔人族):「平均評価4.6! 初交尾ということで評価は高めにさせてもらったぞ♡ 【第一項目:えっち感】を見てもらった通り、少々プレイは乱雑じゃが、初出産にはオススメの相手じゃ!♡」


レーテ(人間族)  :「平均評価0! 魔物の時点でオススメできねーし最悪すぎるわ! こんなビラ見てないで、寝ろ!」


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民衆の感想


男性(人間族):「も、ものすげー美女と美少女なのに頭おかしすぎる……! 異常者だ……! とりあえずチラシください」


男性(獣人族):「素直に戦慄だ……性欲の強い獣族でも、魔物との孕ませ体験談を公表したりはしねーぞ……! マジでドン引き! とりあえずチラシください」


男性(鳥人族):「魔物に孕まされたなんて、普通の女性なら一生隠しておくものでは……!? とりあえずチラシください」


男性(魔人族):「高貴なる魔人族がここまで落ちたか……。とりあえずチラシください」


女性魔物学者 :「これは興味深い学術資料ですね。特に臨月セックスが小型種の繁栄において母体の安全度を上げるかもしれないとは驚きです。実験動物を繁殖させる際、臨月セックスを好む個体を選別したら生産の安定化に繋がりそうです。人道性が上がりますね。またお子さんを預けて下さりありがとうございます。魔物研究協会より後日、金一封を贈呈しようと思います」


子供(人間族):「ママ~こうびってなに~?」


母親(人間族):「こんな頭のおかしいチラシ見ちゃいけません!!!」



◇↓皆様からのご感想&評価と、感想欄にて『相手役になってほしい魔物』、募集中じゃぞ~!(トゥルーデ)


 @えーぶい(【時間操作】転生村長とかいう作品はじめました)

https://kakuyomu.jp/works/16818093081816776794

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