第46話

「……もう終わり」


「も、もうですか?」


 私の膝の上で向かい合うようにして抱きついてきているルアは何故か私の言葉に驚いた様子を見せてきた。


「もうって……結構な時間、経ったでしょ」


 もう面倒だから、私はそう言って、魔法で膝の上にいるルアの体をふわりと浮かせて、ゆっくりと横に移動させた。


「あっ……」


「早く着替えてきたら」


「……はい」


 私の言葉に何故かルアは残念そうに頷いて、服を着るために自分の部屋に戻って行った。


 謝罪としてとはいえ、上の服まで脱いでやったっていうんだから、普通はもっと感謝するべきでしょ、と思わないこともないけど、相手は子供で、私は大人。そして、最初に思った通り、これは謝罪のためだったんだから、特別に許してあげることにした。

 ……最初に悪かったのは私なんだし、許すというか、許さざるおえないというか。……ま、まぁ、なんでもいい。


「……?」


 そんなことを思っていると、私は気がついた。

 何故か私の膝が少し濡れていることに。

 ……なにこれ。

 ……ルア、ちゃんと拭いてから来なよ。

 しかもただの水って訳じゃなく、ちょっとだけぬめっと? してるから、石鹸も混ざってるでしょ、これ。

 ……拭くどころか、洗い流せてもない。


 ……ちゃんとさっきのおもらしは綺麗に洗ってきたんだよね?

 私は急にその事が不安になってきた。

 いや、私のせいだし、汚いだなんて思っちゃダメなんだろうけど……直接付けられたとなったら、流石に話が変わる。

 実際、さっき私はおもらしをしてしまったルアのことを直ぐに抱きしめてあげてたしさ。直接以外なら、汚いだなんて思ってないんだよ。


 ただ、直接はさ……うん。

 ……ごめんね、ルア。私のせいなのに。

 いくら奴隷で私の所有物とはいえ、流石に罪悪感くらい出てくるよ。

 ……これは見なかったことにしてあげよう。

 

 私はそう思い、魔法で濡れていた部分を綺麗さっぱり消した。

 ……消したと言っても、あくまで乾かしただけだから、ルアがちゃんとおもらしを洗い流せていなかった場合、汚いまま​──

 ……私が悪い、かな。うん。

 そもそもの話、服を着てからでも今の状態でもどっちでもいいけど、なんて言わなかったら良かった話なんだから。……ルアがそういう趣味に目覚めてしまったってことは分かってたことなんだからさ。予想できたことなんだよ。

 いや、ご主人様である私を待たせるのは悪いから、という理由の可能性もあるから、趣味では無いのかもだけど、予想はできたという事実に変わりはない。

 ……はぁ。

 

 と、というか、そ、そっか。

 こ、こんな心配をすることになってるってことは、さ、さっきまで、私の膝には、ルアの、あ、あそこが……い、いや、何動揺してるの、私。

 別に奴隷のあそこが直接触れてたくらい何? 私の所有物なんだから、それ自体は問題ないでしょ。

 ……おもらしを付けられた可能性があるから、問題になっているだけで。


 もうこのことについては考えないようにしよう。

 それより、私もさっさと服を着よ。

 ……あ、でも、ルアがちゃんと体を洗えてるのかは今度確認した方がいいかも。

 お風呂を出たあとに体を拭けてるのかっていうのと一緒にさ。

 あの子、子供だし、本当に出来てない可能性もあるから、その場合はちゃんと教えてあげよう。

 大人のお姉さんとして、ね。

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