第1章 布教の行進No.8

「どうして、人の言うことが聞けないの!まったくですわ!」

「………」


俺は呆然とししていた…何故なら、この兄弟ケンカ?……いや、兄弟虐待?を見守ることしたできなかったからである……もちろん、妹(姫)が兄(王)対して…。

“…いや、言いたい事は分かる。分かるけど、王としてトップとして立てて欲しい”と俺は思う。だって、この女(姫)、怪力女だもん…。


ここはダビド王の個人の部屋。広さは20畳で少しでも落ち着けるように内装が施されていて安心するのだが…今じゃ、ちっとも心が収まらない…それどころか、危機感でさえ感じてしまう。何故なら、ありとあらゆるものがブチ壊されていたからだ…コレは生命の危機感を感じてしまったのは言うまでもない。


「す、すまん。ちょっとだけでいいんだ。話を聞いてはくれないか?」

「……少しですわよ。もし、詰まらなかったら破壊しますわよ!」


ラウラ姫は“プイッ”と首を傾けた。

“かわいい……”たまに、美少女(ラウラ姫)が可愛いと素直に思えてしまう……ただ、美少女と怪力女。コレが現実。


「コホン。ぶっちゃけ協力して欲しいよ。ただ、メビオスのトップとして協定するのはプライドがいる、そして色々派閥があるから威厳として協力できない。スマンな」


ダビド王は俺に対して穏やかな顔…そして、目の奥にある真っ直ぐな一本筋のある瞳が輝いていた。


「か、勝手にしなさい!!」


ラウラ姫はそういうと“クルリッ”と180度、回転し

“バン!!”

ドアを激しく閉めた…俺は“本当に壊れていないか?”と様子を見たが…案の定、メチャクチャ破壊され、壊す寸前の所まで来てしまったのだ…正直、恐ろしい…。


「ぶっちゃけ、怪力女だと思うんだろ?」

「いや、そんな事は……」


“正直、思っています。全世界の男性ならそう感じています…いや、必ず◯されるって思っています”と俺は正直、思っていたが、血の繋がった妹の手前、そんなことは言えず嘘をついてしまった。


「…ありがとう。もし“正直、思っています”と言われたら『打首獄門の上、死刑』だったけどなぁ…。そう言われて嬉しいよ」


ダビド王は“ニッコリ”と、且つ“サラリッ”とと口にした。

“アブネーーーー!!!”

と背筋が凍った俺は冷や汗をかいてしまった。


「ほれ、言った通りじゃろ?協力なんぞせずに静観のは一択じゃ」


シルバードラゴンも“フンフン”と鼻を鳴らす。俺も“ぐぬぬ…”と思ったが、コレが現実なので黙っておくことにした。


「……なぁ、コレはひとりごとなので無視して欲しい。ラウラ姫は巷では『怪力女』って噂だけど、本当は1人では何もできない寂しがり屋なんだ…ラウラを守ってくれないか?」


“あの怪力女が!?”と俺は正直思ったが“妹想いの素敵な人だなぁ…”と心の底から感じてしまった。

そして、突然立ち止まってドアの方へ歩き続け、ドアノブが開く瞬間、突然立ち止まりコチラの方へ向いた。


「それって死んでいること前提なんだよな?正直、無いわ〜。だったら、メビオスのトップとして君臨しないと威厳がなくなるよ」


“ニッコリ”と俺は満面の笑みの顔をし、そしてすぐにドアを開いた。

“ドォーン……”

……二枚目のセリフを言うつもりが、まさかの三枚目になってしまったことは誰一人も知らない。

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