第48話 リディア杯 第5・6試合

▼第5試合(フィオナ vs エヴァ―)


 リディア杯の第5試合が始まろうとしていた。高台に立つリリィが観客に向かって宣言する。「第5試合、フィオナ対エヴァーを開始します!」




 広場の中央には、エンシャントヴァンパイアのフィオナとアビスウォーカーのエヴァーが向かい合っていた。フィオナは丁寧な話し方をする女性で、バルドとロゼッタの助手を務めている。エヴァーは深淵から来た戦士だ。




 開始の合図と共に、エヴァーがスピード勝負でフィオナに突っ込んできた。その動きはまるで疾風のようで、観客の目にも捉えられないほどだった。右手を振りかぶり、フィオナの顔へ殴りに行く。




 フィオナは一瞬の反応で両手をパーに広げ、その拳を防いだ。強烈な衝撃が彼女の手に伝わり、フィオナはわずかに後ずさりする。




 エヴァーはすぐさま後ろにバク転のように飛び、両手で体を支えた瞬間、そのままバク転せずにフィオナの方へ足を伸ばした。両足を曲げた状態から一気に伸ばし、フィオナの胸に向かって蹴りを繰り出す。




 その蹴りは正確にフィオナの胸に命中し、彼女は空中に飛ばされた。観客たちは息を飲み、その瞬間を見守った。




 フィオナが空中に投げ出されると、エヴァーはそのまま追撃に移った。彼も空中に飛び上がり、両手をグーにして自らの頭の上から振り下ろし、フィオナに叩きつける。その勢いでフィオナは競技場の床に激しく叩きつけられた。




 観客たちはその衝撃に驚きの声を上げた。エヴァーはさらに足で蹴りつけようと落下していくが、寸前のところでフィオナは素早く身を翻して避けた。エヴァーの足が床に打ちつけられる音が響き渡る。




「ここや!」フィオナはその瞬間を見逃さず、素早くダークランスを放った。エヴァーが着地した瞬間を狙われたことで、避けきれずに左足に大きなダメージを受けた。彼の足から噴き出した血が床に広がった。




 フィオナはその血を見て、ここぞとばかりに次の攻撃を準備した。「これで終わりや!」彼女は叫びながら、ダークトルネードを放った。暗黒の竜巻がエヴァーを包み込み、その強力な魔力が彼を飲み込んでいった。




 観客たちは息を飲んでその光景を見守った。エヴァーは必死に抵抗しようとしたが、ダークトルネードの威力に圧倒され、次第に力を失っていった。




「決まりや!」フィオナは勝利を確信し、その瞳には冷静な光が宿っていた。エヴァーの動きが完全に止まり、彼の体が力なく地面に倒れ込むと、リリィが高台に立ち、声高らかに宣言した。




「勝者、フィオナ!」




 観客からは大きな歓声と拍手が湧き上がり、フィオナは微笑みながらその場に立ち尽くした。彼女の勝利により、第5試合もまた盛り上がりを見せた。




 ▼第6試合(エルフ vs ダークエルフ)


 リディア杯の第6試合が始まろうとしていた。高台に立つリリィが観客に向かって宣言する。「第6試合、エルフ対ダークエルフを開始します!」




 広場の中央には、優雅なエルフと神秘的なダークエルフが向かい合っていた。エルフは銀色の髪と緑の装いで、自然の魔法を得意とする一方、ダークエルフは黒い髪と紫のローブをまとい、闇の魔法を駆使する。




 開始の合図と共に、エルフは素早く弓を構え、矢を放った。矢は風を切りながらダークエルフに向かって飛んでいく。しかし、ダークエルフはその矢を闇の盾で防ぎ、すぐに反撃の魔法を発動した。「ダークボルト!」




 闇の稲妻がエルフに向かって飛び、エルフはその攻撃を避けるために素早く横に飛び退った。続けざまに、ダークエルフは再び闇の魔法を放ち、エルフを追い詰めようとした。




「まだまだこれからだ!」エルフは叫び、自然の魔法を発動した。「ウィンドブラスト!」強烈な風がダークエルフを直撃し、彼を一瞬後退させた。




 その隙を見逃さず、エルフは再び矢を番え、次々と放った。矢は光の速さで飛び、ダークエルフの防御を打ち破ろうとする。しかし、ダークエルフは冷静に闇の魔法で矢を迎撃し続けた。




「さすがだが、これでどうだ!」ダークエルフは手をかざし、強力な闇の魔法を発動した。「ダークスフィア!」黒い球体がエルフに向かって飛び、エルフはその魔力の圧力に対抗しようと必死に立ち向かった。




 エルフはその攻撃を受けながらも、最後の力を振り絞り、「ナチュラルヒール!」と回復魔法を唱えた。体力を回復させながら、エルフは再び攻撃の準備を整えた。




「これで決める!」エルフは弓を再び構え、魔法の矢を放った。その矢は光の軌跡を描きながらダークエルフに向かって飛んでいく。ダークエルフは避けようとしたが、その矢は見事に命中し、彼を倒した。




 リリィが高台に立ち、勝者を宣言した。「勝者、エルフ!」その声が響き渡ると、観客席からは大きな歓声と拍手が巻き起こった。観客たちは手を振り上げ、熱狂的な応援を送った。第6試合もまた、息を呑むような戦いを繰り広げ、多くの人々の興奮を誘った。




 1回戦が無事に終了し、次は2回戦の抽選が行われる。トーナメントの進行役が抽選箱を持ち出し、一つ一つの対戦カードを決定していく。




 ▼2回戦


 2回戦の第1試合 ルミナ vs エルフ


 2回戦の第2試合 フィオナ vs ルーク


 2回戦の第3試合 龍王 vs セラフィム






「2回戦、第1試合はルミナ対エルフ!」観客席からは再び歓声が上がる。ルミナは自信に満ちた表情で、エルフは冷静な眼差しでステージを見つめた。




「2回戦、第2試合はフィオナ対ルーク!」フィオナは闘志を燃やし、ルークは戦略的な表情で対戦相手を見据えた。




「2回戦、第3試合は龍王対セラフィム!」龍王は力強い咆哮を上げ、セラフィムは優雅に微笑んだ。




 2回戦の幕開けと共に、試合が次々と始まった。第1試合では、ルミナとエルフの激しい戦いが繰り広げられ、ルミナがその魔力を駆使してエルフを圧倒し、勝利を収めた。観客からは喝采が沸き起こり、次の試合への期待が高まった。




 第2試合では、フィオナとルークの戦いが始まる。フィオナは力強い攻撃を繰り出し、ルークはその戦略と機転で応戦する。激しい攻防の末、ルークがフィオナを打ち破り、観客からの歓声を浴びた。




 リリィが再び高台に立ち、勝者を宣言した。「勝者、ルミナ!」観客からは大きな歓声と拍手が湧き上がった。第2試合の結果も、「勝者、ルーク!」と発表されると、再び歓声が巻き起こった。




 こうして、2回戦は順調に進み、次の試合への期待がますます高まっていった。次に行われる第3試合は、龍王とセラフィムの対決。両者の力と技が激突し、戦場は一瞬たりとも目が離せない展開となった。

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