第30話 作戦開始
いよいよ作戦開始の時間がやってきた。
「アルテナさんたちとはもう行ったのかな」
「ああ、既に洋館前に到着している」
「じゃあ今度は私たちが配置につかないとね」
「じゃあ行こっかセレナ」
「ええ、ダリウスとアリスも頑張りなさいよ」
「ああ、そっちもな」
現在、俺とアリスは2人で茂みに隠れている。
そしてヴィオラとセレナは俺たちから洋館を挟んで反対側に隠れている。
作戦通りアルテナたちの取り逃しを確実に逃がさないためだ。
「アルテナさんたちが入っていくね」
入口を横から見る位置に隠れているのでアルテナたちが洋館に入るとその後の姿は見えない。
「やはりここは暗いな」
「光は木の隙間からの月明かりだけだもんね」
ドカーーーン!!
「ふぇっ!?」
アルテナたちが入って17秒後、突然洋館が大爆発を起こした。
爆風、吹き飛んだ洋館の一部、黒い煙が一気に襲いかかってくる。
もはや隠れている場合ではない。
とりあえず2人が入れる小さな結界を張り構成員の襲撃と爆発による飛来物にそなえておこう。
「あ、ありがとう。……びっくりした」
「ヴィオラたちが心配だな」
今の爆発は敵によるもので間違いないな。
Sランクであるアルテナのパーティが仲間のパーティにまで影響を与えるほどの無茶をするはずがない。
相手の対処があまりにも速すぎる。まるでこの作戦のことが知られているような……。
「見てダリウス。あそこが燃えてる!」
「放火までするのか。構成員は逃げる気が無いのか?」
森に放火する場合、炎が燃え移れば構成員たちは逃げられない。
捨て身、あるいは脱出する手段があるのか。
「俺たちも行くぞ」
「う、うんっ!」
疾風で煙を吹き飛ばし直前まで洋館があった場所へ走る。
「あはははははははっ! 楽しい~!」
聞き覚えのある声が聞こえる。
俺たちとあの少女は
「あれ、また会ったね! 久しぶっ、ぐふっ」
少女は言い終わる前にアルテナが振るうレイピアに一瞬で体を何度も串刺しにされ絶命した。
当然分身と思われる少女の体は崩れて消滅した。
「おそらく私たちは敵に騙されていたんだ。ここには今の子以外誰もいない」
「では森は俺が消化します」
「ああ、任せる」
バキッ! バリバリバリ!!
「今度はなんなんだ」
「アルテナさんっ! 後ろ!」
アルテナの後ろの床が突然突き破られ地下から巨大な黒い手が生えてきた。
当然アルテナは瞬時に回避し、俺はアリスを抱き抱えて移動する。
「ははははっ! 私が大事に育てたこの子をあなたたちで止められるかなっ!」
その言葉の後、体中から大量に手が生えた化け物が洋館の地下から姿を表した。
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