3.ひとりでいること、

 -人は自意識過剰である。-


 やっと着いた学校の門をくぐる。

 今日はやけに人が少ない。

「え、おはよう!」

 誰だかわからない男子が友達とのサッカーを中断して話しかけられた。人の顔や名前を覚えられないのは許してほしい。

「あっ....」としか言えない自分が情けない。

 歩みを進める。

 脈がはやまる。

 学校という空間はいつまで経っても慣れない。

 あぁ、苦しい。


 -騒ぐ声。雑談の笑い。机の擦れる音。すべてが私を拒み、排除しようとする。私の至らぬ点やみすぼらしいなりを嘲笑っている。-


 気力を振り絞って顔を上げるが誰もこちらを見ていない。

 所詮、私にはそれほどの魅力などないのだ。


 -人は自意識過剰である。-

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る