第56話
スライムたちとフォレストタイガーが戦い始めて1分ほどの時間でフォレストタイガーは地面に倒れることになる。
ピクリともしないフォレストタイガーをスライムたちが解体していく。
フォレストタイガーは毛皮と牙が高く取引される素材のモンスターだ。
僕とスライムたちで倒したフォレストタイガーは、毛皮に幾つもの傷が付いているせいで高くは売れないだろう。
それでもスライムたちの糧にするには充分な為、フォレストタイガーの牙だけを解体して残りはスライムたちのごはんに変わる。
「やっぱり素材を取ることを考えた方が良いのかな?」
『難しいよ、マスター。綺麗にモンスターを倒すのは。』
「そうだよね。」
折角綺麗に倒せば高値で取引されるモンスターでも、ここまで傷だらけでは安値でしか売られない。
僕の放つ矢が急所にでも命中すればもしかしたら一撃で倒すことも可能かも知れないが、余程モンスターが気が付いていない時にでも放たないと命中させるなんて出来ないだろう。
もっとモンスターの動きを予測することが出来るようにしながら、放つ矢の速度をどうにかして上げないといけないだろうし、動く的でも命中率を上げる特訓でもした方が良さそうだ。
幸いに色々な動きを可能性するスライムを的に使えば良いだろうし。それに次はスライムたちにも最初から戦って貰おう。
斥候としてスライムたちに先頭を移動させながら進んでいると、今度は耳が刃物のように切れ味を持つスラッシュラビットと遭遇する。
群れで行動するスラッシュラビットたちは一斉に僕たちの方へと向かって駆け出して来た。
跳ねながら移動するスラッシュラビットの群れが、斥候として先に進ませていたスライムたちとぶつかり合う。
刃の耳がスライムたちに振るわれる中で、僕はスライムたちに意識が向いているスラッシュラビットの1匹を狙って矢を放つ。
「よし!良いところに当たった!!」
スラッシュラビットの首に鋼鉄製の鏃の矢が突き刺さった。
もちろん中層に生息するモンスターはこれしきの事ではすぐには死なないくらいに生命力が高い。
それでも首という重要な場所に刺さった矢は確実にスラッシュラビットの命を奪う一撃になる。
それにスラッシュラビットが攻撃を受ければ隙が生じ、そこを突いてスライムたちが一斉に集中攻撃を行なって撃破していく。
けれどそれでも斥候のスライムたちは数を減らしてしまう。スラッシュラビットの強さもあるが、斥候に出していたスライムの数よりも若干スラッシュラビットの数の方が多いせいだ。
あと数秒もあれば援軍として送ったスライムたちが到着するが、それまで斥候役のスライムたちがどれだけの数を減らすことになるのかは分からない。
少しでも数を減らさないようにする為に、僕は次々にスラッシュラビットに向かって矢を放っていく。
援軍のスライムたちがたどり着いた時には斥候を行なっていたスライムの数は残り5匹になっていた。
それでも援軍のスライムたちと一緒にスラッシュラビットを集団で攻撃することで、スライムたちはスラッシュラビットの数をどんどんと減らしていく。
「ふぅ、あとはスライムたちだけでも大丈夫だね。周りに他のモンスターは居ないかい、リム。」
『大丈夫!今のところは居ないよ、マスター!』
スラッシュラビットの血の臭いでこの場に向かって来るモンスターが現れないかと心配になるが、今のところはモンスターが近寄って来てはいないようだ。
残りのスラッシュラビットもリムと話している間にスライムたちが仕留めており、今は数匹の解体しても素材として価値の無いスラッシュラビットを捕食しているが、他のスラッシュラビットは解体を行なっていた。
解体されたスラッシュラビットの素材をボックススライムの力で収納してから、僕たちはまだまだ獣の森の中層を探索して行く。
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