恋の行方（短編小説集）

第1章: 初めての出会い

　大学生の由美は、課題のためにカフェ「プチ・アンジュ」に向かった。彼女は窓際の席に座り、ノートパソコンを開いた。店内は静かで、雨音が心地よく響く中、彼女は課題に集中していた。

カフェのドアが開き、一人の青年が入ってきた。彼の名は健太、地元の出版社で働く編集者である。彼は注文を済ませ、由美の隣のテーブルに座り、本を読み始めた。ふと顔を上げた健太の目は、真剣に画面を見つめる由美に留まった。

その日、由美はカフェラテを、健太はアイスコーヒーを注文した。店員が間違えて由美のカフェラテを健太のテーブルに運んでしまった。「すみません、それは私のカフェラテです」と由美が声をかけた。

健太は驚いて顔を上げ、「あ、そうなんですか。どうぞ」と笑顔でカフェラテを返した。その瞬間、二人の間に小さな笑顔が交わされた。