第50話稽古…?
『あのね…その…豊和君にお願いがあるんだけど…』
メッセージアプリでいつものようにやり取りをしていると、そんなメッセージが届いた。
『いいよ、何でも言ってくれ』
そんなメッセージとともにサムズアップするスタンプを天音に送る。
『まだ、どんな内容か言ってないのにいいの?』
『モチっ!天音がそんな無茶苦茶なお願いをするわけがないと分かってるしな』
『じゃあ、明日事務所のスタジオにいいかな?』
『了解』
先日…みんなと話した時に芸能プロダクションを設立して経営してる事も打ち明けたんだ。まあ、話せる事は殆ど話したんだ。優花も凛も日和も水前寺さんに風鳴さんも驚いていたな。まあ、金も必要だったから色々してたわけなんだけど…。
まあ、とりあえず明日はプロダクション事務所に行かないとな。メッセージアプリを使っていたのが寝る前だったという事もあり、俺はそのまま夢の中へと旅立った…。
♢
翌日、プロダクション事務所のスタジオに顔を出すとそこには天音とともに赤星さんの姿があった。
「おはようございます、赤星さん!それに天音も」
「おはようございます、社長」
「おはよう、豊和君♪」
「赤星さん。今は敬語じゃなくていいですよ?」
「そうですか?社長がそうおっしゃられるなら普通に歳上のお姉さんとして話しますね?」
「はい」
「いやぁ~ それにしても豊和君が社長という事を天音に話してくれたお陰で色々とやりやすくなりましたよ!」
「ああ…変に手間を掛けさせてしまいましたね。本当にすいません」
つい、赤星さんとそんな話を繰り広げていると割って入る声が響いた。
「あ、あのっ…」
やべっ…天音の事をすっかり忘れてしまっていたな。つい、赤星さんと話込んでしまった。こういう時は素直に謝らないとな。
「ああ、ごめん。天音」
「ごめんね、天音。あなたを放ったらかしにしてしまって…」
「ほ、ホントですよ…わ、私が豊和君を誘ったのに…」
「いや、それについても私はビックリしたんだけどっ!?いつの間にか天音とも仲良くなっているし、しかも豊和君に恋っ…むぐぐっ…」
「…はい、赤星さん?いらないお喋りはやめましょうね?」
赤星さんと天音はなんだか仲のいい姉妹に見えてしまうな。
「こほん…とにかく…今日はここで…その…演技の稽古に付き合ってね、豊和君」
「了解……って、演技っ!?」
演技の稽古とは聞いていなかったなっ。流石に演技はどうだろうか?悩んでると…
「そ、その…彼氏役で…立っててくれるだけでいいからさ…」
「ああ。そういう事なら…」
立ってるだけなら大丈夫かと思い了承する。そして早速天音は演技の稽古を始めるのだった。
♢
「す…好きです…」
目の前でナンバーワンのアイドルとして名高い天音が照れたように俺に向かってそう言った。その言葉に顔が若干熱くなる。
「う~ん…ちょっと気持ちがこもってないように感じるわ」
赤星さんが天音の演技を見ながらそう口にした。演技の稽古と言っても言われた俺は照れてしまうな。
「なるほど…」
「もっと…そうねぇ…。本気でモノにしたいっていう、言葉だけじゃなくて…そんな仕草というか…行動というか…そういうのが足りないと思うわよ?」
「…行動」
「だからね?ゴニョゴニョ…」
「えっ?えっ?ほ、本気ですかっ!?ふぇっ!?で、でも…そんな事して…」
「それくらいしないと勝てないんじゃないの?」
「っ…!? そ、そう…ですよね…」
「行くのよっ!!天音っ!!!」
「は、はい!」
なにやら赤星さんからの演技指導が終わったようだ。俺はまた天音の前に立ち…
「…好きです…あの時から…ずっと…これが…恋だと気付くまでに時間が…掛かっちゃったけど…大好きです…」
天音はそう言うとそのまま距離を詰め…俺の首に腕を絡めて…
天音の顔が間近に迫ってきて…「…んっ」そんな洩れるような声とともに唇に柔らかい感触が重なった…。
「むほぅ~~~っ!?」
同時に赤星さんのそんな声も…。
***
あとがき
優花「あっ…あっ…ああっ…き、キス…してゆ」
凛「優花ちゃん!?してるがしてゆになってるよっ!?」
日和「歌羽っちもやるな」
芽依「んだ~~~っ!?まぁ~~~!?んあっ~~~!?あぁぁぁああっ~~~~~ぁ」
凛「芽依ちゃんは芽依ちゃんで分からない言葉を口走っているしっ!?」
水樹「流石…アイドル」
愛「やりますねぇ~」
風花「こ、これ…私と水樹が入っていけるのっ?」
優花「は、入らなくていいからねっ!?」
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