平成24年度 某社会雑誌8月掲載より抜粋
「夏祭りの神隠し?」
昨年群馬の山中で発見され、その不可解な死から現代の神隠しとして報道された村田 理恵さん(43)
について独自の取材を進めるにあたり、我々は娘の村田 真尋さんにインタビューを行いました。以下その全文です
母の遺体を見た時、はじめはお母さんだとわかりませんでした。
一昨日まで一緒にいたお母さんとは似ても似つかないくらい痩せ細ってて、まるで知らないおばあさんのようでした。
今思えば母はちょっと変になってたんだと思います。
認知症だったのかもしれません。
失踪する数年前から左耳が聞こえなくなって、母はずっと「左側が削れている」って言うんです。
他にも家の中に変な人形を沢山置き始めて、自分で作ったんでしょうね。
こんな事言うのもあれですが、気持ち悪いんです。
家中から視線を感じて落ち着きませんでした。
捨てるように言っても「返さなきゃだめだから」って聞かないんです。
-お母様が失踪されたのは夏祭りの日でしたよね?
ええ、その前日母はびっくりするくらい上機嫌で「明日返しに行こうね真尋も一緒に行こうね」って、その時の母は昔のお母さんみたいで、少し嬉しかったのを覚えています。
母は祭りに着ていく浴衣も用意してるからって見せてくれたんですけど、真っ白な着物が二つ畳んであって、でもそれ浴衣じゃなかった。
お遍路さんが着るみたいなやつ、笠とか普段使わないのに杖も置いてあって、それも2人分。
古いお金、あの時代劇とかで見る真ん中に穴が空いてるやつです。
それで気が付いたんですけど今私の目の前に置かれてるこれって
死装束ってものじゃないかって。
やっぱり母はもうだめなんだって、本人すごく嫌がってましたが母1人で祭りに行かせました。
でも、一緒に行ってたら母は無事だったなんて思えないんです。
分からないけど、私も一緒に死んでたんじゃないかって気がして。
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