第10話
「ははh見捨てられた…」
レオナルドは呟く。
今の気分は『最悪』の一言に尽きるだろう。
ソロで行き詰まっていた時に「俺たち人手が足りないんだ!」と声をかけられて、パーティーを組んだことが悪ったのか?
最初はいい雰囲気でこの森を攻略することができたのに…。
敵の数が増えると僕は派手な討伐数を稼ぐことができなかった。長距離で隠れて仕留める僕のスタイルにパーティーは合っていなかったのだ。
ドカ!ドカ!
僕は迫りくる[Cain]を見ながら生き残ることを諦めてしまった。
どうして?
どうしてこんなことになったんだ?と終わらない自問自答をし続ける。
初めてのオンラインゲーム、初めてのパーティーでの戦闘…楽しみにしていたのに!
僕は目から涙がこぼれ出そうなのを必死に堪えた。
野良でパーティーを組んだ人から「役立たず」「何やってんだ!」の言葉の連続だったことを思い返しながら、僕はイノシシ型の[Cain]に押しつぶされそうになる怖さを怒りに変えて叫ぶ。
「おまえらがここに来ようッて言ったんじゃないか!!」
こんな思いになるんだったらゲームなんかしなければよかった…。
僕はこれから襲い掛かる衝撃に耐えるために目をぎゅっと閉じる。
ドン!!!
・・・。
巨体同士が衝突した音が辺りに響き渡ったが、いつまで経っても僕が予想していた痛みが襲って来ない。
目を開けてもだ、大丈夫だよな?
「えっ」
僕は困惑した。
なぜなら、目を開けたら僕の前には僕を守るように盾を持った白い通常機体の背があったから。
【ど、どこから現れた?どうして僕を守っているんだ?】
だがそんな僕の疑問を吹き飛ばすように、「下がれ!!」と女性の勇ましい声が僕に届いた。
…それが【オリーブの木の守り手[セイ]】と僕、レオナルドの出会いである。
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ドン!!
「…くっ」
俺は盾でなんとか一発、突進を防いだが足に踏ん張りがつかず押されてしまう。あの小型機が木の上に上がる時間を稼がなければならないが、状況は最悪だ。
..巨体との距離が近いため避けることも逃げることもできない。
俺にタゲは移っているとはいえ、背中を向けて逃げれば小型機がどうなるか分からないと考えてしまう。そもそも背中を見せれば俺自身、時間を貸せぐこともできず死ぬだろう。
ドン!
一回、二回。
盾で突進を防ぎ切った時、木に機体の足が当たった。
「…ここまでか」
このままでは潰されて死ぬ。万事休すだ。
俺はせめて最後まで抗おうと盾を持つ力を強めて構える。後ろにもう下がることができないので迫りくる巨体は先ほどより圧を感じて、身がすくみそうになるが、終ぞ俺とイノシシ型はぶつかることはなかった。
なぜなら俺の上から撃たれたと思われる高威力の銃弾が敵の頭辺りに着弾し、怯ませることに成功したからだ。
その光景を見て俺はすぐに生き残るために動き出す。イノシシ型と木の間から抜け出すことを最優先に考え、この機体が出せる最高速度で走り抜ける。
その間にも聞いたことないような大きな銃声が一定で鳴り響ていた。
「すごいな」
銃弾は神経があるかどうか分からないが痛みにのた打ち回るイノシシ型の頭を確実に着弾していった。
数十秒後、俺はその攻撃によって[Cain]が動かくなったことを確認し、今まで銃声が響き渡っていた所を見る。
そこには、小さな機体には不釣り合いの大きな銃を構えた緑色の小型機の姿があった。
小型機と俺はパーティー申請をしていなかったためアイテムはすべて持ってかれたが…ここで静かに去るのもカッコいいだろう。
…決して俺がカッコつけて出てきた手前、死にそうになったのを逆に助けられてしまったことに恥ずかしがっているのではない(。-`ω-)
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