五話 魔力解放! 覚悟の刃!!!
魔力強化による爆発的な加速。
俺は一瞬でスライムの間合いへと突入した。
狙うは腕もしくは的のでかい胴体。不慣れな剣、それも土壇場の魔力強化で確実に一撃を与えるなら、ここしかない。
邪魔な腕は使えなくすれば後は消化試合。俺と同じように魔力を使った超回復ができるなら、ほぼ詰みだが。
今の俺の速度なら腕を躱すのは難しくはない、が。攻撃するタイミング、棒への魔力移動をいつするか。直前じゃ足が止まってどうしても一瞬、デカい隙になる。そして俺はサンドバッグでサヨナラだ。
……だとすると残された選択肢は一つ。
一か八かの右目と触覚以外の五感の魔力全投入!!!
「ハハッ!!! 大博打ぃぃ!!!」
──魔力が棒切れへと流れ出す。
そして、直ぐに──と音が消え、左目も暗闇に包まれた。
だがそんな事が気にならない程に眩い輝きを放つ棒切れ。いや違うな、これはもう敵を切り裂く一本の剣へと成ったんだ。
────蒼く輝く剣に。
伸びた腕を掻い潜りスライムと腕の間へと侵入する。
スライムとの距離は約二メートル。
この間合いじゃ、もう長い腕は使い物になんねぇだろ。だから元のサイズに戻す瞬間、いや俺の背中を攻撃しようとした瞬間。そこを狙って逆にお前の腕を切り飛ばす!!
音は聞こえない、しかし触覚は極限まで研ぎ澄まされている。だから見なくても聞こえなくても、わかる。
高速で俺の背後に向かってくる気配が。
予想通り、スライムは俺の背中を狙ってる。集中しろ。
だが本体から決して目は逸らさない。
タイミングを見極めろ。確実に一撃で腕にダメージを与えて使えなくする。
背中に突き刺さるような鋭い気配が、二つ。たぶん殺気ってヤツだなこれは。
ミスれば死ぬ。だが確実性を求めて振り返ることは無理だ。
だから。
ハッ、くらえや!!!!
ノールック、されど俺の剣は完璧な軌道を描いてスライムの両腕を切り飛ばした。
すると小さな悲鳴がスライムからこぼれ落ちた。
だが直後、俺の目の前に黒い陰が落ち、強烈な殺気が俺へ向かってきた。
それはスライムの身体中から生え出た刃。確かに目は離していなかった。しかしこの距離、タイミング。躱すことはまず不可能。
時間がない。死ぬか、どうにか受け止めるか。
受け止めるしかねぇ。
まぁいいぜ。俺はお前の両腕貰ったんだ。左手くらいくれてやるよ!!
俺は折れた左手にできるだけの力を込めて、向かいくる刃に向かって、思いっきり打ちこんだ。
するとグシャリと嫌な感覚が全身を襲う。
直後、衝撃と鮮血が舞った。
木々が揺れ、大地が血に染まる。
視界の端、俺の左腕が見るに耐えないほどぐちゃぐちゃになり、感じたことの無い痛みに身体が悲鳴をあげる。
───痛い、痛過ぎる。
だが構やしない。だってまだ俺は死んでねぇからな。そして一瞬テメェの動きが止まれば届く!!
「俺の剣が、なぁぁ!!!!」
「、!??!!?」
血と悲鳴が響く中。
肉を別つ感触と共にスライムの能面に俺の剣が深々と突き刺さる。
そして、そのまま俺は真下へと剣を振り下ろしスライムの上半身を鮮やかに切り裂いた。
するとスライムはその場で崩れるように倒れた。
「ハッ、俺の勝ちぃぃ!」
そして俺の身体も急激に力が抜けていき仰向けに倒れてしまった。かなり時間ギリギリだったな……。
それにしてもまたコレかよ……。
もうお前とは会いたくなかったよ。
俺の頭の中で再び────あの煩い火花が散った。
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