挑戦の果てに：ゴルフ初心者からシングルプレーヤーへの道

千明啓人

序章

　三十代半ばに差し掛かり、運動とは無縁の生活を送っていた僕は、平凡な日々に少しの退屈を感じていた。毎日デスクワークに追われ、身体を動かす機会などほとんどなかった。日々の業務に追われる中、ストレスも溜まり、休日は家でのんびり過ごすことが多かった。そんな僕に突然訪れた転機、それがゴルフだった。

　ある日、会社の上司である田中部長から「今度の週末、一緒にゴルフに行かないか？」と誘われたのだ。田中部長は熱心なゴルファーで、週末ごとにゴルフ場に足を運んでいた。彼のオフィスには数々のトロフィーが並んでおり、その腕前は社内でも有名だった。僕はゴルフについて全くの無知だったが、仕事の付き合いもあり、断るわけにはいかなかった。

初めてのゴルフ場

　ゴルフ場に初めて足を踏み入れたその日、緑豊かなコースと広がる青空に心を奪われた。田中部長と他の同僚たちは既に慣れた様子でクラブを振っており、僕だけがその場の雰囲気に馴染めずにいた。ゴルフ場の広大な景色は圧巻で、自然の中でのプレーは心地よさそうに見えたが、僕の心は緊張でいっぱいだった。

「初心者でも大丈夫だよ、まずはリラックスして楽しむことが大事だ」と田中部長が声をかけてくれた。彼の言葉に少し安心しながら、僕は初めてクラブを握り、初めてのスイングに挑戦した。しかし、ボールは全く飛ばず、地面を叩いてばかりだった。思った以上に難しいスポーツだと感じた。

挫折と決意

　その日のラウンドは惨憺たる結果に終わったが、同僚たちは温かく見守ってくれた。「誰でも最初はうまくいかないものさ」と笑顔で言ってくれた言葉が、僕を少し救ってくれた。負けず嫌いな性格の僕は、「次はもっと上手くなって見返してやる」と心に誓った。そして、ゴルフが単なる仕事の付き合い以上に、自分の新たな挑戦となることを強く感じた。