カクヨムや創作に関する応援的な私見
さえぐさ
カクヨムの新着欄が目立つところにない理由
散見される意見にこういうのがある。
『新着欄をもっと目立つところにして欲しい』
初めは私もそう思った。間違いなく同意見だった。
しかし、書き手としてカクヨムをしばらく使うようになって、意見が変わった。
『今の位置で問題ない』
これが今の私の意見だ。
◇◆◇
そもそも新着欄がもっと目立つところにあってほしいと願うのは何故だろうか。
おそらくそれは、
『ランキングに載るような作品ではない作品も見てもらえるようにため』
もしくは、
『ランキングに載りたいが、PVが足りない』
ではないだろうか。
私はこの意見を否定しない。何なら寄り添ってる気分ですらある。
では何故、新着欄の位置が今のままでいいと思うのか。
憶測が多分に混じった私見を語っていく。
◇◆◇
まずはサイトのデザインから、運営の思惑を推測するところから始めたい。
これから語る内容はあくまで憶測であることに留意していただきたい。
憶測の土台に思考積み上げるわけだから、
憶測が間違っていれば、……まぁそういうものである。
では――。
このカクヨムというサイトで、
もっとも導線として強い場所は「週間ランキング」であると思っている。
(もっとも目を引く場所は「注目の作品」だと思うが)
ここで大事なのは「日間ランキング」ではないことである。
サイトの設定として、ランキングをタップorクリックすると、
「週間ランキング」に飛ぶようになっている。
つまり運営には、「日間」ではなく「週間」を重視したいのだと推測出来る。
また、
PCやスマホ等で多少デザインは変わるが、
小説を探そうとした際、
「◯◯を読んだ貴方へ」といったようなリコメンド機能や、
公募や、自主企画、話題の長編、といったような検索機能以外のところで、
どんどん小説を提示して読ませようとしてくる。
私はこういったことから、
運営はランキングの有用性は充分に理解しつつも、
ランキング以外から作品へたどり着く導線を作ろうとしているように思えた。
現在、
スマホで「小説を探す」をタップして該当ページを見た場合の配置は以下の通りだ。
「◯◯を読んだ貴方へ」
↓
特集
↓
話題の長編
↓
書籍化作品
↓
旬の短編
↓
公募
↓
みんなの併読作品をピックアップ
↓
カクヨムネクスト
↓
まずはここから
↓
カクヨム公式のおすすめレビュー
↓
最近更新された作品
↓
自主企画
↓
~
~
疲れた。
長すぎて途中で力尽きたので、ここで勘弁してください。
言いたいことは、サイト側でこれだけ導線を作っているということ。
それが上手く機能しているかどうかは一旦置いておいて、
運営はランキングに頼らなくても何となるように足掻いているように思える。
ここまで読んで、
『でもその上で新着欄をもっと目立たせてもよくね?』
と思った方が多いのではないだろうか。
当然である。
そういう風に書いている。
ではこれから、それをひっくり返していく。
ひっくり返していきたい。(願望)
◇◆◇
ひとつ、おさえておきたい事がある。
それはカクヨムは後発サイトであることだ。
このサイトが出来る前に、
「小説家になろう」という超強いサイトがあったのである。
差別化を図ろうとしたのは容易に想像出来る。
まあそれはいい。
大事なのは、
なろうの主な導線をカクヨムが恐れたことだ。
つまりは、
『ランキングからしか作品が読まれないこと』である。
ランキングバトルの勝者の作品しか読まれず、
ランキングバトルの敗者は存在すら認知されない。
これを避けたかったのだと考える。
それがどうして新着欄に繋がるのかだが、
「小説家になろう」の投稿テンプレとでも言うべき戦略を見てほしい。
ざっくり言うと、
短期的に集中して投稿を行う。
これがなろうの一般的に流布されている攻略法だ。
一日に何度も連投して、
日間ランキングに載ることが目的である。
これは大変上手くいって、
「小説家になろう」は一躍覇者となった。
ランキングを見るだけで、
わざわざ探さなくても面白いものが読める。
読み手として、好みの小説を探すを手間がはぶけて大助かりだっただろう。
しかし皆が知っているように、この栄光は続かなかった。
ランキングの効果が強すぎた。
ランキング以外の作品が読まれづらくなった。
それが原因で、
ランキングに載ることだけが目的の作品が大挙して押しかけてきてしまったのである。あわわ。
その結果、
蠱毒か何かよく分からないものが出来上がってしまった。
カクヨムはそれを危惧したのだと思う。確か最初期は「日間ランキング」すらなかった記憶もある。
とにかく、
カクヨムはなろう化することを避けたかった。
とはいってもランキングが存在している以上は、
なろう化を完全に避けることは出来ない。
どうしてもランキングバトルが始まってしまうからだ。
ランキングバトルが始まれば、目につきやすい、刺激的で欲を満たせそうな作品ばかりが有利になってしまう。
カクヨムは不安だったと思う。
それらの作品は、
