第7話 東京中央ダンジョン3

 《ボス討伐を確認。これより特殊SSランクダンジョン名称:東京中央ダンジョン精霊層に転移します》


 そんな無機質な声が聞こえてきてなにか言う前に転移させられた。


 気づけばそこはきれいな星天が広がる草原に私一人ポツンと立っていた。


 「精霊層...?そんなところ聞いたこともないんだけど。視聴者達知ってる?」

 『いや聞いたこともないな』

 『精霊層は聞いたこともないんだけど、下層より下の階層があるかもって噂は聞いたことあるよ』

 『下層が一番下じゃなかったのか!?』

 『公式では下層が一番下になってるよ。まだ下層の一番奥まで到達してないから観測できてないからね。一応協会もその噂は認知してるぽかったけど』


 「ふーむ。特に情報はないか...探索して集めるしかないかな」

 『え、危なくない?』


 「危ないかもだけどこんなところに救助が来てくれる可能性なんてほぼないし、そもそも探索者リング使えなくなってるんだよねぇ」

 『え?』

 『流石にヤバない?』

 『死にかけたらもうそこまでってことか...』


 「そういうことだねぇ。私には一応対応策があるから死にかけてもなんとかなるけど他の人はやばいだろうね」

 『え!何その対応策って!すごい気になる!』

 『教えて死神せんせー!』


 「ふふふ秘密。楽しみにしといて。死にかけないほうがいいんだけどね」

 『えーけちー』

 『せやね安全第一で!』


 私は改めて辺りを見回した。

 気配察知を強くしてみるといくつか気づくことがあった。

 まず八方向、北、北東、東、南東、南、南西、西、北西に結界が張ってあり、その中から強い魔力の気配を感じるということ。

 そしてその魔力の気配は純粋な八属性、火、水、土、風、氷、雷、闇、光そのものの気配がするということ。

 その気配以外他の気配が一切しないこと

 この3つのことがわかった。


 「視聴者達私いくつか予想したことがあるんだけど共有したほうがいい?」

 『してほしい!気になる!』

 『してほしいな。サイトにまとめるために使いたい』


 「おけ。じゃあ共有するね。まず前提としてこの階層は精霊層と呼ばれている」

 『うんうん』


 「それを前提とした予想なんだけど、まずこの階層は八方向、つまり北、北東、東、南東、南、南西、西、北西に結界が張ってあって、その結界の中からかなり強い魔力の気配がする」

 『かなり強いってどのくらい?』


 「ステータス数値で表すと7000以上」

 『oh...やばくねぇ?』

 『普通の人には無理な領域だね』


 「それからその魔力の力は八属性、火、水、土、風、氷、雷、闇、光そのものの気配がするから多分その属性を司ってる精霊か、その属性を管理する精霊がいると思われるって予想かな。あとその八体の気配以外気配がしないね」

 『フィールドボス層タイプかな?』

 『どっちみちヤバそうな雰囲気しかしてないなぁ』


 「まあ探索しないと戻れそうにもないからどんどん探索するよ」

 『気をつけてね!』

 『安全第一!』


 改めて歩き始めるとその異様な雰囲気が体にひしひしと伝わってきた。

 きれいな星天であるがどこかいつもよりも重たい雰囲気があること。

 それはおそらく空気内魔力密度の問題なのかなと思う。

 それと気配察知では気付けなかったが八方向にそれぞれ遠目から見ても五百メートル以上近くで見たら千メートル以上あるであろうでかい木が存在していてそれぞれの葉の色が赤、青、黄土色、緑、水色、黄色、黒、何故か光っている葉になっていておそらくその方向にいるであろう属性精霊(仮)の属性を表しているであろうことに気がついた。


 『何だあのでかい木...』

 『地上には存在しない種類の木かな。現実であそこまで大きくなる木はないはずだ』

 『それにしてもあの光ってる葉はなんか神々しいな』


 とりあえず転移した場所から百メートル圏内を探索してみたが魔物すらおらず、八方向からそれぞれの属性の気配がするだけだった。


 「これ以上探索しても、特に何もなさそうだから気配がした結界に向かうよ。どこから言ってほしいとかある?」

 『自分の行きたいところに行ったほうがいいと思う』

 『うんうん。自分の好きなところに言ったほうがいいよ』


 「それがないから聞いてるのー」

 『んー、なら最初に言った通りの順番に行ってみれば?』

 『最初の順番...ああ、説明してたときに言ってた順番、つまり火、水、土、風、氷、雷、闇、光の順ってわけね』

 「ならそれでいいや、その順番で巡っていくね。最初は火だね」

 『死なないようにね!』

 『油断しないでね!どんなことしてくるかわからないんだから!』

 「うん気をつけるよ」


 私は火の気配がする北に向かっていった。

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