第7話

「アル。大変だと思うけど我慢してね?」

母であるエルドラはそう言ってくる。

「そうだな・・・。王族としてこれは必要なことだ」

王族に生まれてきたのは幸運だったといえるだろう。

だが、恵まれているからこそ求められるものがあるのだろう。

「最後に頼れるのは自分自身のみ。魔法も剣術も自分の身を守るためには必要なものだ」

「はい・・・」

朝方、マーカスはこの王国のことを小国といった。

王族と言ってもいつ危険にさらされるかわからない。

それを考えれば両親の方針は間違っていないだろう。




日々剣術と魔法を学ぶ生活を送っていた。

最初はきつかった剣術ではあるが基礎を固め終わってからは模擬戦の比率が上がっていった。

とはいえ、まだまだ未熟な自分では剣術の先生に勝つなど不可能だった。

魔法の練習の方は順調で中級の魔法を学びはじめたところだ。

呑み込みが早いと先生は誉めてくれるがこれは転生したおかげだろう。

映像で見ただけの現象もあるがイメージを固めるのに転生前の知識が役立ってくれているわけだ。



6歳の誕生日を迎えた。

この日は両親に盛大に祝ってもらった。

少しだけ街を散策したのだが街もお祭り騒ぎだった。

漁船のおかげで生活に余裕ができたようでこのように騒ぐ余裕ができたとのこと。

ただ、よくない話もも聞いた。

最近、海賊が出没するとのことだ。

戦闘艦はあるが数が足りておらず全ての漁船を守るのが難しいらしい。

幸いなことに魚を差し出せば見逃してもらえるらしいのだがそれでも苦労して捕った魚を差し出すのは屈辱だろう。

「お父様。提案があります」

「なんだい?」

「僕の持ってる戦闘艦を投入しましょう」

「うむ・・・。船があっても戦闘能力がなければ意味がないだろう?」

この世界の開戦は遠距離からの魔法。

近づいての近接戦だ。

大砲というものが存在しないのだ。

だが、アルの持っている戦闘艦は違う。

大砲がしっかりと載っているのだ。

「そこは考えがあります」

「わかった・・・。港に行こう」




マーカスと共に港にやってきた。

いつものように小型の戦闘艦を1隻だけアイテムボックスから取り出す。

マーカスが指示を出すと軍人達がきびきびと動き出向準備をすませる。

マーカスと共に船に乗り込む。

港からある程度離れたところでアルはうきうきと軍人達に指示を出し砲を撃つ準備を整える。

実際に撃ったことはないが船作成の恩恵なのか使い方は理解できた。

「皆さん。覚悟はいいですか?」

アルはそう言って火薬に点火する。

いよいよ砲のお披露目だ。

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