商業的に成功するかどうかの判断が大変難しいものだったはずだ。
特に本に読み慣れている編集者のような人間からすると、
『人気なのは分かるけれど有料でも読まれるのかどうかは分からない』
と思ったのではないだろうか。
相当数のファンが付いてようやくチャレンジ出来るものだっただろう。
しかしこれは、もう先駆者ないし同業者が充分にやっている。どうして後発組が同じことをやって、同じパイを奪い合わなければいけないのか。
◇◆◇
ランキングバトルに勝利するためには、
「面白い」ではなく、「楽しい」を追求しなければならない。
私見だが本気でそう思っている。
読んで『何となく楽しかった』という読後感を抱かせ続けるのである。
それを特化させるとどうなるか、
チートと呼ばれる最強の主人公が決まった型で動いて無双していくのである。
読み手はもはや「面白い」を求めていない。
絶対に負けないし苦戦もしない主人公が、見知ったストーリーラインで動いて、
アクセントでヒロインや地位、そして称賛を獲得し続けていく物語が好まれていく。
よくWEB小説の読み手が、
ストレス耐性がないと非難されることがあるが、それは少し違う。
ストレス耐性がないのではなく、
ストレスがある作品を求めていないだけなのである。
だからストレスがあるような展開にすると、『なんか思ったのと違う』と離脱していく。
既視感のある主人公が、既視感のあるストーリーで、既視感のある戦利品を獲得し続けていってほしいだけなのだ。
ストレスがある作品なんて読みたくないという声が、
地の底から聞こえてくるようじゃないか。
しかし、商業的に考えたら、なろう的ストレスフリーなもので勝負するのは怖い。
無料だから読めたが、金払うのであればもっと強く楽しませてほしい。
100円のハンバーガーと500円のハンバーガーを同じ基準で評価はしないということだ。
運営がその辺りを考えなかったとは思えない。
なろう系の説明することが目的ではないが、はしょれなかったので勘弁してほしい。
これでも出来るだけ削ぎ落としたつもりではある。
◇◆◇
本題に戻る。
当初、カクヨムが目指したのは、
中長期的に読まれ続ける作品ではないだろうか。(お金になりやすいし。書籍化)
1話を少ない字数で区切って連続的に投稿するなろう的戦略を、
どうしても弱くしたかったのではないだろうか。
実際カクヨムではその戦略は弱くなっている。
とはいえ、
千字後半くらいで区切って毎日投稿している作品が、
数字を取るということに関しては圧倒的に強いままだ。
この状況で新着欄をもっと目立つところに置くとどうなるだろう。
新着欄を上に置いたことで、超強力な導線が誕生した際、
今以上に少なく区切られた文字数の作品(しかもなろう系)が、
ランキングバトルのために新着欄を制圧してしまうのではないだろうか。
導線がランキングと新着欄に集中して、
なろう化するのを避けたかったのではないだろうか。
私は知らないから話題に出すのは危険だが、
オレオ事件? 効果? というすごく少ない文字数で何か上手くいったというのが、
カクヨムの歴史にあるらしい。
もし運営がこれに頭を抱えたのであれば、なおさら新着欄を上に配置することはないだろう。文字数が少ない作品の対策をしたいはずである。
◇◆◇
ここまでお読み頂きありがとうございました。
ちゃんとまとめに入ります。
↓
前提として、
カクヨムはランキングからしか読まれないことを恐れた。
なぜなら、
ランキングだけが導線となると、ランキングバトルが激化して、なろう系のみが席巻してしまうから。
だから、
ランキング以外の導線を強くしようとした。
そのため、
ランキングをさらに強力してしまう新着欄を目立つところに配置出来なかった。
です。
私見ですよ、ええ。
---
新着と日間ランキングが主流のなろう的フローを避けたがために、
初期のカクヨムは迷走したのではないかと思っています。
そしてこれはこのまま続くとも思っています。
なので『新着に載らないと読まれないよ』という作品は不遇のままでしょう。
こうなると、初めから新着欄からの流入を諦めることでしか、
違った未来が開けるキッカケは生まれないのではないしょうか。
自主企画も、その類ではないかと思うのです。
そしてこれから先、
新たにカクヨムに実装されていく機能も、
新たな導線を作ることを狙ったものになると思います。
新着欄は毒にも薬にもなる危険物なのです。
上手くいってるかどうかは、また別のお話。
これはきっと
なろう系を吸収しつつも、
なろう化しないように頑張るカクヨムのサクセスストーリーなのです。
(だいぶ飲まれてるけどw)
---
注目の作品とかがもっと強くなればいいね。
※なろう系で好きな作品も複数あります。
そして私もランキングバトルに参加してます。(ひねくれてるけど
現状、検索ワードで引っかかるようにするSEO的なものが一番有効なのかな?って思ってます。
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