第10話 病棟の手


むかし、住んでた家の近所に

病院がありました。



私の部屋の窓から見える病室から

高校生くらいの男性が

いつも笑顔で手を振ってくれていたのが

見えてたんです。


彼はかっこよくて、

私も

いつも手を振りかえしてたんですよね。



でも、

男性が見えていた窓は

実は


物置、倉庫にしている所で


その棟に、

男性の入院患者さんなんて

いなかったんだそうです。


それを知った時、

恐怖より、失恋したような気持ちになったことを覚えています。



幽霊に恋したこと、

ありますか?

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