隠密系スキルを持った俺が終焉の暗殺者と呼ばれるまで

丸メガネ

第1話 異世界へ!

 人は死ぬとどこに行くのだろうか…そんなことを多くの人が考えたことがあるのではないだろうか。

 俺は死んだ…間違いなく。

 大学の帰り道、俺は信号を無視して突っ込んでくる車に轢かれて死んだはずだ。それもついさっきの出来事で、死ぬ間際に感じた恐怖は覚えている。だが今は不思議なことにまったくもってそれを感じず、自分でもおかしいくらい、変に落ち着いていた。おかしいのはそれだけではなく、この場所も変だ。周りを見渡すとただ真っ白い空間が広がっている。先には終わりがある様子はなく、地面や天井さえもない。ただ真っ白い空間があるだけだった。

 本当に何もない。これが天国なら退屈そうだし普通に嫌なんですけど。地獄だって言われても全然信じるぞ。


「天国でも地獄でもないですよ。」


 ーーーッ!?


 俺の心の声に答えるように誰かが答える。だがしかし姿は見えず、声だけが聞こえた。


 えーっと、誰ですか?


 思わずそう聞いたが、大体想像がついていた。そう、それはーーー


 ーーー神


「正解です」


 俄かに信じられない話だが、間違いなく死んだ経験やこの不思議な空間も含めて考えると信じる他ないだろう。それに俺は結構ファンタジー小説とか読むタイプである。この展開は定番だよね。


 あのー、俺はこのあとどうなりますか?


 早速一番気になるところを聞いた。ここはどこなんだー!というとも気になるところではあるが、さっさと本題に入ったほうがお互い楽だろう。そう、俺は話のわかる男なのだ。


「ええ、そうですね。話が早くて助かります。いきなりですが、影野かげの影牙えいがさん、あなたには異世界に転生してもらいます。」


 異世界?あの小説とかにある剣と魔法の?ドラゴンとかいる?あとエルフとか!あと魔王と勇者とか、あとーーー


「コホンッ」


 あ、すみません。つい興奮して。


 俺は全然話のわかる男ではなかったらしい。トホホ……。


「では話を進めます。これから行っていただくのはヘレスティアと呼ばれる世界で、先ほど貴方が言っていたように魔法もあります。」


 おおぉぉー!やっぱりあるんだ魔法!じゃあスキルとかステータスとかもあるのですか?他にもーーー


「コホンッ」


 あ、すみません。また熱くなってしまって……もう黙っときます。はい。


「まあいいでしょう。まずそちらにお答えしたほうが早そうですから。」


 というと?


「スキルやステータスですが結論から言うとあります。そして今回異世界に行くにあたってスキルを選んでいただきます。」


 神様がそう言うと目の前に一冊の本が現れた。


「それはスキルの書です。そこから3つスキルを選んでもらいます。」


 なるほど。思ったよりもアナログだ……。

 とりあえず手に取ってみる。すると頭の中に項目が浮かんだ。



 ◇◇◇◇◇

 心眼

 再生

 魔眼

 強奪

 不老

 吸収

 ・

 ・

 ・

 覚醒

 変身

 凶化

 ◇◇◇◇◇



 なんだこれ!

 アナログとか言ってすみませんでした。正直舐めてました。てか本当にすごいぞこれ!

 頭でこんな感じのスキルが欲しいと考えるだけで該当するスキルを抽出してくれる。この機能神すぎんか…いや、実際神の道具か。


 よし決めた!これにしよう。

 神様、決めました。


「どれどれ、隠密、バックスタブ、影魔法ですか。わかりましたそれらのスキルを授けましょう。」


 正直火とか水とかの魔法も使いたかったが、俺はゲームでも隠密して誰にも気づかれずに倒すっていうのが好きだった。だからこの3つにしたわけだ。まあ影魔法は魔法を使いたい欲求と隠密系に合うかなと思っただけだが。


「あー、言ってませんでしたね。魔法は普通に使えますよ。今選んでいただいてるのはスキルはスキルでもユニークスキルです。」


 ユニークスキル?


「はい。普通のスキルよりも特殊で強力なものであり、世界に1人しか持ちえない唯一無二のスキルです。」


 なるほど、じゃあ魔法は使えるんですね。


 つまり、基本は魔法や剣を使ってプレイしつつ、本気の時は隠密を駆使して暗殺……いい、いいぞ!まさしく俺がゲームでやっていた通りのプレイングだ。


「満足していただけたようで何よりです。他質問がなければ早速転送させたいと思うのですが、大丈夫ですか?」


 はい、大丈夫でーーーあ、神様の名前を聞いてもいいですか?


「私ですか。私はイリスです。今から行く世界の神をやっております。それでは転送しますね。あなたに祝福があらんことを。」


 え、ちょっーーー


 全てを言い切る前に俺の意識は遠のいていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る