第9話 前に敵、うしろにも敵

秀吉は京都から、ふるさと愛知の友達に電話をした。


秀吉「おれ、かなり出世したさ」


友達「貧しい農民から一軍の将になったもんね、すごいよ」


秀吉「どこまで行けるかな」


友達「まだ出世する気?」


秀吉「今度そっちに帰るときは、きっとリムジンだよ」


友達「楽しみにしてる」


秀吉「もっと出世するには、どうしたらいいかなぁ」


友達「仕事ができるのはもちろんだけど、それプラス、上司と心が通じ合うのってのも重要かもよ」


秀吉「えー。信長さんと?」


友達「うん」


秀吉「なんか難しそうだな~」


友達「がんばってみ」


秀吉「うん」



そして。



秀吉「信長さん」


信長「なにさ、サル。今、出陣の準備で忙しいんだから」


秀吉「僕が今なに考えてるか、当ててみてください」


信長「いや、そんなゲームしてる暇ないから」


秀吉「いきなり難しすぎですか? じゃあ、まず僕の年齢、当てて下さい」


信長「は?」


秀吉「何歳に見えます?」


信長「そんな合コンみたいな会話、いいから」


秀吉「心、通じ合いたいんですよ~」


信長「なんだよ、いきなり」


秀吉「僕の好きな食べ物、わかります」


信長「うるさいなぁ。ラーメンだよ、ラーメン(適当)」


秀吉「まぁ、カレーですけど、どっちもアジア系ですもんね。正解」


信長「無理矢理じゃん」


秀吉「いや~、通じ合ってますね、僕たち」


信長「よし、出陣の準備、完了。大物戦国武将Aをやっつけに行くぞ!」


秀吉「はい!」




織田信長は軍勢を率い、福井県へむかった。

その道中、信長軍に危機がおとずれた。




秀吉「あれれ? ねぇ、信長さん」


信長「なにさ」


秀吉「うしろから大軍が迫ってきますよ」


信長「大軍?」


秀吉「もしかして敵じゃないですか?」


信長「まさか。敵はおれたちのずっと前方にいるはずだよ」


秀吉「じゃあ、うしろから迫ってくるのは?」


信長「ん。よく見たらあれ、おれの義理の弟の軍隊だ」


秀吉「じゃあ、味方ですね」


信長「きっと応援に駆けつけてくれたんだよ」


秀吉「いや、でも、義理の弟さんの旗、見てください」


信長「?」


秀吉「『信長やっつける!』って書いてますけど」


信長「げっ!」


秀吉「そういうギャグ、流行ってるんですか? 親戚のあいだで」


信長「流行ってないよ」


秀吉「じゃあ、裏切り?」


信長「困ったな……。前方には大物戦国武将A、後方には裏切った義弟」


秀吉「挟み撃ちされちゃってますね」


信長「サル、なんとかしてよ」


秀吉「えぇ、僕っすか?」




西暦1570年4月。

信長の義弟・浅井長政が裏切った。

これによって信長は、大ピンチに陥った!

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