過去作あとがき集

押田桧凪

「ボーダレスフレンド」(2022.9)

「何の混じり気もない、均一なふくらみ」……男の胸がふくらんだ時、それは本来女が得るはずのものだったのに、まるでこれが原始だったんじゃないかと思えるくらいぴったりなふくらみに対して、「何の混じり気もない」(男女の境界がない = ボーダレス) なのかなと。一方的な恋として報われなかったとしても、そこで終わりじゃない。必ずしも「恋愛」に結びつけなくても、「友情」という点でつながることが出来る、お互いが共に寄り添って生きるという選択肢があるのかもしれない。要は、多くの人が「性愛を享受するための恋愛」に幻想を抱きすぎていて、人を好きになるのに、それが恋愛であろうと友情であろうと関係ないのでは? という。その関係の永続性が恋愛から生まれる「結婚」によって保証されている、と信じ切っているから、余計生きづらさを感じる人が生まれる訳で。じゃあ、「友情婚」というのはどうだろう? と。


 そして、なぜジェンダーレスでなく『ボーダレス』? というところでは、やっぱり性の多様性が「グラデーション」と言われるのなら、男と女のトイレの2色のように、ジェンダーという言葉も少し限定的かなと思ったので、その色の「あわい」さえも無くしてしまおう、ということで、「ボーダレス」に。

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