第38話 女子高生、覚醒する。
わたしは、呼吸を整えると、手のひらのシェールストーンから湧きあがっている怪しい気黄色い煙を思い切り吸い込んだ。
!? なに? これ!? 身体の全身から力がみなぎってくる!!
「効果が出てきたようじゃの。では早速試し斬りといこうか!」
おじぃちゃんは回れ右をしてスタスタと赤岩の窪みからでてきる。
どうしたんだろう。わたしと
「ふむ。ちょうど良いところに、恐竜型の群れがおるかの」
そう言うと、おじぃちゃんは石ころを拾い上げると、
「ほりゃ! マサカリ投法じゃぃ!!」
恐竜型の群れにめがけて思い切りなげつける。
「ゴギャ!?」
石のつぶては、恐竜型の頭にクリーンヒットした。事情が読み込めない恐竜型は、周囲を見渡すと、
「ギャオオオオオ!」
「ギャオオオオオ!」
「ギャオオオオオ!」
「ギャオオオオオ!」
「ギャオオオオオ!」
「ギャオオオオオ!」
群れの恐竜型と一緒に、もう突進をしてくる。
その様子をおじぃちゃんは満足そうに見つめると、わたしにバスタードソードを手渡してきた。
「恐竜型、全部で6体。今のお前なら楽勝じゃろう」
「ええ? ワンコ、大丈夫なの?? 剣を伸ばせたのも、偶然だって言ってたじゃん」
「大丈夫。問題ないよ」
強がりじゃない。おじぃちゃんの言う通り、今の私なら楽勝だ。
そればかりか、早く剣を奮ってみたくて仕方がない。
「いくよ!! ロゥファ! わたしの活躍、しっかり撮影してね!!」
「う、うん。わかった!!」
迫り来る恐竜型の群れに、わたしは向かっていく。
「ギャオオオオオ!」
「ギャオオオオオ!」
「ギャオオオオオ!」
恐竜型が3匹、列をなしてわたしに襲い掛かる。
黒光するその皮膚は、まるで鎧武者のようだ。
「はっ!」
わたしは、戦闘の恐竜型の頭を踏みつけておおきくジャンプすると。そのまま伸身ので宙返りをしながら身体をひねって恐竜型の背後に着地する。
「なに!? 恐竜型を踏み台にしただとぅ!!」
「瞬伸の太刀!!」
ザシュシュシュシュシュゥ!!
「ギャ? ギャオオ……」
「ギャ? ギャオオ……」
「ギャ? ギャオオ……」
命の果てた恐竜型がシェールストーンにかわるなか、それの様子を見ていた残りの恐竜型三匹が散り散りになって逃げ出した。
「逃がさないよ!!」
わたしは、バスタードソードを上段斜めにかまえると、そのまま水平に振り抜く。
「瞬伸の太刀・薙!!」
ザシュシュシュシュシュゥ!!
「ギャ? ギャオオ……」
「ギャ? ギャオオ……」
「ギャ? ギャオオ……」
バスタードソードは30メートルほど伸びただろうか。刀身は逃げ惑う恐竜型をもれなく捉え、真一文字に切り裂いた!!
「ワンコすごい! めちゃくちゃパワーアップしてるじゃない!!」
「はっはっは。修行の成果が出たようじゃな。弛まぬ反復の末に習得した技は身体に浸透する。自転車に乗るようなものじゃ。乗れるまでにはコツがいるが、コツさえつかめれば、息を吸うように何なく扱える」
「なるほどですね!!」
「むろん、黄色のシェールストーンで、身体能力が向上しているが故の恩恵があるがの。黄色のシェールストーンによる、身体能力の向上、その他の色のストーンで発生する魔法のような超常現象。いずれも強力なドーピング効果じゃが、極めるとなると結局のところは土台。地道な修練で切磋琢磨する以外ない。急がば回れじゃな」
「なるほどなるほど!! ああ、視聴者さんからモノスゴイ数のコメントがきています。いくつか読みますね。」
『ワンコちゃんすごい!!』
『めっちゃカッコいい』
『新しいスターの誕生だ!!』
『ワンコちゃん、ひょっとしたらロカちゃんより強いんじゃない??』
『すでに第七層には敵なしですね』
「すごい! 賛辞の嵐がとまりません!!」
「ワンコ、視聴者のみんなにコメントしてよ!!」
何を言おうかな……いろんな言葉が頭の中をめぐるなか、わたしは、コメントの言葉を決める。それは、ついさっきまでの自分では、考えられないコメントだった。
「これが犬飼流剣術免許皆伝、そして『最上の探索者』
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