第7話
入り口のドアを抜けると、外観同様に薄いアイボリーに統一されたコンコースが周囲を取り囲むように広がっている。
屋根が高く、吹き抜けで、歴史的なお城にいるようだった。
天井には窓ガラスが設置されていた。
ぶ厚い石の柱が何本も立ち並んでいる様は圧巻だが、その分空間の肌触りが冷たく、どこかもの寂しい雰囲気さえ感じられる。
そういった質感を和らげるように、天井からは暖かい日差しが、穏やかな木漏れ日のように差し込んでいた。
このスタジアムはイベント事にも使われることが多く、コンコースの中には売店用のスペースや改札口まで設けられている。
基本的には訓練場としての利用やクラブ活動の試合会場、練習場としての利用が主なため、売店内での販売や入場料の受付はしていない。
イスティア大学院の学生であれば、自由に出入りできる場所でもあった。
学生寮と同じく、多くの生徒たちで賑わう場所であり、他の地域(ガルバディア領の様々な地域)からの学生も出入りする“公共の施設”という側面があるため、専用のバス路線が街の駅から繋がっているという事情があった。
コンコース内の待合室では、多くの生徒が腰掛けていた。
自動販売機の前にはテラス席が設けられており、音楽を聴きながら勉強している者や、数人のグループで談笑している者たちの姿があった。
特別な申請をしない限り、一度に借りることができるのは最大2時間まで。
今回ルシアたちが訓練のために利用できる時間は1時間だった。
「GATE1」と表示された広い通路を渡って、3人はスタジアムの中に入った。
通路を少し渡った先には、観客席の向こうに横たわる大空間が、青い空の下に広がった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます