黑の

義龍 顎

黒い神話 第1話

赤の章 

血は水より薄く 闇よりどす黒い

赫き血は地に滲みて 黒い滴となり

闇の奔流に飲み込まれる

徒然に祝福の赫き言葉を紡ぎ

燻る炎は咎人の血を贖わせ 闇へと問う

空蝉の命の価値は何処にあるかと


青の章

ねっとりと絡みつく闇は 深き青の黒闇

音も無く蠢くもの

虚ろな光を向け 澱む刻にたゆたう

嘆きすら忘れ 蔓延る青の地獄にみどりの陰を見る

紺碧の闇に這いずるものたちよ

暗闇刺す一筋の光に 青の毒花を指し示せ


黄の章

黄泉路を歩くは 黄色き花咲き乱れるみちゆき

摘めば黒き蛇と化すその花は 揺れて彷徨うものを惑わせる

黒き淵眺むるは 沈みゆく愚者の骸

永劫の花咲くみちを逝くを

舞う花びらの様にかすめていく

しがらみに縛られた たった一つの罪

あの花を愛でた咎

花の影は揺らめき消えゆく

浮かぶ顔(かんばせ)を心に刻み付け 暗い澱みへと手を伸ばした

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