第2章 メリオス決戦No.9
「何ですか?怖いですね……もしかして“魔族協定”という言葉を知らないですか?」
ジョゼは余裕たっぷりな様子を見たものの、内心は焦っていた。何故なら、ガルシアという“魔族”なら対等でも、シルバードラゴンになると負けてしまうからだ。
「アホウ、魔族協定はたった今、コチラから“破棄”したのじゃ」
“魔族協定”
魔族同士が争わないようにするのが目的……というが建前で強力な魔族、つまり魔王『デビルガゼル』が面白しろ半分で作った協定である。
ただ、こんな強力な魔族協定だが一つだけ欠点があるそれは…
“簡単に破棄できること”
である。今回のケースはガルシアとシルバードラゴンに対して“ダビオ王が心の底から信頼し、助けを乞うこと”
もちろん、口先だけでは破棄とはならず発動もしない。だが、ダビオが“心の底から”とういう発言をしたのであれば“破棄”が可能なのだ。この“魔族協定”がえげつない所であり、面白ろ半分で作った魔法である。
「安心せい。もし、ワシだけが“魔族協定”が違反かもしれんから手出しは不要じゃ。まぁ、そんなことは無いかもしれんがのう…」
“よっしゃ!ガルシアだけ1人相手にできる!”
ジョゼは内心“ガッツポーズ”をしてみせた。だが、それは内側である。
表では、いつも通り淡々と表情を崩さず対応している。
「それは残念ですね……まぁ、仕方ないでしょう。スペニア国の上司が争えというものですから殺して差し上げましょう」
ジョゼがニヤニヤした不敵な笑みに対して、ガルシアも険しい顔になる。
“よくもやってくれたな!まぁ、戦争だから綺麗な争いなんて望んで無いし、1番鬱陶しいオババもいないし、とりあえずコイツを殺しとくか?”
そしてガルシアとジョゼが対峙する。だが百戦錬磨の魔族である、中途半端な魔族ではそうは行かなかった。
「もしかして、人しか相手にしなかったでしょう?ヒャハハハ!」
俺は逆撫での感じで態度が気に食わなかった。そんなジョゼも調子に乗る。
「安心して下さい。すぐに争いは終わりますから!」
そう言ってジョゼはオーラ全開に醸し出し、剣を構えた。
そして突然、胸の内側…つまりガルシアの中に潜む“デーモンキング”が語り出した…
ーー俺に任せろ!
と……。
「ば、バカなことは言うな!オマエ……ぐふっ」
“あ……やっぱりな…”
とシルバードラゴンは思った。成竜なら対等に戦えるが“今”のドラゴンでは戦えない…圧倒的なオーラ…つまり実力だ。
「え……まさか、オマエ…いや、アナタ様は…」
ジョゼはオーラ全開を忘れて初めて狼狽をする。つまり“恐怖”したのだ。
「デーモンキングだよ。オマエなんか相手もしなかったのに……オマエが生きていたオババも面白かったんだぞ!密かに推しが出来たのに…本当に腹立つ!」
「……それだけ?」
“………”
ジョゼは正直、狼狽していた。何故なら、ただそれだけで殺されなければならなかったからだ。
「ま、まってくれ!アナタ様に歯向かったのは謝る…いや。謝ります。今後、アナタ様の地には踏み込まないようにします!どうかお願いします」
ジョゼは狼狽しながら何とか生き残れる場を模索している…いわば、生き残るためには必死なのだ。
「ダーメ…と言いたいのだけど、1つだけ条件がある…」
ジョゼが必死に説得しているのに対してデーモンキングが1つの兆しを提示した。
「それは……」
「それは?」
デーモンキングが“ニヤリッ”と不敵な笑顔になった。そしてデーモンキングがジョゼの首に手刀を切り裂き、地面に“ポトリ”と落ちていた。
「オババを生き返られることだよ……まぁ、そんなこと無理だからな」
グレナダ国とスペニア国。
歴史上、最悪な戦争なので後の歴史の中には葬り去られている…だが、ガルシアとシルバードラゴンには歴史的にはどうでも良く、その場が良ければ何でも良いのだ。
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