太陽への架橋

原寛貴

一日目 架橋と梯子

「なあ梯子。仮にこの世界がゲームの世界だったとして、どうすればエンディングを迎えられると思う?」

 架橋の問いに、梯子は少し考える。

「宇宙の果てに出る」

 梯子の答えに、架橋は成る程と頷く。

「宇宙の果てか。確かに宇宙の果てに出たらどうなるかは、SF漫画ですらなかなか取り扱われないテーマだ。てか、聞いたことないな。どうなるんだ? てか、出ることは可能なのか? こうして話している間にも、宇宙は少しずつ膨らんでいるはずだが……宇宙に膨張の限界はあるのか?」

 梯子の答えに対し、架橋は自問自答を繰り返す。架橋はこういう哲学的なことを考え込む癖がある。

「その線も良いと思うが、俺が考えるにもう一つある」

「もう一つ?」

 宇宙の果てに出るというのは割と考えられる思考実験だと思うが、それ以外にもう一つというと何だろうか。

「太陽を破壊する」

 太陽の破壊。そのスーパースペシャルスペクタクルな発想に、梯子は固唾を吞む。

「無理だろ。てか、破壊してどうする?」

「どうなると思う?」

「困る」

「それはそうだが、前人未到だろ? 何か壮大なことが起こりそうな気はしないか?」

 確かに前人未到だが、それは先人が皆「やっても無駄」「やられたら困る」と考えた末の当然の帰結ではないだろうか。しかし、架橋にそう問われると全否定はしづらい。確かに誰もやったことがないのだから、どうなるかは誰にも断定できないのではないだろうか。それこそSF漫画ですら取り扱われたことのない最大最高のテーマなのだから。

「架橋、お前頭おかしいだろ」

「自覚はしてるよ。でも、お前なら少しは分かるだろ?」

「ああ、お前とは保育園からの付き合いだからな」

 そう、架橋と梯子は保育園派なのだ。いや、今の論点はそこではない気がするが。

「じゃあ、行くか梯子」

「ああ、行くか架橋」

 どこに行くかって? 決まっている。

「「太陽の破壊へ‼」」

 男子高校生二人による、神への反逆が始まる。

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