第38話 河内戦

 3回戦は河内かわうち高との対戦。

 試合開始直前、ネネさんが「私もヒットを打ちたいのじゃ」とつぶやいた。

「人の活躍に頼ってばかりでは、甲子園に出られても、私にとっては物語みたいではないのじゃ」

 高浜先生はそれを聞いて、「主役だけでは物語は完成しねえ」と言った。

「おまえは主役ではないかもしれん。だが、いなかったら、うちは試合に出ることすらできねえんだ。おまえが必要だ」

 ネネさんは「脇役でも良いか」と言って、レフトへ走っていった。


 青十字高は後攻。

 先発投手はきみ。

 今日もきみのストレートはキュンと伸びて、僕のミットをパン!と鳴らす。

 二者連続三振。

 3番打者はきみの初球をバットに当てた。打球がふわりとレフト方向に飛んだ。

 ネネさんが前進して、しっかりとキャッチ。

「ナイスレフト」「ナイスキャッチ」とみんなが声をかける。

 確かに彼女は必要な存在だ。監督を含め、10人全員が必要。


 相手投手は右スリークォータースローの加賀大和かがやまとさん。

 ストレート、ツーシーム、落ちるカーブをていねいにコーナーへ投げる技巧派だ。

 僕にとっては打ちやすいピッチャーだった。

 最初の打席でホームランを打ち、前の試合の名誉挽回をすることができた。

 と思ったのだが、

「男の投手なら打てるんだね」ときみは言った。

 女性投手を打たなければ、挽回はできないのかもしれない。それも巨乳のピッチャーを。


 3回裏に9番バッターのきみがヒットを打って出塁した。

 つづく僕はツーランホームランを打った。これで3対0。

「男のピッチャー相手なら絶好調だな、時根」と草壁先輩に言われた。いつまでいじられるんだよ。


 6回表からは先輩が投げた。ストレート、カーブ、スライダー、スプリット、フォークを投げ分けて、相手バッターを翻弄する。

 6回裏、僕はリリーフピッチャーの赤城武蔵あかぎむさしさんからもホームランを放った。3打席連続ホームランだ。

 さすがに名誉挽回したよね?

「さすがやね、時根くん。男性相手だからやね」

「もうやめてよ、志賀さん!」

 ベンチに笑いがあふれた。


 9回裏、河内高の4番打者に死球を投げてしまって、草壁先輩が調子を乱した。5番にツーベースヒットを打たれて、1点を失った。しかし、粘り強く投げ、それ以上の得点は与えなかった。

 4対1で勝利。

 この試合でネネさんは三遊間を破る初ヒットを放った。

 草壁先輩は期待を裏切らず?三振しつづけた。

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