第41話 再会
「ほら、挨拶に行くぞ」
「はい」
颯真に連れられて、会場の真ん中まで行くと、綺麗な銀髪の女性がそこにいた。
その横にはいつの間にか香雅里さんがいて、こちらに気がついた。
「花蓮ちゃん素敵! と、颯真」
「その言い方」
「花蓮ちゃん、紹介するね。私のお祖母様」
「初めまして」
香雅里さんの祖母だと紹介された女性がわたしを見て、微笑んだ。
「……お誕生日おめでとうございます」
「ありがとう。小鳥遊さん」
「お祖母様、花蓮ちゃんと知り合い?」
「ちょっとね。今度は颯真くんなの? 相変わらずね」
「ひどいなぁ、深水会長。そこは『あなた幸せ者ね』でしょう?」
「そう言うのなら、颯真くん、小鳥遊さんを幸せにしてあげなさいよね」
この人が深水グループの会長さん……
「花蓮、オレといて幸せだよな?」
急に話をふってこられて驚いたけれど、にっこり笑って言った。
「十分すぎるくらいです」
この言葉に嘘はない。
「ねぇ、お祖母様は花蓮ちゃんとどういう知り合いなの?」
「前に、ケーキフェスタでお会いして、おすすめのケーキを教えてもらったの」
「はい。その節はたくさんお買い求めいただきありがとうございました」
「いいえ。こちらこそありがとう。ゆっくりしていらしてね」
それだけ言うと、会長さんは、秘書のような人に声をかけられ、行ってしまった。
わたしとどうして知り合いなのか、会長さんは知られたくないようだった。
だから咄嗟に口裏を合わせたけれど、どうしてあんなことをしているのか、見当もつかない。
深水グループの会長さんは、池田株式会社に出入りしている、清掃会社の深川さん、その人だった。
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